ドイツ自動車メーカーBMWは7日に発表した1-3月期(第1四半期)決算で、EBIT(利払い・税引き前利益)が前年同期比23%減の31億4000万ユーロ(約5100億円)だったと発表した。欧州での電気自動車(EV)販売が中国での需要減退と米関税の脅威を相殺し、予想より小幅な減少にとどまった。
BMWの自動車製造部門の利益率は6.9%で、ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均5.8%を上回った。同社の株価は取引開始直後から一時4.25%高となった。ただ、過去1年間で株価は約25%下落している。
中国市場では、比亜迪(BYD)をはじめとする国内ブランドがEV市場を支配し、高級車セグメントへの進出も加速させており、BMWやメルセデス・ベンツグループといったドイツの自動車メーカーは、シェア回復に苦戦している。BMWの中国での販売台数は、第1四半期に前年同期比17%減少し、同期としては2020年以来最悪となった。

EVは明るい材料となった。EV販売台数は全体で前年同期比32%増、欧州では同64%増だった。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ米政権への関与を深め、欧州の極右政治運動を支援したことで、消費者のテスラ離れが進んだ。BMWを含む各メーカーはその恩恵を受けているようだ。
一方、トランプ大統領の関税措置は、利益への新たな脅威となっている。BMWは年間業績見通しを変更しなかったが、貿易摩擦が不確実性を高めていると認めた。
オリバー・ツィプセCEOは3月、メキシコ、カナダ、中国からの輸入品に対する米国の関税が、今年BMWに約10億ユーロのコスト増をもたらすと述べた。影響を軽減するため、同社は米サウスカロライナ州スパルタンバーグの工場の増強を検討している。
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ただし、BMWは関税の一部を一時的な措置と見ており、7月から引き下げが始まると予想している。また、同社は物価上昇率の安定化と緩やかな利下げが今年、複数の市場での需要を後押しすると予測している。
原題:BMW’s EV Sales Help Soften First-Quarter Earnings Decline (2)(抜粋)
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