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[インタビュー]PlayStationプラットフォームの功労者である吉田修平氏が語る,インディーゲームへの熱い思い


SIE退任後,自身が起業したYosp, inc.でインディーズゲームパブリッシャやデベロッパのアドバイザーとして活動を始めた吉田修平氏
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 現地時間2025年4月30日〜5月3日,ブラジルのサンパウロで開催されたgamescom latam 2025の会期中に,30年以上におよびPlayStationプラットフォームの発展に従事し,今年1月にソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)を退社した吉田修平氏にインタビューを行った。
 吉田修平氏については,もはや説明する必要もないだろうが,1986年にソニーに入社し,1993年には久夛良木 健氏に誘われる形で,32人目のソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE)のメンバーとして業務部に配属されて以降,PlayStationプラットフォームと共に歩んできた業界人だ。
 アメリカの開発支部の育成を主導し,「アンチャーテッド」「The Last of Us」「ゴッド・オブ・ウォー」など,多くのファンベースを抱えるに至ったフランチャイズの育成に関わり,その後はインディーゲームタイトルのサポートにも取り組んできた経歴が認められ,2023年には英国アカデミー賞 フェローシップ賞,そして今回のgamescom latam 2025で生涯栄誉賞を受賞した。
 そんな吉田氏は,2025年3月に自身のコンサルティング会社となるYosp, inc.を起業し,パブリッシャのアドバイザーを行うなど,新しい活動に向けて精力的に取り組み始めている様子だ。
 プラットフォームホルダーの重役という責務から解放されたためか,「メディアの方々とお話しするのは大好きなんですよ」と朗らかに話していた吉田氏だが,今回のイベントでは1日に20件を超えるようなミーティングや,現地メディアの取材を引き受けるなどしている。その多忙な中で,ホテルでの朝食中に同席する形で単独インタビューを行い,氏の現在やインディーゲームに対する思いを聞いてきた。

吉田氏のインディーズとの出会い

4Gamer:
 吉田さんというと,Naughty DogやSanta Monica Studioのタイトルに深くかかわってきたという印象が強いのですが,ご自身でインディーゲームタイトルを強く意識され始めたのは,いつ頃だったのでしょうか。
吉田氏:
 私は,もともとソニー在籍中にUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に2年留学しており,そのあとにSIEの業務部に配属となったのですが,それからは「クラッシュ・バンディクー」に始まり,「グランツーリスモ」「スパイロ・ザ・ドラゴン」「Ape Escape (サルゲッチュ)」「レジェンド オブ ドラグーン」といったタイトルのプロデューサーをしておりました。
 その当時なんて,まだインディーズかどうかなんて明確な基準はハッキリしておらず,「クラッシュ・バンディクー」を作っていたとき,Naughty Dogには8人しかいませんでした。
 アメリカに赴任したのは2000年からの8年ほどですが,そのときにリリースされたPlayStation 2では,それ以前よりも開発コストが増大し,リスクも高く,ちょっとした面白いアイデアが出にくくなっていました。
 一方で,デジタルディストリビューションが発展して,SteamやXbox Liveなどが盛り上がり,小さなプロジェクトであっても面白いゲームが作り上げられるようになったことで,私もプロデューサーとして開発現場を見始めたときの楽しさを思い出すキッカケになりました。アイデアで勝負できる土壌が生まれたなあと思ったんですよね。

gamescom latam 2025にて生涯功労賞を受賞
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4Gamer:
 吉田さんが2019年にSIEワールドワイド・スタジオ(現PlayStation Studios)を退任し,インディーゲームにフォーカスされる以前で言えば,「No Man’s Sky」もHello Gamesのショーン・マレー(Sean Murray)さんと一緒のプレビュー映像を公開するなど,ずっとインディーゲームに目をかけてこられました。
吉田氏:
 あの当時は,SIEのPlayStation 4プラットフォームにおける,インディーゲームへの対応が批判され始めていたころなのですが,「No Man’s Sky」が出てきたときには本当に驚きました。あれだけの規模のゲームを,最盛期でも10人くらいしかいなかったようなチームが作り出していたのですから,すごいことです。

