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概要
この記事では、著者が飲み会のセッティングを全自動化するために大規模言語モデル(LLM)を活用した体験を語っています。従来の飲み会セッティングの煩わしさを軽減するため、LLMに店舗選びや予約を任せ、その実践的なアプローチや成果を紹介しています。
要約の箇条書き
- 著者は会社での飲み会セッティングの面倒さを改善したいと考える。
- LLMを使って「お店を決める」と「予約する」工程を自動化する試みをスタート。
- 仲間からの提案でLLMに飲み会の幹事役を任せることに。
- LLMを用いて条件に合った飲食店を候補として提示。
- 予約までの一連の流れを自動化する必要性に気づく。
- Seleniumを利用して、ウェブブラウザで予約するプログラムを実装。
- Vibe Codingを活用し、コーディングの負担を減らしながら取り組む。
- LLMの支援で短期間で自動化が完了し、飲み会の準備が劇的に効率化。
- 今後の展望として、さらなる改良や社内共有の仕組みを設ける計画を提示。
- LLMによる自動化により、価値の検証を迅速に行えるようになる。
こんにちは。「営業の成果と再現性を高める」SALESCOREでプロダクトマネージャーをしているshuと申します。
突然ですが、あなたは会社の同僚や友人との飲み会、会食などで、セッティングを任されたことはありますか?
参加する人の好みや場の位置づけに合わせてお店を探して、空いているか確認してなかったらまた探して、どれが良さそうなのか比較検討して、決まったら予約して…
ぶっちゃけ、面倒じゃないでしょうか。
もちろん、いい感じのお店を探すプロセスが好きな人もいるでしょうし、うまくセッティングできれば参加者から感謝されるかもしれません。
一方で、状況に合ったお店がサクサク出てくればもっと嬉しいですし、コストをかけずにみんなを満足させられればAll Winです。
そこで、飲み会で「お店を決める」「決めたお店を予約する」部分をまるっと自動化できないか、LLMを使って試してみました。
そうだ、飲み会はLLMにやってもらおう
きっかけは社内の飲み会でした。
「誰が幹事やる?」の雰囲気になると思いきや、同じ開発部のarimaさんから「LLMにやってもらえればいいんじゃない?」の声。
飲むことしか考えていない私☕️とLLM推しのarimaさん
イジられる代表(pockyさん)と煽るメンバー(sunabaさん)
arimaさんはLLM Lab ( ※ 社内のLLM活用を推進するチーム ) で業務をLLMでどんどん効率化していっている人なので説得力が違う。なんかできそうな気がする。
アイコンと記事で写真が違いすぎるarimaさん。商談にも出るしcodeもガンガン書くPMMです
ということで、LLMに飲み会のセッティングをお願いすることにしました。
いい感じのお店を決めたい!
飲み会の準備で手間がかかる最初のハードルは『お店選び』。サイトを検索して、条件に合わせて候補を出しつつ、空いてるお店に絞った上で、良さげなお店を選ぶ。
この辺をサッとLLMにやってもらうため、ChatGPT上で依頼してみました。
場所や人数など、要件を出して依頼してみる
最初は「API接続などで情報を取ってガチガチにロジック組まないといけないのか、、?」と思っていましたが、意外とChat上でいい感じのお店が出てきました。
まだ候補のお店を出してくれただけなので、絞り込みもLLMにお願いしてみます。
後から知りましたが、どれも実際かなり人気のお店だそうです
お店選びが完了するまでのステップは以下です。
-
条件と評価基準を伝える(人がやる)
-
候補となるお店を洗い出す(LLMがやる)
-
条件をチューニングする(人)
-
有力な候補をランク付けする(LLM)
今回だとこのステップで良さげなお店が出てきたのですが、今後はより効率化や複雑な条件への対応を満たすためにもMCPなどで「情報だけ渡したら最高の1店舗が出てくる」体験を作れそうです。
予約も全自動がよくない?
