※本稿にはゲーム内のネタバレを含みます。
 アニプレックスが2025年4月24日に発売を予定している「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」PC / Switch)は,TooKyo Gamesとメディア・ビジョンが開発するアドベンチャーとシミュレーションを組み合わせたゲームだ。
 ディレクションとシナリオは,「ダンガンロンパ」シリーズの小高和剛氏「極限脱出」シリーズの打越鋼太郎氏が担当。キャラクターデザインは,これまた「ダンガンロンパ」シリーズでお馴染みの小松崎類氏が務めている。

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 15人の少年少女による“極限と絶望”の100日戦争が描かれる本作だが,エンディングはなんと100種類も用意されているという。今回,製品版に近いバーションをプレイする機会を得たので,そのひとつのエンディングを見たうえでのプレイレポートをお届けする。

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「HUNDRED LINE -最終防衛学園- 」公式サイト

生きるか死ぬか? 学生たちが突如戦場に放り込まれ,極限の選択を迫られる

 本作の舞台は,空がパネルで覆われた「東京団地」だ。主人公の澄野拓海(CV:木村太飛)は,幼馴染である柏宮カルア(CV: 黒沢ともよ)と平穏な日々を過ごしていた。
 しかし,彼の平穏な生活は突然終わりを迎える。
 東京団地は,謎の怪生物「侵校生」の侵略を受けてしまい,これに立ち向かえるのは特別な「我駆力(がくりょく)」を持つ拓海だけだというのだ。
 拓海は,奇妙な姿をしたSIREI(CV:大塚芳忠)から「我駆力刀(がくりょくとう)」を受け取り,いわれるままに自分の心臓を突き刺して変身する。そして圧倒的なパワーで侵校生を撃退するも,意識を失ってしまう。

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澄野拓海と柏宮カルア

怪しいロボットのSIREIは,拓海を「侵校生」との戦いに引きずり込む
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 目覚めた拓海は「最終防衛学園」の教室にいた。そこには,拓海と同じく我駆力を持つ学生たちが集められており,「特防隊」として100日間の学園防衛を命じられる。SIREIによると,学園の深部に置かれた“あるもの”が侵校生に奪われると人類は滅亡するという。
 果たして拓海たちは,侵校生たちを倒して学園を守り切れるのだろうか?
 我駆力とはどういったもので,なぜ彼らが選ばれたのか?
 学園で守られている“あるもの”とはいったい何なのか?
 侵校生とはどういう存在なのか?
 無数の謎をはらんだ,苦難の100日間が始まったのだ……。

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 まず最初のエンディングにたどり着いた感想としては,さまざまな傷を抱えた学生たちが極限状態でぶつかり合う生き様のドラマであった……というところだろうか。

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 彼らは特防隊の隊員ではあるが,使命感とは無縁の血の通った学生たちであり,極限状態の中で生きるために一生懸命であった。
 それもあってか,物語は“戦うべきか,戦わざるべきか”というところから始まり,主人公を含む学生たちはぶつかり合うことも多い。
 “隔絶された世界で怪生物と戦わなければならない”と命令された学生たちだが,反応はみんなバラバラだ。
 主人公の拓海は,カルアを守るために戦うことを決意。不良学生のようだが曲がったことを嫌う厄師寺猛丸(CV:小林親弘)も生き残るための戦いに納得するが,最も高い戦闘力を持つ雫原比留子(CV:井上麻里奈)は,戦闘拒否組を切り捨てるべきとし,学園からの追放を提案する。
 物静かな蒼月衛人(CV:櫻井孝宏)は,戦う意味が分からないとして逃亡を主張する。双子の九十九今馬(CV:緒方恵美)と九十九過子(CV:伊藤梨花子)は,お互い以外に関心を示さない様子だ。
 川奈つばさ(CV:佐倉綾音)はある事情から戦いを拒否するが,自己評価の低い銀崎晶馬(CV:堀江 瞬)は,切り捨てもやむなしと消極的に納得する。
 臆病な丸子 楽(CV:小野賢章)は戦闘に恐怖し,自己破滅型の飴宮怠美(CV:ファイルーズあい)は,現状をデスゲームのようだと歓迎する。

