🔸内容:
韓国はOECD加盟国の中で、20年以上にわたり最も自殺率が高い国です。華やかなK-POPや韓国ドラマの裏には、厳しい社会や人間関係が描かれた映画が多く存在します。韓国映画は、厳しい社会環境とその影響を受けた人々の苦悩を描くことが特徴で、『パラサイト』や『オールドボーイ』など、暗く冷たい社会生活がテーマとなっています。こうした作品から「韓国ノワール」というジャンルが形成され、社会の歪みを反映したリアリズムが根底にあります。
最近のネットフリックス映画『84m2』は、韓国のマンション事情を描いたサスペンスです。主人公の青年が全財産を賭けてマンションを購入しますが、資産価値の暴落に苦しみます。電気をつけずに節約しながら、昼間は会社勤め、夜は配達業務を行う彼の姿が描かれています。マンションは韓国の平均的な間取りサイズを表しており、その生活のリアルさが表現されています。
映画は前半はコミカルで、投資者の焦燥感を巧みに捉えていますが、後半は典型的な韓国ノワールの雰囲気が漂い、物語はやや平凡になります。登場人物の目標が明確でないため、韓国社会における歪みが際立ちます。
韓国では高層マンションが「アパート」と呼ばれ、冬の寒さを避けるため最上階や角部屋が好まれないなど、独特の文化があります。それでも、高住民の隣人ストレスや価格変動のリスクが暮らしに影を落としています。
サスペンスの背景にあるのは、都市への集中とそれがもたらす生活の困難さです。日本の東京も同様に、高額な家賃が問題視されていますが、これも都市集中の影響であることを考えさせられます。
🧠 編集部の見解:
韓国映画には、社会の暗い側面を描く作品が多いですよね。特に自殺率が高い国であることを背景に、映画作りの中で現実の厳しさを反映させているように思います。「パラサイト」や「オールドボーイ」など、酸いも甘いも知った監督たちが、冷たい現実を表現することで観客に警鐘を鳴らしているんでしょう。
例えば、『84m2』のような作品では、マンション購入という日常的な選択が人をどれだけ追い詰めるかを描いています。投資のリスクや社会の歪みをコミカルに描きつつも、その裏には深刻な側面が潜んでいる。韓国の高層マンション事情は独特で、最上階や角部屋が好まれない背景には、冬の寒さがあるというのも興味深いですね。日本の間取りとも違い、利便性が高いけれども隣人とのストレスが常に付きまとう。
そうした社会的背景を抱える中で、私たちも東京の家賃が高いと感じつつも、それが都市集中の結果であることを忘れがちです。映画を通じて、こうしたテーマを考えることは非常に重要だと思います。韓国ノワールの魅力は、見方を変えれば私たち自身の社会にも当てはまる部分が多いからこそ、胸に刺さるのかもしれませんね。
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