金曜日, 5月 23, 2025
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赤外線が見えるようになるコンタクトレンズが開発される – GIGAZINE



赤外線が見えるようになるコンタクトレンズが開発される - GIGAZINE


通常は人間が見ることができない波長の光を可視光に変換することで、暗闇の中や目を閉じた状態でも赤外線を見ることができるようになるコンタクトレンズを、中国の研究者が発表しました。

Near-infrared spatiotemporal color vision in humans enabled by upconversion contact lenses: Cell
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(25)00454-4

Infrared contact lenses allow people to see in the dark, even with their eyes closed | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1084046?

Revolutionary Contact Lenses Let Human Eyes See Invisible Light : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/revolutionary-contact-lenses-let-human-eyes-see-invisible-light

第2次世界大戦中の夜間戦闘で初めて用いられた暗視装置は、わずかな光を増幅したり、赤外線を可視化したりして暗がりの中での視界を確保します。しかし、そのような暗視装置の多くは電源が必要なので重く、かさばります。過去には、マウスの網膜下に特殊なナノ粒子を注入することで近赤外線を見えるようにするのに成功しましたが、このような外科的な処置はなかなか人間には応用できません。

マウスの目にナノ粒子を注入して見えないはずの赤外線光を見えるように改造することに成功 – GIGAZINE


手術をしなくても赤外線が見えるようになる技術を開発すべく、研究者らはソフトコンタクトレンズとしてよく使われる柔軟なポリマーに、ナノ粒子を埋め込みました。光学分野でよく使われる素材のイッテルビウムやエルビウム、金を含んだフッ化ガドリニウムナトリウムでできたこのナノ粒子は、800~1600ナノメートルの波長の近赤外線を吸収し、それを380~750ナノメートルの波長域の可視光に変換することができます。

こうして作られたアップコンバージョンコンタクトレンズ(UCL)をマウスに装着させたところ、マウスは赤外線で照らされた箱を避けて、暗い箱に入りたがるようになりました。一方、UCLを装着していないマウスは、赤外線の照明がついた箱とそうでない箱を区別しませんでした。また、UCLをつけたマウスは赤外線が当たると瞳孔が収縮したほか、脳スキャンにより視覚処理中枢が赤外線に反応していることも確かめられました。

次に、人間の被験者にUCLをつけてもらったところ、被験者は点滅する赤外線を感知してその方向を捉えることができるようになりました。被験者がまぶたを閉じると、赤外線はさらによく見えるようになったとのこと。これは、赤外線は可視光線よりも透過性が高いことによるものです。

中国科学技術大学の神経科学者で論文の筆頭著者であるTian Xue氏は「結果は明快で、コンタクトレンズを着用していない状態の被験者は何も見ることができませんが、コンタクトレンズを着用すると赤外線の明滅をはっきりと見ることができました。近赤外線は可視光線よりも効果的にまぶたを透過するため、可視光線による干渉が少ないためです」と述べました。

by Yuqian Ma, Yunuo Chen, Hang Zhao

テストでは、メガネをかけていない被験者には退屈な黒か白に見えた文字が、この高級メガネをかけると鮮やかな色になった。赤外線の波長がメガネによって特定の可視波長に変換されたからです。

by Yuqian Ma, Yunuo Chen

電源不要で、目を閉じていても赤外線を補足できるようになるUCLには、すぐにでも応用可能な用途がいくつか考えられます。例えば、赤外線の点滅を見られれば、セキュリティや救急、暗号化、偽造防止といった分野で情報伝達に使える可能性があります。

また、コンタクトレンズにさらなる工夫を施すことで加えることで、赤外線を波長ごとに色分けすることもできるようになりました。この技術は、色覚異常の人が普段は見えないものを見られるようにする技術に応用できるかもしれないと、期待されています。

コンタクトレンズは網膜に近するため、変換された光が散乱してしまい、細かいものが見えにくいという欠点があります。研究チームが、コンタクトレンズに使用したのと同じナノ粒子でメガネを作ったところ、被験者はより高解像度の赤外線情報を知覚できるようになりました。

今回開発されたUCLは、まだLED光源から放射される赤外線しか検出できませんが、研究チームはナノ粒子の感度を高めてより微弱な赤外線を捉えられるようにする改良に取り組んでいます。

Xue氏は「私たちの研究は、非侵襲性のウェアラブルデバイスが人々にスーパービジョンを与える可能性を切り開くものです」と話しました。

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🧠 編集部の感想:
赤外線を見えるようにするコンタクトレンズの開発は、視覚の新しい可能性を示唆しています。特に、安全や医療の分野での応用が期待され、幅広い影響を及ぼすかもしれません。将来的には、この技術が視覚障害の改善にも役立つことを願っています。

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