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厄師寺猛丸の言動は粗暴なヤンキーのようだが,弱い者の味方だ

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雫原比留子はなぜか異常な状況に適応しており,戦いに難色を示すメンバーの追放を提案する

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戦闘拒否組の筆頭である蒼月衛人は,全員で逃亡すべきと主張する

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九十九今馬は,妹の九十九過子以外の人間に興味を示さず,過子も兄のいいなりになっている

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川奈つばさは,とある事情から戦うことができないという

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銀崎晶馬は自己卑下がひどく,比留子から見捨てられるのもやむなしと考える

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臆病な丸子 楽は,戦えないと泣き叫ぶ

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飴宮怠美は諸々病んでおり,デスゲーム感覚で戦いに参加するという

 また新たな仲間として,なぜかカルアとうり二つの霧藤希(CV:黒沢ともよ),財閥の跡取りで傲慢な大鈴木くらら(CV:小倉 唯),愛刀とただならぬ関係にある侍少女の凶鳥狂死香(CV:白石晴香),拷問を趣味とする面影 歪(CV:浪川大輔),現役女子高生でレスラーの喪白もこ(CV:井上喜久子)らが合流するのだが,ここでもさまざまな理由から皆が衝突する。

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霧藤希はカルアとうり二つだが,拓海のことは知らないという

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大鈴木くららは奇怪な仮面を被り,傲慢な態度で周囲を翻弄する

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凶鳥狂死香は侍少女で,何かとすぐに刀を抜く

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殺し屋一家に生まれた面影 歪は,拷問を趣味とする

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喪白もこは現役女子高生かつレスラーであり,皆から慕われている

 物語の具体的な内容は避けるが,ひとつの事件が片付いたら,また新たな事件が起こるという具合で,プレイの止め時が見つからない。あのキャラの運命はどうなるのか,浮かび上がった新たな謎の真相は,この事態にはどう収拾がつくのかと,あらゆる方向からプレイヤーの心を揺さぶってくる。
 体験としては,何シーズンか配信されている海外ドラマを一気見する感じが近いだろうか。「今日はこの件にケリがついたら寝よう」と思っていたら,新たに気になることが出てきてついつい見続けてしまう。
 おかげで翌日は寝不足になり,真っ赤な目でフラフラと仕事に行くものの,夜になるとまた続きを……というアレを本作でも体験することになった。

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 本作に没入させるゲームならではの仕組みが,「説得ミッション」と「エピソード単位に区切られていない100日間」だ。
 学生たちはそれぞれに事情を抱えているため,戦ったり任務に協力したりすることを拒否することもある。説得ミッションモードでは,その言い分を聞き,適切なタイミングで適切な言葉をかけることで「説得度」が上昇,100%になると心を開いてくれる。
 このモードはリアルタイムで展開し,口を挟まずじっくり聞くことで選択肢が増えることもあれば,タイミングを逸して説得が失敗することも。いわばインタラクティブな説得だ。
 戦いを拒否する面々も,よくよく話を聞いてみれば,その理由は納得できるもの。このモードがあるからこそ,彼らのことをしっかり理解できる。説得が成功すれば後述するシミュレーションパートでも大活躍してくれるため,感情移入がより深くなるだろう。

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 ドラマ仕立てのゲームの中には,各ステージを「第×話」や「第×章」といった形で区切り,その中で完結する小さな物語(ADVパート)や戦闘パートが起こるものもある。
 しかし本作は,TVアニメや漫画を思わせる設定を持ちつつも,このような「第×話」的な形式を採ってはいないのだ。結果として,プレイヤーの体験は“いつ来るか分からない侵校生の襲撃に怯えつつ,その日できることをこなしていく”という,作中の拓海とシンクロしたものになる。

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学園のあちこちには学生たちがいて,一緒に過ごせる

 侵校生が襲ってこないときは自由時間となり,さまざまな活動が可能だ。選んだ仲間とともに過ごして拓海のパラメータを上げる「学究活動」をしてもいいし,皆が使う「学生兵器(クラスウェポン)」や「戦略物資」のパワーアップ,戦闘訓練をしてもいい。
 また,相手との関係を深めるために「プレゼント」を作ったり,必要な素材を校外へ探しに行く「探索」をするという手もある。

