

重曹を加えると、香ばしい焼き色がつき、しっとり仕上がる……という記事をご紹介したところ、読者からの意見は賛否両論、様々なご意見が寄せられました。
「そんな化学反応はありえない」というご意見もあれば、「このテクニックをぜひハンバーガーにも応用したいので、具体的な方法を教えてほしい」という前向きな意見まで。
そこで今回は、特にバーベキューシーズンに向けてハンバーガーをもっとおいしくしたいと考えている人に向けて、この驚くべき化学反応を活用する方法をご紹介します。
この科学的なアプローチは、ハンバーガーを格段に美味しくするための、とっておきの秘訣なんです。
重曹がどのように肉を柔らかくするのか?
重曹は肉の種類に限らず、あらゆる肉のタンパク質に作用し、加熱による過度な収縮を防ぐ効果があります。
これは、中華料理で古くから用いられている「ベルベッティング」という下ごしらえの技法にも通じるものです。
ステーキや鶏肉、ハンバーグなどが、調理後に思った以上に縮んでしまった経験はありませんか?
肉に含まれるタンパク質は、加熱されるとその網目構造がグッと締まり、結果として大切な肉汁が外へ逃げ出してしまいます。
肉を噛んだときにパサついたり、まるでゴムのような食感になってしまうのは、このタンパク質の過度な収縮と、それに伴う肉汁の流出が原因なんです。
一方、重曹で処理した肉は、タンパク質の網目構造が適度に緩むため、肉本来のジューシーさを保ちやすくなります。
その結果、ハンバーグは外は香ばしくカリッと焼け、中は驚くほど柔らかくジューシーで、風味豊かに仕上がるんです。
美しい焼き色がつくのもうれしいですよね!
重曹がどのように焼き色を良くするのか?
おいしそうな焼き色の正体であるメイラード反応は、アルカリ性の環境下でより活発に進むことが知られています。
重曹をほんの少量加えるだけで、食材の表面のpHが上昇し、バナナやワッフル、そしてもちろん肉類であっても、通常よりも早く、そしてうつくしい焼き色に仕上げることができるのです。
この反応は新たな風味成分も生み出すため、重曹をひとつまみ加えるだけで、ハンバーガーの風味が格段に向上し、より深みのある味わいになりますよ。

実際にその効果を検証するため、約450グラムの赤身93%の牛挽き肉を用意。これを半分に分けました。片方だけに小さじ半分の重曹を加えて混ぜ込んであります。
それぞれを同じようにハンバーグパティに成形したのち、キャノーラ油を薄くひいた鉄板で同時に焼き比べてみました。
焼き加減は、中心温度が60~62℃のミディアムを目指しています。上の写真を見れば、その差は歴然。どちらのパティに重曹を加えたかは、一目瞭然ですよね?
重曹を使って美味しいハンバーガーをつくる方法
ここまでご紹介したとおり、少量の重曹を使うだけで、肉特有の臭みを抑え、パサつきを防ぎ、そして焼き縮みを最小限に抑えることができます。
仕上がりは、驚くほど柔らかくジューシーなだけでなく、表面は香ばしくカリッとした理想的な食感です。それでは早速、具体的なつくり方を見ていきましょう。
1. 挽き肉に味付けをする

まず、挽き肉を大きなボウルに入れて塩で下味をつけます。もちろん、お好みでコショウやハーブなど、スパイスを加えてもOK。
続いて、重曹を肉の表面全体に均一に振りかけていきましょう。目安として、挽き肉約225グラムに対し、小さじ1/2杯の重曹を使用します。
2. しっかりと混ぜる
いよいよ、愛情を込めて混ぜ合わせる工程です。
木べらや大きなスプーンを使っても構いませんが、手で直接混ぜるのがもっとも早く、効率的だと感じています。
手で混ぜることで、重曹や調味料が肉全体にムラなく行き渡ります。手が汚れるのが気になる方は、食品用の使い捨て手袋を利用すると良いでしょう。
重曹と調味料が全体に均一に混ざり合うまで、ボウルの中で優しく、しかし手早く肉を混ぜ合わせてください。
3. 成形して調理する
混ぜ終わった肉だねを、手で好みの大きさと厚さのパティに成形します。
成形したパティは、クッキングペーパーを敷いた天板や、数が少ない場合はお皿に並べてください。
すぐに焼かない場合は、焼く直前まで冷蔵庫で冷やしておくと、形が崩れにくく、よりおいしく仕上がります。
準備ができたら、あとはお好みの方法で焼くだけです。フライパンでも、グリルでも、オーブンでもOK!
ハンバーグの焼き加減は、見た目の色だけで判断せず、肉用温度計で中心温度を確認するのがもっとも確実でオススメです。
外側が美味しそうに焼けていても、中心部までしっかりと火が通っているとは限りませんので、焦って取り出さないようにしましょう。
ちなみに私は、高精度な「Thermapen One」という温度計を愛用しています。温度を測る際は、パティの側面から中心部分に向かって温度計の針を挿入すれば、反対側に針が突き抜けることなく、正確に中心部の温度を測定できます。
ハンバーグが目標の温度に達したら火を止め、数分間そのまま置いて肉を休ませましょう。こうすることで肉汁が落ち着き、よりジューシーに仕上がります。
さあ、これで準備は万端です! 絶品ハンバーガーの、最高の一口を心ゆくまでお楽しみください。
Source: America’s Test Kitchen, recipetineats, Wikipedia
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