土曜日, 6月 7, 2025
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過剰!過剰!過剰!『サブスタンス』【映画感想】寿司ギター

🧠 あらすじと概要:

映画『サブスタンス』あらすじ

かつて人気女優だったエリザベス(デミ・ムーア)は、50代に入り、容姿や人気が衰えていく。そんな中、彼女は若さと美しさを取り戻す「サブスタンス」という薬物に出会う。この「サブスタンス」を用いることで、エリザベスは若く美しいスー(マーガレット・クアリー)に変身する。ただし、使用には厳密なルールがあり、7日間ごとに交代しなければならない。しかし、次第にスーはこのルールを破り、痛々しい行動に走る。

記事要約

『サブスタンス』は痛々しさと愚かさが交錯する映画で、特に女性にとって共感を呼ぶテーマを扱っている。エリザベスがサブスタンスに依存し、若さを手に入れても価値観が低俗であることが主人公の苦悩を強調している。監督コラリー・ファルジャの斬新な演出や過剰な描写は、鑑賞者に強い印象を残す。また、痛快な「痛」描写を楽しむ姿勢も特徴的で、クライマックスにも至るまで過剰な演出が施されている。全体を通じて、主人公の間違いや失敗から勇気を得ることも可能であると語られている。

過剰!過剰!過剰!『サブスタンス』【映画感想】寿司ギター

予告編をみたとき「これは確実に面白いやつだ」と思った。「世にも奇妙な物語」的なおとぎ話。絶対に深イイ話なんかじゃない。

心身ともに痛々しく、だからこそ輝く映画。それが『サブスタンス』だ。

あらすじ

かつて人気女優だったエリザベス(デミ・ムーア)は、50代に突入して容姿も人気も衰えていた。そんなある日、最高の自分を生み出すことのできる薬物「サブスタンス」と出会う。この「サブスタンス」によってエリザベスから生まれたのが若く美しいスー(マーガレット・クアリー)だ。

この「サブスタンス」には絶対のルールがある。7日間で必ず交代することだ。最初は順調だった新しい人生、しかし次第にスーはこのルールを破るようになる。

「痛々しくて愚か」が愛おしい

本作は色々なレビューで語られているとおり、なかなかハードなボディーホラー映画である。世間から愛されなくなる恐怖を、顔面・身体が老いていく恐怖と重ねて語っており、それは誰からの共感も得やすいと思う。さらに女性であれば(残念ながらこの男性社会の構図の中では)より切実な問題として浮かび上がってくる。

フェミニズムの要素があると言われていたので、若い姿に変身した上で『プロミシング・ヤング・ウーマン』的なことをやるのかと勝手に思っていたのだが、エリザベスはスーに変身してやることがいちいち(この言い方でいいのかわからないが)とても低俗である。

とても低俗な上に、何もかも間違えてどんどんドツボにハマっていく。ちゃんと7日間のルールを守ればいいのに、その低俗な世界にしがみついて過ちを繰り返す様は痛々しい。若さと美しさを手に入れて、やることがあのテレビプロデューサーの下で働くこと?!とか思っちゃった。

背景に男性中心社会があり、その社会が生んだルッキズム・エイジズムの影響は考慮しなければならない。しかし、愚かにもエリザベスがサブスタンスに依存していく様が、私には痛々しくて面白いと思った。

その痛々しさが愛おしいとも思った。フェミニズムを背負った映画の主人公だからといって高潔な人間とは限らない。とことん間違え続ける主人公に勇気をもらうことだってある。

痛快すぎる「痛」描写

『サブスタンス』を見たあとにコラリー・ファルジャ監督の前作『REVENGE リベンジ』も慌ててチェックしたがこちらも楽しいバイオレンス映画だった。

バキバキの編集センス、音楽の使い方、空気の読めない通販番組、などの共通点が見られたが最大の共通項が「痛い」描写をとても楽しそうに撮影しているところである(この監督は映画を作るのが楽しくて仕方ない感じが映像から伝わってくるのがよい)。

本作ではしつこいほどの注射描写が印象的。大人なので泣くことはないが、私はそれなりに注射が苦手なのでいちいちメンタルにダメージを受けた。

他にもフランス料理のレシピ本を読むために立ち上がるときの膝とか、歯や爪がポロポロと剥がれていくのとか、いちいちしつこい。

そして極めつきはクライマックスだろう。誰が見てもあんなのやり過ぎである。まさかあんなところまで描くなんて誰も思わなかったであろう。

主人公にとんでもない破滅が訪れてそれで終了にもできたはず。しかしコラリー監督はその先まで行ってみせた。

演出、美術、そしてクライマックスの突き抜けっぷりが過剰!過剰!過剰!

しっかり確立された世界観の中で縦横無尽に暴れまわる。宇垣美里さんのコメントに共感した。私もずっと思っていた。「いいぞ、もっとやれ。」と。



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