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戦いに備えて,「学究活動」では拓海の成績を上げておこう

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「学生兵器」をパワーアップするには,戦闘で得られる「BP」が必要だ

「VR訓練」のステージをクリアするとBPがもらえる
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「プレゼント」の種類は多い。学究活動を通じて好みを探り出しておこう

素材を探す「探索」はスゴロク仕立て。マスで起こるイベントはランダムだが,パラメータが高いと新たな選択肢が出現することもある
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 学園内でやれることは多いが時間は限られているし,侵校生がいつ来るか分からないため,予め計画を立てておくようなことも難しい。
 結果として,「明日侵校生が襲ってきて,パワーアップが足りなかったらどうしよう」「今回はこの仲間と一緒に過ごしたけれど,別のパラメータを上げたほうが良かっただろうか……」と常に迷いつつ,コマンドを選択することになる。
 このように先の読めない不穏な日々だからこそ,合間にあるイベントや,高校生である彼らが発する年相応の一言がより印象深いものとなる。前述した説得ミッションとあわせ,自分で選択するゲームだからこその感情移入といえるだろう。

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無数の敵,卑劣な罠,絶望の中で学生たちは生き抜くためあがき続ける

 アドベンチャーパートでキャラクターたちに感情移入したところに,戦場の現実を突き付けてくるのがシミュレーションパートだ。戦いはターン制で,基本的には,学園の「バリア装置」を防衛することが目的となる。
 ユニットとなる主人公や仲間たちは,自分の心臓を我駆力刀で突き刺すことで,噴き出す血しぶきとともにスタイリッシュな学生鎧姿に変身する。そして,各々の固有武器である日本刀や鎌,オートバイやガトリング砲や巨大ロボといった学生兵器で大暴れするのだからたまらない。

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 戦いに勝利するためには,本作のシステムを理解し,戦術をじっくりと考えたうえで重い一手を下す“詰め将棋”的な思考を求められる。
 多くのシミュレーションゲームには乱数が取り入れられ,同じ状況でも攻撃が当たったり外れたり,ダメージが多くなったり少なくなったりするが,本作にはこうしたランダム要素はない。
 味方も敵も攻撃は必ずヒットするし,そのダメージは能力値や攻撃の種類によって固定だ。加えて,やり取りされる数字も1桁単位とシビア。つまり,“まずい采配をしても乱数のおかげで助かった”とか“命中率90%を越えるはずの攻撃が何度も外れて乱数の不条理を味わった”なんてシミュレーションRPGあるあるが,本作には起こらないのである。
 また,キャラクターを行動させるために必要な「AP」の扱いも重要となる。
 APは,1回行動するごとに1ポイントが必要である。APが続く限り誰を何回行動させてもいいが,ゲームの後半では10人以上のキャラクターが登場するため,APが足りずに動けない者も当たり前のように出てくる。
 そのため,キャラクターを動かす前にじっくりと考えることが大事。戦術が固まったところで,一気に実行に移すプレイになるわけだ。

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とあるステージ。味方は14人だがAPはたったの「5」しかない。「誰かを行動させない」「雑魚以上の敵を倒してAPを補充する」といったやりくりが必要となる

 ここに彩りを添えてくれるのが,各キャラクターの濃すぎる個性と「疲労」システム,そしてパッシブ能力「特異科目」である。
 キャラクターは,それぞれに異なる攻撃範囲を持っている。横一線の敵を薙ぎ払える拓海や,自分を中心にX字の範囲に雷を落とす衛人,正面1マスしか攻撃できないが威力は非常に高い比留子など,いずれも個性的。攻撃範囲の違いを上手く使えば,群がる雑魚を一掃するなどの派手な活躍が可能である。
 なお同じターン内でも,APが残っていれば同じキャラクターを何度も動かせる。しかし一度行動したキャラクターは,疲労状態となって移動力が激減してしまうので注意も必要だ。