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 誰もがプレイしたくなるファーストパーティ製のAAAタイトルを数多く抱えるPlayStationプラットフォーム。しかし,インディーズゲーム開発者たちからは不満の声があがりつつあるようだ。いったい何が起きているのか,開発者たちの声からPlayStationの現状を探ってみよう。


[2021/07/05 10:30]

 ローンチ後は,それ以前にショーンがメディアで語っていたことが実現されなかったことで,コミュニティから批判を受けて大炎上しました。しかし,何年も開発を継続し,ライブサービスの賞を取り続けて,徐々に批判を跳ねのけていったのも驚きでした。ああいったことも,インディーゲームじゃないとできないことなのかもしれません。彼らの次のプロジェクト「Light No Fire」にも期待しています。

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 Game Developers Conferenceでは初の試みとなる,開発者達の過去を振り返るセッション「Developer’s Journey」にて,「No Man’s Sky」を手掛けたHello Gamesのショーン・マレー氏が登壇し,リリース後の数年間を振り返った。批判や悪意あるコメントに晒されつつも,プログラマーらしいやり方で乗り越えることに成功したようだ。


[2019/03/21 17:16]

4Gamer:
 吉田さんが,もっとも感銘を受けたゲームをあげるとすれば?
吉田氏:
 やはりthatgamecompanyの「風ノ旅ビト」ですね。
 PlayStation Networkでディストリビュートされただけのデジタルオンリー作品で,3時間で終わってしまうような小さなプロジェクトですが,あるときクリエイターのジェノヴァ(Jenova Chen)が受け取った手紙の話をしていて。お父さんを失ったばかりの女性ゲーマーが,「風ノ旅ビト」をプレイすることで心が癒され,彼女も自分の人生を歩んでいくことができたと書かれていたそうです。
 あんな小さなゲームでも,誰かの人生に大きな影響を与えることができるのはすごいことですし,私自身も感激してしまいました。
4Gamer:
 そうして,31年にわたってソニーのゲームプラットフォームに貢献されて来られましたが,今はどういった活動をされているのでしょう。
吉田氏:
 2025年にソニーを離れたあと,Yosp, inc.(*1)を立ち上げて,パブリッシャのアドバイザーなどをしています。
 「Clair Obscur: Expedition 33」が日本でも高く評価されていて,昨年は「Pacific Drive」などもパブリッシングしていたKepler Interactive,「風ノ旅ビト」のPC版のほかにも,「Stray」「COCOON」などのタイトルをリリースしている,Annapurna Interactiveから独立した新しいチーム(*2)など,いまは4社ほどの提携先と組んでやっています。
(*1) yospとは,吉田氏自身のXアカウント名
(*2) Annapurna Interactiveからは,2024年9月にスタッフが総辞職しており,今年1月になってTake-Two Interactiveが売却したインディレーベルPrivate DivisionのIPを引き継いだとされている

thatgamecompanyの「風ノ旅ビト」は,吉田氏がもっとも感銘を受けたと語るインディゲームの1つだ
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Kepler Interactiveに代表される新しいパブリッシングのカタチ

