赤沢亮正経済再生担当相は23日(米ワシントン時間)、米国による関税措置を巡る3度目の交渉を終えた。6月中旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた2国間首脳会談で「何らかの合意ができていれば、それは大変望ましいことだ」と語った。協議後に現地で記者団の取材に応じた。
3度目となる今回の交渉では、米国のグリア通商代表部(USTR)代表と約2時間、ラトニック商務長官と約1時間半、それぞれ個別に会談した。ベッセント財務長官は欠席した。
赤沢氏は米側との協議で貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて「前回以上に率直かつ突っ込んだやり取りを行うことができた」としたが、詳細は明らかにしなかった。関税措置の見直しを「改めて強く申し入れた」とも語った。
関税協議の行く末は石破茂政権の命運を左右する可能性がある。夏の参院選を前に成果を挙げることができれば政権運営にとって有利に働く一方、交渉に停滞感が漂えば内閣支持率のさらなる低下にもつながりかねない。G7サミットに合わせて行う予定のトランプ大統領との首脳会談などで一定の道筋が付けられるかが焦点となる。
赤沢再生相はG7サミットでの合意に期待を寄せる一方、「早く合意ができさえすればいいというものではない。期限を切って交渉すると、期限を抱えている方が負ける」とも語った。次回の閣僚協議に関しては今後、具体的な日程を調整するという。
共同通信によると、石破首相は23日の同社のインタビューで、6月のトップ会談が交渉の節目になるとの認識を示したという。
米国はこれまでに、自動車や鉄鋼、アルミニウムに25%の関税を課したほか、輸入品に一律10%の税率を乗せる措置を発動した。一連の関税措置の見直しを求める日本の姿勢は変化していないが、強硬に全面撤廃を求めるか、当面は一定の税率引き下げで妥協するか、着地点に向けた交渉の進め方にも注目が集まる。
5月上旬、2度目の交渉後に報告を受けた石破首相は「依然として日米間の立場の隔たりがあり、一致点を見いだせる状況にない」と話していた。その後の国会では、自動車関税を対象外とした暫定合意を求められても「そのようなことはのめない」と発言する場面があった。
石破首相は23日にはトランプ大統領と約45分間、電話会談した。日米関税交渉に関し、首相は閣僚間で「生産的な協議を行うということを期待している」と伝え、大統領からも同意を得たと記者団に説明していた。
USスチール
一方、トランプ大統領は23日、対米外国投資委員会(CFIUS)の再審査報告を受け、日本製鉄と米鉄鋼大手USスチールの提携を支持するとトゥルース・ソーシャルに投稿した。
提携によって少なくとも7万人の雇用が創出され、米国経済に140億ドル(約1兆9950億円)の寄与が見込まれると述べた。また「その投資の大部分」は今後14カ月以内に行われる見通しだとした。
これに先立ち、NHKは関税措置を巡る交渉で日本側が、今後の日本企業による対米投資計画を提示する方向で調整を進めていると報じた。日鉄によるUSスチールの買収計画に関連した数兆円程度の投資も盛り込む。米経済に貢献する姿勢を示し、関税措置の見直しにつなげたい考えとしていた。
赤沢氏はトランプ氏の投稿について米政府の正式発表を待ちたいと述べるにとどめた。
(赤沢氏の発言を追加し、更新しました)
🧠 編集部の感想:
日米首脳合意に向けた交渉が進展していることは、経済的安定をもたらす可能性があり、期待が高まります。しかし、協議が思うように進まなければ、日本の政権に影響を与える恐れもあり緊張感が漂います。今後の結果次第で、両国の関係がさらに深まるかが注目です。
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