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衛人の攻撃。非常に広い範囲を攻撃できる

 キャラクターが持つ「特異科目」を意識すれば,より高度な戦術を構築できる。
 猛丸の「特異暴走」は,バイク型学生兵器で移動したマス分だけダメージを吸収する「アーマー」を得るため,長駆して敵陣に突っ込むような戦い方が有効だ。
 また狂死香の「特異武士道」は,孤立した敵に対して攻撃力がアップするので,大物の周囲をほかのキャラクターで掃除してから彼女を投入すればより高い戦果を挙げられる。
 くららは,「特異工作」で攻撃や支援を行うデバイスを設置できる。これは同時に周囲の建造物のHPを回復できるため,バリア装置の周囲に防衛線を展開するのが有効になる。

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くららの「支援塔」は,周囲の味方にアーマーを与える

 仲間が使用する学生兵器は,アドベンチャーパートで拓海の成績を上げ,実戦や訓練で得られる「BP」を支払うことでパワーアップが可能だ。スキルレベルを上げていくと「資材」を要求されることもあるので,探索に出かけて確保しておこう。
 また戦略物資を開発すれば,攻撃力アップや疲労状態を解除する薬,周囲にダメージを与える爆弾や,敵の行く手を阻む鉄柵といった装備を作り出せる。こちらも戦いでは重宝するので,行動に余裕があれば開発を進めておこう。
 本作ではシミュレーションRPGで定番となる,敵の攻撃を受けての反撃やHP回復が簡単に使えないため,プレイはセオリーを理解して新たな技や戦略物資が解禁されるごとにアグレッシブなものとなる。
 システムやアイテムの効果を理解できれば,攻撃力の高いキャラクターでボスを捉え,ありったけのAPと薬をぶち込んで一気にケリをつけるようなことも可能で,こうした戦術が決まれば気分は爽快だ。

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「戦略物資」の「爆弾」は,攻撃されると爆発し周囲にダメージを与える。ただし,味方も巻き込まれる

 しかし侵校生もさるもので,さばききれそうもないほど大量の敵,学園の四方からの進行,広範囲の攻撃,姿を隠す霧,行き先が予想できないテレポートなど,さまざまな手段でこちらを追い込んでくる。
 幻覚を見せて姿を変えるだけでなく,こちらのスキルの説明文を意味不明の記号にしてくることもあり,戦いが非常にカオスな状態になることも。公称ジャンルにもある“極限”と“絶望”を味わうことにもなるだろう。

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霧の中では何も見えず,接触するまで攻撃もできないが,敵は自由に行動する

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ボスの攻撃は,とんでもない広範囲

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幻覚にかかると,スキルの説明文が意味不明の記号の羅列になる。また敵の姿も変わって見えてしまい,雑魚だと思って攻撃したら中堅クラスの強敵だった,なんてことが起こる

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味方が防衛目標であるバリア装置に攻撃してしまうことも

 主人公たちの切り札となる「必殺我駆力」や「決死必殺」も,厳しい戦場の現実を叩きつけてくる。
 敵を倒して「VOLTAGE」を上げれば,「必殺我駆力」を放てるようになる。「必殺我駆力」はAPを消費しないうえに広範囲かつ高威力だが,しばらく行動できない「スタン」状態になるため,敵の増援が現れるなどすると危機に陥ってしまう。

敵が近くにいる場合,「スタン」になるとかなりピンチに
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 またHPが減って瀕死になると,「決死必殺」が使えるようになる。こちらも「必殺我駆力」と同様にAPを使わず,広範囲に最高威力の攻撃を放てるが,使ったキャラクターは死んでしまう。
 死んだキャラクターは戦いが終わるまで復活できないが,残された仲間のVOLTAGE上昇に倍率がかかるといったメリットもある。VOLTAGEは「必殺我駆力」だけでなく,基礎攻撃力を上げたり,敵の攻撃を受けた際の「反撃」や,攻撃範囲内の敵を自動的に攻撃する「迎撃」の解禁にも使えるため,あえて仲間を死なせるといったプレイが必要になることもある。