4Gamer:
 いまでは年間1万本のゲームがリリースされる,インディーゲーム活況の時代で,Kepler Interactiveのようなインディー専門のパブリッシャも,Devolver DigitalやRaw Fury,Team 17のようにゲーマーコミュニティから知られる企業も多く出てきています。
吉田氏:
 彼らのような知名度のあるパブリッシャになると,それこそ毎月何千というようなゲームプロジェクトの話が舞い込んできます。その中で,まだ埋もれている宝石を見つけ出すのをお手伝いするような仕事をやっています。
 もちろん,いまではPlayStationプラットフォームに限らず,広くゲーム市場にアピールできるゲームを探しているんです。
4Gamer:
 これまで,何百,何千というゲームを開発段階から見てきたであろう吉田さんが,「これは成功するかも」とビビッとくるような瞬間ってありますか。
吉田氏:
 ありますね。最初はやはりビジュアル部分で際立っていることです。絵が綺麗と言うだけでなく,変わったことをやっているとか,ほかにはないアイデンティティを持っているようなゲームだと注目しやすいですよね。もちろん,触ってからじゃないとゲームとして面白いものかどうかは分からないですけれどね。
 最近では「Clair Obscur: Expedition 33」は長く注目していたゲームの1つです。あのゲームは3年前のGDC(Game Developers Conference)で見ているんですが,もうすでにプレイアブルな状態のデモも持ってきていて「これはポテンシャルがあるな」と感じました。ターン制のコンバットをつなげていくのが,私が昔プロデュースしていた「レジェンド オブ ドラグーン」の系譜なんだと,すごく感銘を受けたタイトルだったんです。
 当時,面白いことをやっているように思ったので,ゲームメカニックに「何か名前を付けたほうが良いよ」と話したのを覚えています。
4Gamer:
 “リアクティブターンベース”と呼ばれているヤツですね。「今年のゲーム・オブ・ザ・イヤーかも」と言われているゲームと吉田さんにそんなつながりがあったんですね!
吉田氏:
 私が独立したときには,すでにKepler Interactiveと開発元のSandfall Interactiveは提携済みであって,私は日本でのプロモーションに関わった程度ですけど,3年前に見たゲームがどうなるかとずっと気にはかけていました。
 もちろん期待はしていましたが,売れるかどうかというのは別の話で,「ローンチから3日で100万本達成」なんて話題を耳にしたときは,予想以上の成功にびっくりしました。

急にスマッシュヒットになった印象の「Clair Obscur: Expedition 33」だが,吉田氏にとっては3年前から気になっていたゲームだったという
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4Gamer:
 Kepler Interactiveは,最近本当によく耳にするようになりましたね。
吉田氏:
 CEOのアレックス(Alexis Garavaryan)は,もともとUbisoftやID@Xboxで働いたり,アドバイザーをしていたりした人ですけれど,2017年にKowloon Nightsというゲームファンドのファームを立ち上げたんです。

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ゲームファンドKowloon Nights,未発表作品を含めて新たに23タイトルへの支援を発表



ゲームファンドKowloon Nights,未発表作品を含めて新たに23タイトルへの支援を発表


 ゲームファンドのKowloon Nightsは北米時間の2021年2月4日,新たに23のゲームプロジェクトに支援を行うと発表した。タイトルには,Batterystapleの「30XX」,Frozenbyteの「Starbase」など,発表されているもののほか,Thunder Lotus GamesやMassive Damageの未発表タイトルが含まれている。


[2021/02/05 17:50]

 5年ほどの選別やファンドを継続して一息つき,投資したゲームの中からさらに選び抜いて7社ほどを買収し,そのタイトルをパブリッシングを行う企業としてKepler Interactiveが生まれています。
 創設は2022年のことですが,「Sifu」「Windblown」,それからセルフパブリッシングの援助という形ですが「33 Immortals」もそうです。
4Gamer:
 そうなんですね。ゲームファンも唸らせるゲームが出てくるのも頷けます。
吉田氏:
 ユニークなのは,買収した先のオーナーにも経営に参加してもらうというスタイルのデベロッパ集団であることです。企業としては3年くらいですが,開発者としての実績や歴史が非常に長いだけに,優秀なパブリッシャに成長しているのでしょう。
 いま経営には10社くらいが参加していると思いますけれど,デベロッパが寄り集まっているだけに,彼らも良い意味で影響し合ったり,競争心をお互いに煽り合ったりして,素晴らしい効果が出ているのかもしれません。
 例えば,もうすぐ「Sifu」のデベロッパーであるSloclapからは「REMATCH」っていうサッカーゲームがリリースされますが,あれも前評判が良くて私も楽しみにしているゲームの1つです。
4Gamer:
 “インディ・アポカリプス” などと言われて,何千本ものゲームの中には消費者の目に留まらないゲームも出てきていますが,ゲーム市場の展望についてはどうお考えでしょう。
吉田氏:
 ですから今こそ,インディーゲームパブリッシャのような,良いゲームを選び抜いて,投資や広報のサポートなどを行う企業が重要な役目を果たすような市場になってきているのだと思います。
 宝石の数は少ないかもしれませんが,いくつもリリースされるゲームの中に,必ずそんなゲームがあるのがゲーム業界の面白いところで,ヒットを出しているパブリッシャも,それぞれの強い個性を持っていますよね。Devolver Digitalだとアクションゲームに強いとか,Annapurna Interactiveならアーティスティックなゲームを選ぶとか。
 もちろん良くないゲームをリリースしていると,ゲームファンに愛想を尽かされることになるでしょう。ですが,大手パブリッシャにとっては規格外であっても,インディーゲームパブリッシャがリリースするゲームであれば,値段も安いし,デジタルで買いやすいので,信用してプレイしてみるというサイクルに入っていると思います。

