欧州中央銀行(ECB)の4月の利下げは、6月に予定されていた利下げの前倒しだと一部の当局者は見なした。4月16-17日会合の議事要旨から明らかになった。
22日にECBが公表した議事要旨は「金融市場が不安定化する中で最近の出来事は、今回の会合で金利を引き下げることが悪影響に対する保険となり、さらなる不確実性の回避につながると一部メンバーを確信させた」と説明している。
「今会合での利下げは、6月の利下げを前倒ししたものと捉えることができる。そのため、今後の会合にあらゆる選択肢を残しておく必要性が強調された」という。
米国による関税措置が経済成長に重くのしかかる中、ECBは2週間後に開かれる6月の会合で再び利下げを行う見通しだ。ユーロ高と安価な中国製品が欧州に大量に流入する可能性などから、インフレ率は予想よりも早く2%に低下する公算が大きい。
投資家はさらなる利下げを予想しており、中銀預金金利は1.75%まで低下すると見込まれる。ベルギー中銀のウンシュ総裁は今週ブルームバーグに対し、そのような予想は「合理的なもの」だと述べ、インフレ率が目標値以下へと低下することを防ぐため金融政策を「景気にやや支援的」にする必要が生じるかもしれないとの認識を示した。
その他の内容は以下の通り。
金利について
- 複数のメンバーが、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げの方が安心できたかもしれないと発言。これらのメンバーは、成長への下振れリスクが増したことと、貿易摩擦が比較的穏やかな場合でも、不確実性が既に消費と投資を抑制している点を指摘
インフレについて
- 関税による緊張は、多くのメンバーが想定していたようなインフレ効果を伴わないようだとの認識があった。少なくとも短期から中期についてはその様子だ。部分的には、ユーロが安全資産としての役割を強め、再評価されたためであり、短期的にはデフレ圧力が優勢となる可能性が高い
- インフレの上振れリスクが消えていないことが強調された
経済について
- 防衛とインフラへの追加支出にもかかわらず、2025年のユーロ圏の成長は、全体として以前予想されていたよりも悪化する可能性が高い
声明文の表現について
- メンバーは、声明から「景気抑制的」という表現を削除する時が来たことを指摘した。この文言は過去の高インフレ局面において、金融政策がディスインフレに寄与していることを明確に示す点で有用だった。しかし、このようなシグナルはもはや不要となった
- ただし、この文言の削除は必ずしも、金融政策が抑制的な領域を脱したことを意味しない
ユーロについて
- 最近のユーロの急激な上昇は、米国の経済政策に対する懸念と、それが米資産への大規模なエクスポージャーに及ぼすリスクを背景とした投資家のポートフォリオ再配分が主な要因
原題:Some ECB Officials Saw April Rate Cut as Frontloading June Move(抜粋)
🧠 編集部の感想:
ECBの利下げが予定を前倒しになるとの考えは、金融市場の不安定化を受けた迅速な対応が求められていることを示しています。特に、インフレ率が予想以上に低下する懸念が強まっており、経済成長への影響が懸念されます。この事態は、より柔軟で支援的な金融政策の必要性を浮き彫りにしています。
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