経営再建中の大手自動車部品メーカー、マレリ・ホールディングスに対し、一部の取引金融機関が新規貸出を計画する一方、融資する金融機関に対して8割の債権カットを要請していることが分かった。取引金融機関の間には異論も出ており、実現に向けては難航も予想される。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

     複数の関係者によると、米国の投資会社、ストラテジック・バリュー・パートナーズ(SVP)やドイツ銀行など大口債権者によるグループがマレリに対して500億円の新規融資と同時に、取引金融機関に8割の債権カットを要請。残る債権の株式への転換や金融機関が現在保有している優先株の消却も計画する。株主の米系投資会社、KKRには同社が持つ株式を同連合に譲渡するように求めている。KKRはマレリに約900億円を出資しているが、計画が実現すれば事実上の100%減資となる見通しだ。

  この計画に対してみずほ銀行など他の金融機関は反対の姿勢を続けており、合意には至っていない。取引金融機関は新たな金融支援が必要との認識では一致しているものの、具体策では折り合えていない。金融支援がまとまらない状況が続くと、主要な取引先である日産自動車や欧ステランティスへの部品供給が滞る懸念もある。

  金融支援の計画案を出しているのは、SVPとドイツ銀を中心とする連合体。ドイツ銀は債権流動化の手法で債権の一部をアジア系投資会社のMBKパートナーズと、米系投資会社のフォートレス・インベストメント・グループに事実上譲渡しており、4つの金融機関で連合を組んでいる。

  関係者らによると、マレリの借入元本は約6800億円で、残高トップはみずほ銀の約2300億円、次いで米国の投資会社、SVPが約1700億円、ドイツ銀が約1300億円、そのほかに政府系の国際協力銀行や日本政策投資銀行も融資している。

  同連合とKKRの広報担当者はコメントを差し控えるとした。みずほ銀の広報担当者は、主要金融機関としてマレリを含む関係者と緊密に連携し、同社の経営再建をサポートしていくとした。

  新型コロナウイルス感染拡大後の自動車生産停滞などの影響で業績が大幅に悪化したマレリは2022年に民事再生法を適用した。当時のマレリの負債総額は製造業で過去最大の約1兆1000億円。再建に向けみずほ銀をはじめとした銀行団は債権カット約4500億円などの金融支援を実施し、再生プロセスに入った。

  しかし、主要取引先の日産やステランティスの販売不振で業績が低迷。昨年12月末に借入金のうち180億円の返済を始める予定だったが、資金繰りに窮し、返済猶予が月ごとに繰り返されている状況だ。

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