日曜日, 6月 8, 2025
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[インタビュー]セガの名作「忍 -SHINOBI-」が熱量の高いデベロッパにより,現代に帰ってくる。14年ぶりの新作に込められた数々のこだわり



 セガから2025年8月29日に発売される「SHINOBI 復讐の斬撃」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One)のプロデューサーを務める寺田貴治氏,シニアディレクターの大原 徹氏に合同インタビューが行われた。シリーズ14年ぶりの新作であり,パリに拠点を置く開発スタジオLizardcubeと共に制作を進めている本作に込めた思いや裏話が語られた。

(左から)セガのプロデューサー寺田貴治氏,同じくシニアディレクター大原 徹氏
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「SHINOBI 復讐の斬撃」公式サイト

――「忍 -SHINOBI-」シリーズの新作に関わることになった経緯を教えてください。
大原 徹氏(以下,大原氏):
 「忍 -SHINOBI-」をはじめとする過去のIPについて知っているからです。制作に携わったことはありませんが,“アクションゲームが上手くない代表”として参加できていると思います。
寺田貴治氏(以下,寺田氏):
 参加の理由は大原と同じです。2002年の「Shinobi」ではプレイヤーのアクションを考えるために参加し,どんな敵でも一撃で倒す「殺陣」システムや,壁に張り付いての行動などに関わりました。

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――開発にはセガのスタッフが参加しているのでしょうか。
寺田氏:
 アートやプログラムのテクニカル面など,各項目のディレクションをする者がセガから参加しており,わりと多い人数だと思います。
――シリーズとしては「Shinobi 3D」から14年ぶりの新作となります。なぜ今,「忍 -SHINOBI-」の新作が出るのでしょうか。
寺田氏:
 現在,セガは過去のIPを現代でも活躍させるという取り組みをしています。とくに有名なIPとして,「忍 -SHINOBI-」も復活を果たすことになりました。
――オリジナル版のスタッフからフィードバックはありましたか。
大原氏:
 オリジナル版のスタッフではないですが,「ザ・スーパー忍」をやりこんだスタッフからフィードバックを受け,難しさの中にある気持ち良さをどう表現するかを議論してきました。
――現在の開発進行度はどれくらいですか。
大原氏:
 ほぼ完成していると考えていただいて大丈夫です。
――本作の見どころは?
寺田氏:
 どこが見どころというより,各ステージに見どころやアピールポイント,過去作へのオマージュがあります。
大原氏:
 アメリカのメディアの方には,「ザ・スーパー忍II」のサーフボードで海を駆けるシーンが再現されていることに喜んでいただけました。
――実際にプレイしてみると,広いマップと探索要素がある作品だと感じました。こうしたジャンルにすることは当初から決まっていたのでしょうか。
大原氏:
 現在の形になったのは,Lizardcubeさんとご一緒したことが大きいです。セガのIPを復活させるうえでは「忍 -SHINOBI-」も候補の1つとして入っており,Lizardcubeさんも「忍 -SHINOBI-」を作りたいと考えていたことから,制作を進めることになりました。
 そして,Lizardcubeさんのアートスタイルやノウハウを活かすべきということで,現在の形になったわけですね。
――いわゆるメトロイドヴァニアと呼ばれる探索型なのでしょうか。
大原氏:
 技が増えていくことで探索できる範囲が広がるという要素は少し入っていますが,メトロイドヴァニアではありません。探索要素がメインではなく,1つのステージのクリア方法を探っていく2Dプラットフォーマーであり,バトルの楽しさに注力しています。
寺田氏:
 メインルートの脇に,少し難しいサブルートがあるといったイメージですね。こうした場所にはいいアイテムがあるので,ゲームを有利に進められます。

