土曜日, 5月 17, 2025
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超長期金利の反乱、青天井で金融・財政に影響も-日本国債市場の異変 – Bloomberg


日本国債市場で金利が高騰し、急激にイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ(傾斜)化が起きている。とりわけ超長期ゾーンの上昇ピッチの速さは低金利に慣れ切った投資家の行動を変容させると共に、日本の金融政策や財政政策にも影響を及ぼす可能性がある。

  米国債に次ぐ約1137兆円規模の日本国債市場で、長らく安定していた金利が米国やドイツなど主要国を上回るペースで上昇し始めた。償還期間が長い年限ほど上昇傾向が鮮明で、30年金利の水準は既に10年債の約2倍に達し、40年に続き過去最高水準が目前と青天井の様相を呈する。

 

 

  金利急騰の背景にあるのは主要な買い手の不在だ。追加利上げを視野に入れる日本銀行は昨年から国債の買い入れを段階的に縮小。利回りの上昇で投資魅力は増しているが、大手生命保険会社など国内機関投資家は慎重姿勢を崩していない。流動性が乏しい超長期債は特に売り圧力にさらされやすく、評価損リスクへの警戒に加え、米国の関税政策を巡る不透明感も手控え要因となっている。

  みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは「イールドカーブのスティープ化は、単なるグラフ上の変化にとどまらず、金融政策と財政の潮流が転換期にあることを物語っている」と言う。

  日本で起きた金利形成の異変は金融政策にも影響を及ぼす公算が大だ。日銀は今後、景気を下支えするために追加利上げを見送るか、インフレ抑制を優先して利上げに踏み切るか、二者択一を迫られるためだ。

  急激な金利の上昇は、政府の財政運営にとっても足かせになる。主要先進国で最大の債務残高を抱える日本にとって、金利負担の増加は防衛費の拡充や財政出動の判断を難しくする。さらに、インフレ期待の高まりを反映するイールドカーブの傾斜化は、日銀の利上げ継続を後押しする材料ともなり得る。

  日興アセットマネジメントでチーフグローバルストラテジストを務めるフィンク直美氏は、超長期ゾーンの利回り上昇は「インフレ期待を日銀が過小評価すべきではないという明確なメッセージだ」と指摘。さらに、財政政策に対するメッセージにもなっており、市場は経済のプラス成長を維持する程度の支出は許しても、「過剰な財政出動は受け入れられないかもしれない」と話す。

  海外市場でも国債利回りは上昇しているが、日本の変化が目立っており、10年債と30年債の利回り格差は4月以降に約50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大。これは米国やドイツ、英国を大きく上回り、日本の10年債利回りは中国債を上回る可能性も出ている。30年債利回りは16日に一時2.985%と過去最高の3.03%に接近し、40年債は15日に3.47%と最高水準を更新した。

超長期国債の利回りは過去最高水準へ | 30年債と40年債の利回り推移

 

 

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「30年債で3%、40年債では3.5%が上昇のめどだと思っていたが、いずれも通過点という位置付けになりつつある」との認識だ。

  足元の金利上昇は、遅れて企業向けの融資や個人の住宅ローンにも影響が広がる。長年現金や預金で資産を保持してきた家計にとっては、インフレ加速による資産価値の実質的な目減りも懸念材料だ。一方、銀行は預金と貸出金利のスプレッド(格差)拡大により、収益改善の可能性が高まっている。

  もっとも、超長期金利の急騰は一時的で、米関税政策をきっかけに世界的に混乱した相場が落ち着き、日銀が段階的な追加利上げを再開すれば、金利は安定に向かうとの見方もある。



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🧠 編集部の感想:
日本国債市場での金利急騰は、長期的な金融・財政政策に大きな影響を与える可能性があります。特に、超長期金利の上昇はインフレ期待を強め、日銀の利上げを迫る要因になるでしょう。投資環境が不透明な中、投資家の慎重姿勢が続くことは、さらなる市場の波乱を引き起こす要因となるかもしれません。

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