超長期債に新たな試練、海外投資家が金利先高観強める－スワップ示唆

海外投資家が日本の超長期金利に対し先高観を強めている。米トランプ政権の貿易や中央銀行への強硬姿勢が和らぎ、日本銀行の利上げ観測が復活する余地が生まれたほか、日本の財政拡張リスクに警戒感も根強いためだ。３月の有力な買い主体の方針転換で、超長期金利は再び上昇基調を強める可能性が出てきた。

　　国内外の清算機関が示すスワップ金利の差（スプレッド）は、国債市場での海外勢の動きを反映した代表的な指標だ。超長期債に対する見方を示す20年物の金利差は23日、マイナス1.25ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）と2023年12月以来、１年４カ月ぶりの高水準となった。

　　同スプレッドの拡大は、一般的に海外勢が金利の先高観を強めていることを表す。金利上昇局面で有利な固定金利を支払い、変動金利を受け取る取引に積極的になると、海外勢が利用する英国の清算機関の提示金利が上昇するからだ。特に超長期の明確な反応は、日銀の利上げ観測に加え、物価高対策や米国から防衛費の上積みを迫られる石破政権が大規模な財政出動に動くとの懸念が底流にある。

　　３月の超長期債市場は、主要投資家の生命保険会社など国内勢が大幅に売り越した一方、海外勢の買越額は２兆円超と過去最大を記録した。米関税政策の悪影響を懸念した質への逃避は今後弱まる可能性がある上、流動性の低さから需給不安が元々強い超長期金利は一度上昇し始めると止まりにくく、30年金利で言えば、2.7％前後の日本は２％弱の中国や2.4％台の韓国との差が今後一段と拡大するかもしれない。

　　三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「海外勢が超長期金利の先高観を見始め、買い手不在が強まる可能性がある」と指摘。アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは「米国債市場が落ち着きを取り戻すことで、安全資産としての需要はなくなる」との見方を示している。