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――ゲームを進めていくと,アクションは増えていくのでしょうか。
大原氏:
 ショップで買える技が増えていきます。多くのゲームでは増えた技をそれぞれ別のボタンに割り振るような実装になっているものが多いですが,「SHINOBI 復讐の斬撃」では使うボタンは増えることなく,それまでつながらなかった技が連続で入るようになったり,吹き飛ばした先に追い討ちができたりと,できることが増えていきます。
 プレイヤーさんの選択肢が広がって気持ち良くなっていくので,開発チームでもコンボ数を競い合ったりしていますね。また,アミュレット的なものを付け替えて,自身のプレイスタイルを探せるような要素も取り入れています。
 我々がアクションゲームの新技を作ると,「火の敵には水属性の攻撃が効く」「水属性の技が使えるように,火の敵をたくさん出す場所を設ける」といった答えがあるように作りがちです。
 しかし,Lizardcubeさんの場合は「新技はいろんなところで使えるようにしたい」「プレイヤーさんに自由な選択をしてもらいたい」という作りです。こうした自由さは,本作の面白さや新しさにつながっていると思います。
寺田氏:
 その場を攻略しやすい技がいくつもあるので,答えを探してもらえる作りになっています。すでに何十時間もプレイしているスタッフのプレイを見ると,同じボスでも倒し方がまったく違ったりしますね。
――メガドライブの「ザ・スーパー忍」には手裏剣を無限で使える隠しコマンドがありましたが,初心者向けの措置は本作にもありますか。
大原氏:
 確かに「ザ・スーパー忍」は,「難しい」といわれることも多い作品でした。そのため,「SHINOBI 復讐の斬撃」も簡単なものにはすべきではないと土台作りを進めていました。
 難度調整についてはギリギリまでLizardcubeさんと議論をしましたが,ベストな難度を作ることができましたし,ジョー・ムサシが強いのでバランスは取れていると思います。難度調整の選択肢を用意しましたので,自身の心に問いかけながらプレイしてみてください。
寺田氏:
 ジョー・ムサシのスペックが高すぎるので,使いこなせるようになればクリアは可能です。敵のHPや攻撃頻度,自分の攻撃力など非常に細かく設定できますし,変更はいつでも反映されます。ボス戦のギリギリまで追い詰められたときに難度を調整するというのもOKですので,ストレスがなく楽しんでいただけると思いますね。
――セガとLizardcubeが組んだことで,新たに生まれた価値は何でしょうか。
大原氏:
 Lizardcubeさんが作った,これまでのシリーズにはなかった新しいアートスタイル,バトルにおける自由な選択肢と操作感の良さでしょうか。
寺田氏:
 Lizardcubeさんは,元々のポテンシャルが高い。そこにセガからコンシューマゲームとしてのシステムや長く楽しんでいただくための仕組みを提案しました。総合力の高いものになったと思っています。
――開発中,手応えを感じたタイミングはありますか。
寺田氏:
 Lizardcubeさんからは,攻撃やジャンプなどの基本アクションの段階でレベルが高いものが出てきており,根本的な気持ち良さは最初からありました。
 とはいえ,基本はほかのゲームでもしっかりしているところなので,ここだけができていても決め手に欠けます。忍者の一撃必殺を具現化した「シノビ・エクスキューション」が出てきたことで,このゲームならではの特徴が生まれたと感じました。
大原氏:
 Lizardcubeさんは「ベア・ナックルIV」を手掛けていることもあって,絵やものづくりのセンスが良く,イメージカットやステージ1のプロトタイプといったお仕事がすごく早かったんです。ベースになる部分のレベルが高いので,期待感を持ちつつお仕事をさせていただけました。

