



鼻呼吸のパターンから96%以上の精度で個人を識別可能という研究結果
2025年6月29日、イスラエルのワイツマン科学研究所とハイファ大学の研究チームによる新たな研究が発表され、人の鼻呼吸パターンが指紋のように固有であることが示されました。この研究では、鼻呼吸のパターンを分析することで、なんと96.8%という高い精度で個人を識別できることが判明しました。
研究の背景
研究チームは、脳の香り処理と呼吸の関連性に注目しました。彼らは、脳が個人によって異なる以上、呼吸パターンも同様に固有の特徴を持つのではないかと疑問を持ちました。しかし、従来は鼻呼吸を長期間測定する方法がなく、研究が進まない状況でした。
そのため、研究チームは新たに開発したウェアラブルデバイスを用いて、睡眠中も起きている時も、連続的に鼻呼吸を測定しました。以下の画像がそのデバイスです。
このデバイスは、鼻孔の下側に柔らかいチューブを挿入し、呼吸時の気流を追跡します。
重要な実験結果
研究では、100人の健康な若年成人にこのデバイスを装着させ、日常生活を送らせた結果、1時間のデータで43%の識別率を達成。さらに24時間のデータを活用することで、その精度は96.8%にまで向上しました。この結果は、2年以上にわたる再テストでも一貫して確認されたとのことです。
ティムナ・ソロカ氏(ワイツマン科学研究所)のコメントによれば、「参加者が異なる活動を行っていたため、どこまで個人を特定できるか疑問でしたが、実際には彼らの呼吸パターンは非常に特徴的でした」とのことです。
健康との関連
さらに興味深いことに、研究チームは個人の呼吸パターンがBMIや睡眠サイクル、精神的健康状態などと関連していることも発見しました。特に、不安感が強い被験者は、息を吸うタイミングが短く、睡眠中の呼吸停止の変動が大きい傾向が見られました。ソロカ氏は、呼吸の仕方が精神状態に影響を与える可能性も指摘し、「呼吸方法を見直すことで、状態を改善できるかもしれない」と述べています。
この研究は、呼吸が持つ新たな可能性を示すものであり、将来的には健康管理や個人識別の分野に応用できるかもしれません。
🧠 編集部より:
補足説明
この研究は、個々人が持つ「鼻呼吸パターン」が、個人を96.8%の精度で特定可能であることを示しています。従来、指紋や顔の特徴に基づいた個人識別手法はありましたが、鼻呼吸という新たな視点からのアプローチは、非常に興味深いものです。
背景と豆知識
鼻呼吸パターンは、単なる呼吸方法以上の意味を持ちます。呼吸は自律神経系と密接に関わっており、ストレスや情緒状態とも深い関連があります。加えて、呼吸が不規則な場合は、睡眠障害やその他の健康問題が示唆されることもあります。
この研究で開発されたウェアラブルデバイスは、日常生活の中での呼吸パターンを24時間連続で記録する能力があります。これにより、よりリアルなデータ収集が可能になりました。
関連リンク
呼吸と健康
研究の主導者、ティムナ・ソロカ氏は、呼吸パターンが個々の心理的な状態や健康状態と関連性があることを示唆しています。たとえば、抑うつや不安の症状がある場合、呼吸パターンが変化する可能性があります。そして、その逆もあり得るため、呼吸法を改善することで、心理的健康を向上させる可能性があるという考え方も提起されています。呼吸法が心の状態に与える影響は、今後の研究でさらに探求されるべき重要なテーマです。
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キーワード: 鼻呼吸
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