お店も決まったしあとはサイトで予約するだけ…と思っていたところ、arimaさんから「予約までLLMにやってみてもらえれば?」とアドバイスが。
たしかに、ページ開いてログインして情報入力して予約ボタン押して確定する、みたいな一連の流れまで自動化できればベストです。
また究極的には「情報を投げたらセッティングを完了してくれる」サービスだとしたときに、予約の自動化は必須です。
ということで、次は予約をLLMにやってもらうことにしました。
まずは「どう自動化できるか?」からLLMに聞いてみます。
すると、機能だけでなくセキュリティ観点も含め、いろんな手段とメリット・デメリットの提案が。
LLMがプロンプトをやたら褒めてくる時期ありましたね
手段の絞り込みにあたっては
-
外部サービスに依存しない
-
サイトごとの違いなど柔軟性を上げる機能を追加しやすい
-
予約サイトでの認証情報など定型情報を扱いやすい
あたりを考慮し、今回はSelenium(WEBブラウザ操作を自動実行するフレームワーク)を使って、Google Chromeで自動で開いて予約してもらうプログラムを実装することにしました。
また、個人的に「LLMでどこまでやれるのか」試してみたい気持ちもあり、自分で実装するのではなくVibe Coding(人の手でコーディングを全くせずにプログラムを書く形)で試してみることにしました。
新しい技術を学ぶには、既存の手段を使わずに試してみるのが有効です。
今回も、自分で調べたい/自分でコードを書きたい気持ちを抑えつつ、全てLLMに投げてみます。
LLM検索の解像度を上げるためにGoogle検索を封印したpockyさん。無事(?)大変だったらしい
そもそもVibe Codingを始める手順から全てLLMに聞いてみました。
何を聞いてもすぐに優しく教えてくれるので、学習ハードルが一気に下がりますね
せっかくなので、完全にガイドに従い開発を進めることにしました。
言われた通りCursorを開いて、Pythonで予約スクリプトを徐々に実装していきます。
最初にCursorへ入れるプロンプトもLLMに教えてもらいました
結論から言えば、実装する中で特殊なことは何も工夫する必要がありませんでした。
簡単に私がVibe Codingを進めた流れを記録しておきます。
まずは環境構築した上で(いちばん嫌いめんどうな環境構築がCursor任せで良いの本当にありがたい)、処理の具体内容を記述する前に成功/失敗時のメッセージを出力してもらいます。
まずはログを整えて、コードを読まなくてもどこで落ちてるか判断できるように初期設定
無事に疎通確認ができ、WEBブラウザを開けるようになったので、あとはエラーが出るたびにデバッグをLLMに依頼するだけ。
-
スクリプトを実行する
-
エラーが出る
-
スクリーンショットとログをCursorに投げる
を繰り返すだけで、ほとんどコードを読むことはありません。
エラーを共有したらLLMが勝手に実装してくれるので、「別の業務を進めつつ、たまに指示する」くらいで実装を進められました。
原因分析からLLMにやってほしいので、エラーハンドリングを丁寧めに進めます
途中、認証でコケすぎてGoogleから「異常なアクセス量」と警告が出て、次の日まで開発できなくなる珍事件はありましたが笑、気づけば予約までできちゃっていた時は驚きでした。
前触れなく予約できてしまい初回は録画を取れませんでした
低いハードルで大量の試行錯誤を
LLMによって、人力コーディング不要でプログラムを書ける、実装がスピーディに専門知識なくできることで、「最小限のプロダクトでイケてるか判断できるモノを作る」MVP開発のハードルが一気に下がりました。
思った通り動いた時の達成感と快感が気軽に得られてしまった
今後はさらに改修を進めて、「雑に依頼したらセッティングが完了していて、あとは当日お店に行くだけ」の体験を作っていければと考えています。
その第一歩としてのMVP開発がサクッとできてしまう体験はかなり大きく、実装のコストとスピードがネックで検証しづらかった部分をガンガン進められるようになりました。
今後はあらゆる場面でサクッと価値を検証し高速でデリバリーできるよう、Vibe Codingのやり方などLLM活用のプラクティスを溜めていったり、Slack Botなど社内で共通して使える仕組みを作ったりすることで、全員がより気軽に、スピーディーに、価値のあることへ集中できるように動いていきます。
(情報管理や脆弱性などセキュリティ面での整備もどんどん進んでいます)
予約に成功してテンションが上がったことが分かる、ブレブレで見切れた写真
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
またLLMの話でもプロダクトの話でも組織まわりの話でも、気軽にお話しできればと思うので、いつでもコメントやカジュ面をお待ちしてますー!
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