シノビ・エクスキューション。「処刑ゲージ」が溜まった相手を一撃で倒す大技だ
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――「忍 -SHINOBI-」シリーズの認識について,Lizardcubeとすり合わせる必要はありましたか。
大原氏:
 我々は「今のユーザーさんに向けて作らなければならない」と考え,Lizardcubeさんは「自分たちが今プレイして楽しいものにしたい」という思いを持っていたので,過去を意識することなく1からゲームデザインを考えていきました。
 アートやちょっとしたこだわりといった面では,Lizardcubeさんがアイデアをたくさん持っておられたので,自由にやってくださいとお話をしましたね。
寺田氏:
 現在は「分岐のあるステージクリア型」というアーケードゲーム的なスタイルに落ち着いていますが,「探索要素を強くしないといけないのでは?」という試行錯誤があったのは確かです。
大原氏:
 敵と戦いながら進行する気持ち良さが表現されたビルドが出てきたときが,1つの転機だったかもしれません。こうした基本的な部分は実現できそうで,できないところでもありますから,Lizardcubeさんは稀有な能力を持っている方々だと思いましたね。
――Lizardcubeとのやり取りで,印象的な出来事があれば教えてください。
大原氏:
 クリエイティブの力や思いが強いチームで,熱がものすごいんですよ。制作を終えたはずのシーンでも,新しいカットがあがっていたこともありました。
寺田氏:
 Lizardcubeさんから,バグがあるわけでもないのにシーンの修正があがってきたので何かと思ったら,「背景の屋根を見てくれよ。カッコ良く描き直したんだ」なんてことがありましたね。本当に妥協しない姿勢で,凄みのある緻密さが生まれています。
大原氏:
 発売に間に合わなくなるので,泣く泣く「すいません,もう追加や修正をしないでください」とお願いすることにもなりました。
――Lizardcubeのこだわりが表れているところとは?
大原氏:
 自由な選択肢や爽快感を重視したバトルデザインと,ジョー・ムサシの動きが何をしていても止まらないことでしょうか。Lizardcubeさんは演出で動きを止めるようなことはしたくないと考えていて,何かの提案があっても「それは動きが止まるから止めておこう」というジャッジがされたほどです。
 また,ヒットストップにもこだわりがありますね。
寺田氏:
 ヒットストップについては,制作における進化の過程を見る思いです。当初はヒットストップがかかりすぎて酔いを誘発するようなこともあったんですが,洗練を重ねて現在の形になりました。
――「提灯祭り」のステージでは背景で花火が上がっていて,演出面のこだわりもうかがえました。
大原氏:
 「忍 -SHINOBI-」シリーズは現代を舞台に忍者が活躍し,SFの要素も入っているゲームですから,本作でも自由な発想で進めていきました。Lizardcubeさんは「ここを飛び跳ねているだけで楽しい」と感じる背景を作ろうとされています。背景にセガの看板が隠れていたりするのも,こうした姿勢の表れでしょう。
寺田氏:
 過去作でも現代兵器と戦っていましたが,今回はそうした部分をさらに伸ばしました。サイバーパンクな都市で忍者が活躍したり,サーフボードで水上を走ったりと,いい意味で楽しく遊んでいる独特の世界観になりました。山岳にある基地の入り口にはなぜか巨大な仏像が立っていたりもして,飽きさせない作りになっています。
大原氏:
 1つのステージに雪景色や竹林,屋敷に崖など,いろいろなシーンがあります。作品紹介のパワーポイントを作ろうとしても,1ページに収まらないんですよ。

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――Lizardcubeから出たアイデアのうち,ゲームに入れられなかったものはありますか。
大原氏:
 セガのパロディはちょっと入れにくかったですね。とはいえ,すべてがボツになったわけではなく,ドリームキャストやサターンのロゴなどは「ネオシティ」ステージのあちこちに仕込まれています。実はドリームキャストのロゴにはいろいろな権利が絡んでいて,「このロゴを使いたいんだ」というやり取りにはけっこう時間がかかりました。

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――公式サイトでは「シャドーダンサー」を思わせる白い忍犬「ヤマト」が紹介されています。シリーズ作品を知っているとニヤリとできる要素は,ほかにもあるのでしょうか。
大原氏:
 チュートリアルの最後に登場するゴーストサムライや虚無僧は,過去作にも登場したキャラクターです。チュートリアルの背景である竹林も過去作で使われたモチーフですし,ほかにもオマージュはいろいろと入っています。