敵に倒されるくらいなら,「決死必殺」を使っておきたい
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死亡した仲間の死体は回収されるが,次のバトルでは復活する
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 とにかくバトルに勝ちさえすれば,倒れた仲間も無事に復活して帰ってくる。学園の「蘇生装置」によるクローンのような形での復活ではあるが,記憶も連続しており,ゲームの進行に特に問題はない。
 バトルマンガにある「命をかけた大技」や「残された仲間たちの奮起による逆転勝利」「なぜか味方が復活してくる」といったフィーチャーがシステムとして再現されているというわけだ。

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 とはいえ,アドベンチャーパートで感情移入したキャラクターに「決死必殺」を使わせるのはあまりいい気分はしない。苦し気な声や悲壮な決意を示すひとこととともに決死必殺を放ち,血しぶきとともに倒れ伏す姿は可哀そうというほかないからだ。
 説得ミッションやさまざまなイベントで彼らの内面を知り,苦楽を共にしているからこその感情移入といえる。彼らに「決死必殺」を使わせたのは,ほかでもない自分自身なのだ。

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 しかし,長くプレイしているとこうした感情にも慣れていく。次のターンで確実に倒されるキャラクターを見て,「無駄に死なせるよりは,決死必殺で有効に散ってもらい,残った仲間のテンションも上げたほうが有意義だよね」などと考えている自分がいる。
 前述のとおり,シミュレーションパートでは数値的なランダム性がないため,助からない者は助からない。奇跡を祈ることも許されず,ただ現実が押し寄せてくる,戦場のリアルといえるだろう。
 そして敵のボスを倒したあとには,「誰にトドメを刺させるか」という選択が待っている。トドメを刺したキャラクターはパワーアップし,必殺技の威力とVOLTAGEの取得倍率がアップするので,ここでも非常に悩むことになるだろう。

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 シミュレーションパートは,通常難度「HUNDRED LINE」だけでなく,定期的にHPや状態異常が回復する「SAFETY」モードも用意されている(これまでの感想はHUNDRED LINEを100日目までプレイした際のものである)。
 またどちらのモードでも,負けたらVOLTAGEが最大値になったうえ,バリア装置のHPも全回復した状態からリスタートできる。シミュレーションゲームは苦手だが物語は楽しみたいといった人にも安心な作りとなっているのがうれしい。

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 このように,本作では物語の面白さにゲームならではのインタラクティブ性が上手く掛け合わされている。アドベンチャーパートや説得ミッションで内面を知った仲間がシミュレーションパートで大活躍するというように,2つのパートが両輪になっており,ゲームならではの感情移入が形作られていると感じられた。
 ちなみに,筆者の推しは楽と晶馬だ。臆病で自己中心的な楽と,極端なまでの自己卑下を繰り返す晶馬だが,シミュレーションパートではガトリング砲や巨大ロボットで一騎当千の活躍を見せるギャップが心地いい。

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 「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」は,最初のエンディングを迎えたあともたくさんの謎が残っており,とてもすべてを味わいつくしたとはいえない。物語的にもあらゆる方向から揺さぶりをかけてくるため,退屈するいとまはまずないはずだ。
 小高氏は本作の完成発表会の中で,「とあるポイントにたどり着くと面白さにブーストがかかる」と話していた。もしかしたら,最初のエンディングがそのポイントなのかもしれない。

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[2025/04/15 16:26]

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 世界の謎だけでなく,仲間一人ひとりの運命までが気になってしまった本作。仕事ということを忘れ,ついつい遊び続けてしまった作品なので,面白いゲームであることは間違いない。
 物語の詳細について書くことができないため,抽象的な文章になってしまうのだが,予想もしていないようなタイミングで予想もしていなかったことが起こるのは確かだ。
 「ダンガンロンパ」や「極限脱出」シリーズのファンはもちろんのこと,公式サイトのあらすじを読んで先が気になる人や,尖ったゲームを求める人であれば,きっと満足できるだろう。

画像ギャラリー No.064のサムネイル画像 / [プレイレポ]エンディングは100種類!「HUNDRED LINE -最終防衛学園-」は,予測不可能な展開と尖ったシミュレーションパートが魅力

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