土曜日, 5月 17, 2025
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豊嶋花×清乃あさ姫がみせる演技の成熟 『なんで私が神説教』10代俳優の新たな存在感


 現在放送中の『なんで私が神説教』(日本テレビ系)は、“元無職”の高校教師・麗美静(広瀬アリス)が、生徒たちの問題に“説教”で向き合っていくという型破りな学園ドラマだ。コメディタッチをベースにしながら、教育現場の理不尽や若者たちの葛藤を丁寧に描き出し、単なるお説教ドラマにとどまらない人間ドラマへと昇華している。

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 そんな本作で強い印象を残しているのが、内藤彩華を演じる豊嶋花と、綿貫陽奈を演じる清乃あさ姫だ。いずれも10代の若手俳優だが、彩華と陽奈という真逆のキャラクターに“リアル”を吹き込むその演技力はお見事。物語の中心である「説教」の説得力を支える存在として欠かせないふたりの現在地と、その魅力をひも解きたい。

 豊嶋が演じる彩華は、クラスで「いじられキャラ」として描かれる存在だ。明るく振る舞うものの、その笑顔の奥には常に自己否定や不安が透けて見える。空気を読み、場をなだめ、笑って受け流す。その姿は一見、周囲との調和を保つ手段にも見えるが、実際は“自分を守るための仮面”でもある。特に第5話では、1年前の喫煙疑惑が再燃し、自分だけが退学処分を受けそうになるという理不尽な展開に直面する。家庭環境の違いという“目に見えない線引き”によって孤立させられていく過程で見せた涙と、無理に作った笑顔のギャップが痛々しく、観る者の心を強く揺さぶった。

 子役時代から豊富なキャリアを持つ豊嶋は、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)で松たか子演じる主人公の娘・唄役を好演し、ギャラクシー賞を受賞した作品の中で大人びた目線のセリフ回しと存在感を残した。さらにNetflix映画『新幹線大爆破』では、修学旅行中に事件に巻き込まれる女子高生役で極限状態の心理を体現し、高く評価された。

 そんな豊嶋が今作で挑んでいるのは、“等身大の高校生”という最も難しい役どころだ。等身大であるがゆえに誇張ができず、ちょっとした違和感がキャラクターを壊してしまう。そのなかで、豊嶋は“ただのいい子”に見せることなく、彩華という少女の複雑な輪郭を丁寧に浮かび上がらせている。

 また、本人も「高校生の気持ちでリアリティのある素敵なクラスをみんなで創り上げていきたい」と語っているように、現実と地続きの温度感を意識して役に向き合っている(※)。10代の視線と感性をまといながら、確かな技術と経験値で魅せるその演技は、いまの豊嶋だからこそ出せるリアルな表現だ。


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 一方、清乃が演じる陽奈は、彩華とは対照的にカースト上位にいるリーダー的存在。強気で華やかで、中心にいることに慣れきったような言動を見せるが、実は誰よりも不安定で脆いキャラクターでもある。

 陽奈は過去に彩華をいじめていた事実を抱えており、退学問題が浮上する中でその過去がクラスに知れ渡る。自らも喫煙に関与していたにもかかわらず、彩華だけが退学処分の対象となったことから、非難の矛先が自分に向くという立場の逆転が生まれる。これまで“責める側”だった陽奈が、初めて“責められる側”に回る瞬間。そこに潜む葛藤や戸惑いを、清乃は多弁ではなく沈黙の芝居で伝える。

 演技においても清乃は、強がりだけではない“余白”を丁寧に描いている。NHK大河ドラマ『どうする家康』では政略結婚に翻弄される少女・おふうを、『366日』(フジテレビ系)では等身大の若者である彩乃を演じ、いずれも自然体の演技で視聴者を引き込んできた。そんな清乃が本作で演じているのは、“自分を正当化しきれない女子”の揺れだ。誰かを守りたい、でも自分も否定されたくない。その矛盾を一つひとつ引き受けていくような繊細な演技が、陽奈というキャラクターに重みと説得力を与えている。

 陽奈は決して単純な「女王様キャラ」ではない。自信と不安、プライドと自己嫌悪、仲間思いな面と自己中心的な面。そのすべてが彼女を形作っている。そして清乃は、それらを否定することなく、まっすぐに役と向き合っている。

 『なんで私が神説教』の魅力の一つは、生徒同士の関係性が一面的ではないことだ。陽奈と彩華も、かつては敵対関係にありながらも、どこかで分かり合いたいという気持ちを抱いている。第5話で描かれた、陽奈が彩華をカラオケに誘うシーンは、その兆しの一端だろう。

 その“変化の兆し”を描くには、演じ手がキャラクターの痛みや願いを深く理解していなければならない。豊嶋も清乃も、それぞれの役の「傷」を芝居の中で滲ませ、説得力のある存在としてそこに立っている。その姿に、観る側は思わず心を預けたくなる。

 子役出身として確かな経験を重ねてきた豊嶋、モデル活動と並行して演技を磨いてきた清乃。それぞれ異なるキャリアを歩んできたふたりだが、共通しているのは、“いまの自分で勝負する”という潔さだ。10代のいまだからこそ出せるきらめきと、演技者としての熱量が、本作の重心を支えている。

 『なんで私が神説教』はこれから、退学問題を軸にクラスの人間関係が大きく動いていく。彩華と陽奈の距離がどう変化していくのか。そしてその変化のなかで、ふたりの演技がどんな進化を見せてくれるのか、最後まで見届けたいと思う。

参照

https://www.ntv.co.jp/kamisekkyou/articles/4621vzbdxntl640gdbwv.html

『なんで私が神説教』の画像

なんで私が神説教

『となりのナースエイド』『イップス』などのオークラが脚本を手掛ける、進学校を舞台とした完全オリジナル作品。他人と本音でぶつかり合えない大人たちに送る新たな学園ドラマ。初の教師役となる広瀬アリスが主演を務める。

■放送情報
『なんで私が神説教』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:広瀬アリス、渡辺翔太(Snow Man)、岡崎紗絵、野呂佳代、小手伸也、伊藤淳史、木村佳乃、堀内敬子
脚本:オークラ
演出:内田 秀実、南雲聖一ほか
チーフプロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:藤森真実、白石香織(AX-ON)
音楽:横山克
制作協力:日テレアックスオン
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kamisekkyou/
公式X(旧Twitter):https://x.com/kamisekkyo_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/kamisekkyo_ntv

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編集部の感想:
『なんで私が神説教』で豊嶋花と清乃あさ姫が織りなす演技は、まさに次世代の可能性を感じさせます。両者のキャラクターが持つ複雑さと葛藤を巧みに表現しており、視聴者を引き込む力があります。このドラマがどう進展していくのか、二人の成長に期待が高まります。

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