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寺田氏:
 「昔のゲームのグラフィックスを奇麗にした」のではなく,全部が新しくなっています。その中にファンならば見覚えがあるシチュエーションやキャラクターが隠れているので,マニアックな方ほど楽しめると思いますね。
――これまでのシリーズの予備知識は必要でしょうか。
大原氏:
 もちろん,予備知識がなくても楽しめます。ゲームデザインからアートスタイルまで,現代に合わせた作りです。
 一方,出現する敵やシーンの演出には過去作のオマージュが込められていて,これまでのシリーズをご存じの方にも楽しんでいただけます。
寺田氏:
 ストーリーも本作をプレイしていただければ大丈夫ですし,過去作を知らないと楽しめないという要素はありません。
――過去作のオマージュや懐かしい要素が散りばめられているそうですが,これはセガからファン向けの要素を入れてほしいとオファーをしたのでしょうか。
大原氏:
 そのような話はしていません。Lizardcubeさんの思いの強さによるものです。お互いにアイデアを出し合いましたが,Lizardcubeさんから提案があったもののほうが多いんじゃないかと思います。
――ストーリー性を導入するということは,最初から決まっていたのでしょうか。
大原氏:
 シリーズ作品にはそこまでのストーリー性はありませんでしたが,現代のゲームであれば,ある程度は必要だろうということで現在の形になりました。ストーリーの土台は,Lizardcubeさんのアイデアを寺田がリライトしたものです。
 重厚長大な物語というより,自分がジョー・ムサシになって復讐を果たすという気持ちを表現するものになっていますね。
寺田氏:
 復讐は重いテーマですが,これを緩和するような仲間も増えていきます。
――アーケードモードではストーリーイベントはどうなるのでしょうか。
寺田氏:
 アーケードモードにはタイムアタックの側面もありますので,ゲームプレイを邪魔しないように可能な限りストーリーイベントをカットしています。
――ゲーム全体のボリュームは?
寺田氏:
 人によるところですが,ストーリーモードは10時間ほど,その後にアーケードモードをやり込むと15〜20時間ほどだと思います。
――3300円という税込価格は,セガの新作として珍しいと思います。
大原氏:
 インディー開発スタジオであるLizardcubeさんと組んで,「忍 -SHINOBI-」シリーズを復活させること自体がチャレンジですから,売り方や見せ方もチャレンジすることになりました。大きな花火を打ち上げるというよりは,少しずつ良さが広がっていくような伝え方ができないか……というのもチャレンジですね。
 触ってすぐに気持ち良いプレイ感を楽しめるところが本作のストロングポイントなので,より多くの方に体験してほしいです。そのための機会を準備しています。ご期待ください。
――「ザ・スーパー忍」では古代祐三氏がサウンドを担当して話題になりました。
大原氏:
 まだお話はできませんが,発表を楽しみにしていてください。
寺田氏:
 期待を裏切らないものになっています。
――高難度に挑戦できる要素はありますか。
寺田氏:
 アーケードモードでは「ダメージを受けない」など,さまざまな基準でスコアが評価されるので,ハイスコアを目指す遊び方もできます。より華麗なプレイでハイスコアを目指せると思いますね。
大原氏:
 スタッフの中には,ストーリーモードのクリア時間を競っている者もいます。非常に難しいエリアも用意しているので,こちらに挑戦していただくのもいいかもしれません。我々もまだフルコンプリートには至っていないですしね。
寺田氏:
 10回,20回,やり直したくらいではどうにもならないようなエリアがざらにあるんですよ。ミスをするとけっこう前に戻されてしまいますが,すぐに近くからやり直せるオプションもあります。簡単にしようと思えば,いろいろと選択肢はあります。ぜひ挑戦してみてください。
――本日はありがとうございました。

「SHINOBI 復讐の斬撃」公式サイト



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🧠 編集部の感想:
セガの「SHINOBI 復讐の斬撃」が14年ぶりに新作として登場することにワクワクしています。過去の名作に対するオマージュや現代的なアプローチが融合されていて、ファンとしての期待が高まります。新しいバトル要素や自由なプレイスタイルが楽しめるとのことで、発売が待ち遠しいです。

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