［プレイレポ］夏目が過ごす何気ないけれど特別な夏休み。「夏目友人帳 〜葉月の記〜」で触れるやさしい時間

　ブシロードは，2025年6月5日に「夏目友人帳 〜葉月の記〜」（PC / Nintendo Switch）をリリースする。

　「夏目友人帳」といえば，妖（あやかし）が見える少年「夏目貴志」が，用心棒の「ニャンコ先生」とともに，「友人帳」に名を縛られた妖たちにその名を返していく物語。人間と妖の，優しくてどこか切ない日々の営みが描かれている。
　本稿では，そんな「夏目友人帳」初のアドベンチャーゲームである「夏目友人帳 〜葉月の記〜」を紹介していく。舞台となるのは，夏目が過ごす夏休みのひとときだ。
　主人公の夏目貴志やニャンコ先生をはじめとするキャラクターたちは，アニメ版と同じ声優陣が担当しており，背景美術もアニメでおなじみの「石垣プロダクション」が手がけている。プレイヤーは夏目として，まさにテレビアニメの世界に入り込み，夏休みを体験できるのだ。
　それでは早速，本作の魅力をお届けしよう。

「夏目友人帳 〜葉月の記〜」公式サイト

「夏目友人帳」の世界を自由に駆ける

　夏目は小さいころから妖を見ることができた。祖母の「夏目レイコ」も同じ能力の持ち主で，強大な妖力を持っていた彼女は妖相手にケンカをし，勝利してはその名前をもらっていたという。その際，「友人帳」に名前を書いて妖を縛っていたが，近年になって夏目がその友人帳を受け継いだ。
　ただし，友人帳を所持していると，名前を書かれた妖に命令できてしまうため，名前の解放を求めてくる妖や，友人帳そのものを狙ってくる妖たちも現れる。そんななか，招き猫に封印された「ニャンコ先生」と出会い，「夏目の死後，友人帳を譲り受ける」という約束で，用心棒としてともに行動することになる……というのが「夏目友人帳」のあらすじだ。

主人公の夏目貴志（CV：神谷浩史）。幼いころに両親を亡くしたあとは親戚の家を転々としてきた。現在は父方の遠縁である藤原家に身を寄せている

ニャンコ先生（CV：井上和彦）。本来は「斑」（まだら）という強大な妖だが，招き猫に封じ込められていたところを夏目によって解放された。人によって「ニャンゴロー」「ポン太」「つるふか先生」など，呼び名が違う

藤原塔子（CV：伊藤美紀），藤原 滋（CV：伊藤栄次）。夏目の父方の遠縁で，夏目を優しく温かく見守っている

　本作に登場するキャラクターたちが夏目とどのような関係にあるのか，また訪れた場所にどんな思い出があるのか，そうした背景が，アニメのカットを用いて丁寧に描かれている。そのため，長年のファンはもちろん，「夏目友人帳」に初めて触れる人でも，人物のつながりや関係性を理解しやすくなっている。

夏目がこれまでに出会った妖たち。町のさまざまな場所で出会いの物語があり，いまも多くの妖たちと交流がある

田沼 要（CV：堀江一眞）や多軌（CV：佐藤利奈）は夏目の大切な友人

名取周一（CV：石田 彰）。夏目と同様に妖が見え，妖怪祓いを生業としている人気俳優。撮影のため，夏目が暮らす町に一時的に滞在している

　舞台となるのは，夏目たちが暮らしている町一帯。夏休みに入った夏目は，家族やクラスメイト，そして妖たちと穏やかな日々を過ごしていくが，その過ごしかたはプレイヤーの選択次第となっている。
　学生らしく宿題や課題に真面目に取り組むのも良し，友人と遊びに出かけたり，名取さんの撮影を見に行ったり，誰かの頼みごとを手伝ってあげてもいい。
　色彩豊かに描かれた夏目の町を自由に散策しながら，自分なりの夏休みをゆったりと楽しめるのだ。

夏目が暮らす藤原家。夏目の部屋をはじめ，ダイニングや玄関，庭などを自由に行き来できる

冷蔵庫の中には，塔子さんが用意してくれたおやつが毎日入っている。小さなことだけど優しさを感じる

住んでいる家や通学路，妖たちが集まる森，友人の田沼や多軌の家など，訪れることができる場所はさまざま

忙しくも充実した，
あなただけの夏休みを

　隣接しているエリアにはそのまま歩いて（走って）移動するか，「移動先選択」画面から移動できる。その際，「！」マークがついている人は頼みごとや依頼，会話などが発生する。達成するとそれぞれポイントやアイテムがもらえ，そこからさらに新たな物語が展開することがある。

