韓国の有名シェフ、ペク・ジョンウォン氏が創業したレストランチェーン「ザボーン・コリア」の株価が、同チェーンの産地表示を巡るスキャンダルで急落している。株式を保有するペク氏の資産にも大きな影響が出ている。
ペク氏が保有する「ザボーン・コリア」の60%の株式は、現在約245億ウォン(約25億円)と評価されており、上場直後のピーク時の半分未満となった。
約2900店舗を展開するザボーン・コリアには、一部の商品を国内産原料と誤表示していたとして違反が指摘された。地方自治体当局の広報担当者によると、市民によるオンライン請願がきっかけで、先月警察の捜査が始まった。
コメントを求めるメールには応答していないが、同社とペク氏は謝罪している。同社は先月、「倫理的な経営と食品の安全を最優先事項として、内部システムと外部拠点全体で徹底的な見直しを実施している」との声明を発表した。
著名シェフのペク・ジョンウォン氏(左)
Photographer: Sangwoo Kim/Netflix 2024
韓国メディアで「韓国のゴードン・ラムゼイ」と呼ばれるペク氏は、ネットフリックスの番組「白と黒のスプーン~料理階級戦争~」での成功を追い風に、昨年11月にザボーン・コリアの大規模な新規株式公開(IPO)を果たした。だが、上場初日に最高値を記録して以降、株価は14日の終値までに57%下落。謝罪を重ねても投資家の信頼回復には至らず、ペク氏は先週、新たなテレビ出演の契約を控え、飲食業本業に専念する意向を明らかにした。
ペク氏の苦境は、著名人を看板に据えたIPOに投資する際の「キーパーソン・リスク」を浮き彫りにした。ビジネスの中核を担う人物が多忙で本業に集中できない場合、ブランド全体に与える悪影響を与えかねない。
メディア露出が拡大していたペク氏だが、現在は活動を縮小中。さまざまな料理番組への出演により知名度を高めてきたほか、自身のYouTubeチャンネルには660万人の登録者がいる。チャンネルでは家庭で再現できる簡単レシピから、海外の郷土料理を探す旅まで、幅広いコンテンツを発信している。
ザボーン・コリアは1994年に創業し、手頃な価格帯のメニューとカジュアルな食事体験で人気を集める。「ニュー麻浦食堂」「香港飯店」「ペクズコーヒー」など、約25のブランドを展開している。
同社は12日には、顧客の信頼を取り戻すため、一時的に全メニューを50%割引とする施策も打ち出した。
原題:Celebrity Chef Paik’s Fortune Tumbles on Ingredients Controversy(抜粋)
🧠 編集部の感想:
ペク・ジョンウォン氏の産地誤表示問題による株価急落は、ビジネスにおける透明性の重要性を再認識させます。著名シェフが抱える「キーパーソン・リスク」は、経営において避けられない課題であることを示しています。彼の名声が逆効果になる可能性もあるだけに、今後の対応に注目です。
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