Kepler Interactiveの初期参加企業(2021年当時)。これからも,このパブリッシャの動向には注目しておいたほうが良さそうだ
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最近注目しているインディーゲームや,その動向は!?

4Gamer:
 吉田さんの目で見て,「本来ならもっと売れて然るべきだったのに」というゲームはありますか。
吉田氏:
 そりゃもう,いっぱいありますよ。期待していたり,成功するだろうと思っていたりしていても,まったくセールスに結びつかないようなゲームのほうが何倍も多いくらいでしょう。
 またKepler Interactiveの話になりますけれど,先月4月にリリースされた「Bionic Bay」はもっと評価されても良いんじゃないかと思います。背景がカラフルで,フォアグラウンドはその光が差し込んだような色合いがある,モノトーングラフィックスのプラットフォームゲームなのですが,物理ベースで自分のポジションを入れ替えていくギミックが,本当に楽しいゲームなんです。
4Gamer:
 そういう,“良いゲーム”が売れない理由ってあるのでしょうか。宣伝のやり方だとか……。
吉田氏:
 とにかく多くのゲームが出てくるようになっているので,良くできたゲームにスポットライトが当てられるチャンスが減っているのだと思います。最近ではインディーゲームは広報に予算を掛けなくて,ソーシャルネットワークサービスを主体にしてコミュニティ作りを優先する手法が増えています。
 ユーザーも広告に目を通さなくて,結局インフルエンサーがどのゲームをプレイするかで判断するようになっていますよね。gamescomのようなイベントへの出展というのは価値があると思いますので,小規模のデベロッパなら,出展できるようなパブリッシャや,援助してくれる団体のサポートを取り付けるのも良いでしょう。しかし,結局はどのゲームが売れるのかを事前に判断するのは,難しくなっているんじゃないですかね。
4Gamer:
 では,「Clair Obscur: Expedition 33」以外に,吉田さんが「売れるべくして売れた」と思えた最近のゲームはありますか。
吉田氏:
 「Blue Prince」かな。あのパズルゲームもずいぶん前から見せてもらっていて,今年初めにXで「今年のゲーム・オブ・ザ・イヤーの候補になるよ」と発信したのがバズっていたんですが,その予想が当たって良かったです。
 開発者であるトンダ(Tonda Ross)は8年くらいかけてほぼ1人でゲームを作ってきたそうで,本当によくできたゲームだと思います。何かのゲームに影響されたわけじゃないという強い個性を持った人ですが,それだからこそユニークな作品を作り出せたのでしょう。
4Gamer:
 ブラジルのゲーム産業についてはどうお考えですか?
吉田氏:
 3年ほど前に一度,ブラジルに来たことはあったのですが,まだ国単位で印象を受けるほどの知識はないです。私の話で言うと,SIE時代の2016年には中国のインディーゲーム産業に注目して「China Hero Project」を実行し,その後も「India Hero Project」,そして直近では中東から北アフリカまでをカバーする「MENA Hero Project」に関わっていました。ブラジルやLatam(Laten-America)地域にも,そうした投資の波がやってくるとさらに弾みになると思います。
4Gamer:
 では,吉田さんが個人的に注目している地域はどこでしょうか。
吉田氏:
 全般的にアジア,細かく言えば台湾や韓国ですかね。インディーゲーム開発の流れを非常にポジティブに感じています。台湾だと,最近では「九日 ナインソール」は良いゲームでした (※インタビュー後,gamescom latam 2025で実際にゲーム大賞を受賞している)。SFファンタジーに道教のエッセンスを加えたようなゲームで,かなり以前の開発段階から注目していた作品ですが,その仕上がりは非常に満足できるものです。