移動先選択画面を見ると，現在どこに誰がいるか分かる

ふだんお世話になっている塔子さんの困りごと。もちろん無償で解決しようと思ったけれど，ポイントとお礼の手作りクッキーをもらってしまった。何かの形で返したい

貯まったポイントは七辻屋や三ツ森ストアといった店舗で使える。店舗によって品ぞろえが違うが，お菓子や調度品などが購入可能

アイテムは「おくりもの」として知り合いにプレゼントできる。また，おくりものをすると特別なイベントが発生することも！

おくりものができるとなると，好みのものを渡して相手を喜ばせたくなる。とくにニャンコ先生にお菓子を献上できるのは，ニャンコ先生ファンにとってこの上なくうれしい……！

もらったり買ったりした調度品は夏目の部屋に飾ろう

部屋では着替えが可能。気分で替えてもいいし，その場にふさわしい服装をチョイスしてもいい

　夏目の夏休みは，家族と過ごしたり，ニャンコ先生と遊んだり，友だちと出かけたり，妖たちと触れ合ったり，名取さんの撮影を見学したり，宿題や課題に取り組んだりと，本当にさまざまなことが楽しめる。
　ただし，時間は有限で，昼間にしかできないことがあったり，高校生であるため夕方には帰宅しなければならなかったりと，1日は思っているよりもあっという間に過ぎてしまう。そして，8月31日には夏休みが終わってしまうのだ。
　夏休みをどう過ごすかはプレイヤー次第。ただし，1日のなかで行動できる回数には限りがあるため，やれることのなかから「やりたいこと」を選び取っていくことで，5つのエンディングのいずれかにたどり着くことになる。
　なお，本作はオリジナルストーリーながら，原作そのままの優しく温かな世界観が丁寧に描かれている。物語の続きを早く知りたくなる一方で，この穏やかな日常をゆっくり味わいたくなる。そんな気持ちにさせてくれる作品だ。

フリーマーケットや夏祭り，花火大会など，夏目が参加予定のイベントもいくつか用意されている。選択肢によって物語の展開が変わることも

ニャンコ先生と遊ぼう！
思わず夢中になるミニゲーム

　夏休みを満喫しながら町を散策していると，ときどき物陰にひっそりと隠れているニャンコ先生の姿を見つけられることがある。

茂みや木の影に隠れていたニャンコ先生を発見！

見つけるとニャンコ先生の日常を垣間見られる

ときにはとんでもない場所に潜んでいたり，乗っかっていたりするニャンコ先生。全部発見したい！

　また，とある依頼を達成すると「ねこじゃらし」が手に入ることがあり，なんとニャンコ先生と遊べるようになる！　ねこじゃらしをフリフリして，ニャンコ先生がとびかかってくる瞬間にうまく避ければ得点がアップ。ハイスコアを目指して挑戦してみよう。

かわいすぎるニャンコ先生

ねこじゃらしには種類がある。町を散策して入手しよう！

　同様に，「カードセット」を手に入れると，神経衰弱で遊べるようになる。神経衰弱は，伏せられたカードの中から同じ絵柄を探し出す，おなじみのミニゲームだ。

ニャンコ先生と勝負。記憶力が試される

ニャンコ先生以外の人物とも勝負できる。似ている絵柄が多く，一筋縄ではいかない。時間制限はないのでじっくり考えよう

　夏休みと聞いて，真っ先に思い浮かぶのは何だろう。大量の宿題，夏祭り，花火大会，肝試し，友だちとの遠出……いつもとは少しだけ違う，そんな非日常のわくわく感。本作に描かれる夏休みも，まぶしいほどにキラキラした思い出でいっぱいだ。

夏休みの風物詩もお忘れなく

　筆者は，あっちで遊び，こっちでも遊び，気になるところをフラフラしながら夏目の夏休みを精いっぱい満喫していた。気がつけば課題は中途半端なまま，夏休み最終日を迎えてしまっていた。それはそれで高校生らしい楽しさがあるものの，「もしあのときこうしていれば」と思わずにいられない瞬間もある。
　夏休みを1周してみると，「もっとこうすればよかったな」とか「あの人に好きなものをプレゼントしてなかったな」など，小さな心残りがいくつも出てくる。そんな思いを抱えながら2周目，3周目と夏休みを過ごすうちに，新たな発見が次々と押し寄せてくるのだ。少なくとも5つのエンディングと，ニャンコ先生の毎晩違う寝姿は，見逃せないポイントである。
　終わらせたくはないけれど，何度でも過ごしたくなる――そんな夏目の夏休みを，ぜひこの夏，多くの人に体験してもらいたい。

詳しい経緯は伏せるが，名取さんからもらえるブロマイド。初回限定版には，これに似た豪華特典グッズもあるので要チェック！

タイトル：夏目友人帳 〜葉月の記〜
発売日：2025年6月5日（木）
ジャンル：アドベンチャー
プレイ人数：1人
対応言語：日本語，簡体字，繁体字
対応機種：Nintendo Switch/Steam
メーカー希望小売価格：パッケージ版7480円（税込）/ダウンロード版7480円（税込）/初回限定版1万2980円（税込）
初回限定版と各店舗の特典情報はこちら。予約を締め切っているところもあるので，お早めに。
https://natsume-haduki.bushiroadgames.com/product/

「夏目友人帳 〜葉月の記〜」公式サイト