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 2025年4月30日から5月4日までゲームイベント「gamescom latam 2025」が,ブラジル・サンパウロで開催されている。その初日に併催されたインディーゲームのアワードイベント「BIG Festival」では,優秀賞を獲得した10作品とゲーム・オブ・ザ・イヤーが発表されたほか,吉田修平氏が生涯功労賞を受賞した


[2025/05/01 16:56]

 それから韓国については個人的なことなのですが,Somiさんというゲームクリエイターの作品が大好きなんです。
 2022年には「未解決事件は終わらせないといけないから」というゲームをリリースしていますが,もともと警察官だったという経歴からか,事件や関わっている人への視点がちょっと違うんですよ。過去に自分が担当したり見聞きしたりした,生の情報を元ネタにしているのかと思わせるリアルな展開なのですが,そういう人材が自分を表現するためにゲーム業界に乗り込んできているという環境が素晴らしいことです。
4Gamer:
 ブラジルにしても,カナダやポーランドにしても,政府の文化振興が手厚い国はゲームが産業として盛り上がる傾向にありますが,日本はいかがでしょう。
吉田氏:
 やはり制度上の問題は大きくて,日本だとゲーム作りで食べていきたい人なら企業に入らないといけないという土壌ができていましたから,長らくインディーゲームは定着してきませんでした。
 でも,最近では少しずつ変わっているようで,「8番出口」のようなゲームが出てきているじゃないですか。有名な俳優が出演する映画にもなっちゃうわけですから,すごいですよね。少し前まではあり得なかったんじゃないですか。
 技術はスクウェア・エニックスさんやカプコンさんには敵わないとしても,ともかく面白いアイデアを持っている人は多いですから,私の関係しているパブリッシャからも,日本のインディーゲームシーンには注目しているという声をよく聞くようになっています。
4Gamer:
 本日はありがとうございました。

イベント会期中には,本家VentureBeatから独立したメディアになったばかりのGamesBeatの名物ジャーナリストである,ディーン・タカハシ(Dean Takahashi)氏とのトークセッションも行われた
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吉田氏の右手に座るのは,主催者としてゲーム振興団体Abragames (Associação Brasileira das Desenvolvedoras de Jogos Digitais)に20年近くも関わってきたロドリゴ・テラ(Rodrigo Terra)氏。彼とのインタビューはGDC 2025でも行っている
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 ここのところ,ゲームイベントに参加すると,必ず目にするのが緑を青の国旗カラーに包まれた“ブラジルのパビリオン”だ。国内ゲーム企業は1000社以上,2020年から2022年にかけて2600タイトルもリリースしている。そんな彼らのゲーマーとしてのルーツは「日本にある」ことを知ってもらいたいと,業界団体のAbragamesをまとめるロドリゴ・テラ氏は話す。


[2025/03/26 16:51]

 食事中の,しかも逆オファー的に始まったために,用意をまったくしないままぶっつけ本番となった今回のインタビュー。そんな即興でのインタビューでありながら,長らく海外ゲームを見てきたと自認する筆者でも到底及ばない,吉田修平氏が持つインディーゲームについての“内側からの知識”と,何でも答えてくれる抱擁感のあるトーク力,そしてゲームに対する愛が感じられたのではないだろうか。
 「良いゲームはどんどんパブリッシャのもとに集まってくる」という吉田氏の言葉は,今回のインタビューで名前が出てきたような,ここ最近の彼が関わってきたゲームを見ても分かるだろう。この数年で“プラットフォームホルダーのフロントマン”から,“インディーゲームの伝道者”へと舵を取ってきた吉田氏の今後の活動に,これからも注目したい。

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