土曜日, 5月 24, 2025
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警察を騙る末尾「0110」詐欺–なぜ騙されるのか、対策は


 「こちら新宿警察署です。あなたの銀行口座が詐欺に使われており、逮捕状が出ています」――そんな電話がかかってきて、驚かない人はいないだろう。しかも実在する警察署や警察がよく使う末尾「0110」の番号からかかってくる。

 しかし、これは今流行っている詐欺の一つ。詐欺の実態と対策についてお伝えしたい。

警察になりすました詐欺が急増

 「知らない人からの電話は普通出ないけれど、警察の電話番号だったから出てしまった」と被害に遭った40代女性は話す。しかも、「容疑がかかっているから岐阜県警に出頭してほしい」と言われ、パニックになってしまったという。

 被害者は関東地方在住で、岐阜県は遠く、とても簡単に行ける距離ではない。それならばと「LINE」に誘導され、警察を友だち追加。その後、ビデオ通話で事情聴取されたという。制服姿の落ち着いた様子の警察官が登場し、警察手帳や逮捕状などを見せられたため、完全に信じてしまったそうだ。

 「金融調査のために資金を確認しなければならない」と逮捕をちらつかせられたことで、138万円のお金を言われた口座に振り込んでしまった。その後ニュースで警察を騙る詐欺を知り、詐欺かもしれないと気付いたが、後の祭りだったそうだ。

 「せっかくコツコツ貯めたパート代を全部振り込んでしまった…」女性は肩を落とす。

 このような、警察を騙る詐欺の被害が増加している。警察庁によると、2024年には全国で4192件と前年より3000件以上増加。トビラシステムズによると、2024年12月、末尾が0110の国際電話からの着信件数、つまり詐欺電話は、増加前の6月から200倍に増加している。

 固定電話だけでなくスマートフォンにかかってくることも多いため、他の被害よりも若い年代での被害が多い。

警察からの電話は「スプーフィング」

 なぜこのようなことが起きるのか。結論から言うと、これはスプーフィングという技術を使った電話番号の偽装だ。そのためのアプリやサービスも複数ある。

 コールセンターや営業マンなどからの発信者番号を、その会社の代表番号に変える時などに使われるもので、特に新しい技術というわけではない。では、なぜこれまで警察を騙る番号偽装の詐欺が行われなかったかと言えば、国内の詐欺で警察を騙った場合、警察の威信を賭けて逮捕されやすくなってしまうためだ。

 ところが最近のこのような詐欺は、海外から国際電話でかけられている。海外からかけてきているため逮捕につながりにくく、被害者側が騙されやすい手口として広まったと考えられるのだ。新宿署の電話番号など特定の電話番号が多く使われているのも、詐欺師グループの間で情報として共有されているためだろう。

パニックにさせる典型的な詐欺の手口

 容疑がかかっている、逮捕されるなどと聞いたら、どんな人でも落ち着いていられるわけがない。人はこのようにパニックに陥ることで冷静な判断ができなくなり、詐欺に引っかかりやすくなる。つまり、オレオレ詐欺や当選詐欺などと同様、相手に冷静な判断をできなくさせるタイプの典型的な詐欺の手口なのだ。

 折り返し着信の番号にかけ直したら、実在の警察署につながったという話も聞く。紛れもない警察署の番号からかかってきていることで信用してしまう人も多い、このような技術や詐欺情報を知らなければ、信じてしまっても仕方がないだろう。

 「ビデオ通話に出た相手が警察官らしく見えた」と被害女性は言うが、AIで作成した偽の警察官の可能性がある。AI技術を使えば、リアルタイムのビデオ通話なども容易にできてしまうのだ。

「一度切って折り返す」が鉄則

 本物の警察官が、SNSを使って連絡を求める、ビデオ通話をするといったことはない。捜査対象となっていることを伝えてくることもないし、警察手帳や逮捕状をSNSで見せたり、送ってくることもない。お金を要求する、キャッシュカードを求めることなども絶対にない。

 警察を騙るこのような電話があった場合は、所属と名前を聞いて一度電話を切ること。そして、警察相談専用電話(#9110)に相談することだ。着信があった番号に折り返すことはやめよう。

 頭に「+」の着いた国際電話は、必要がなければ着信拒否をしておこう。国際電話は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で無償で発着信拒否ができる。

 お金の被害がなくても、捜査に必要と言われて名前や住所を教えたり、マイナンバーカードなどを提示してしまったという例も。このような情報が分かれば、金融機関の口座などを作られて犯罪などに悪用されてしまう恐れもあるので注意してほしい。

 こういった技術を使った詐欺は、知らないと見破ることはかなり難しい。ニュースなどを普段から見聞きして、どのような詐欺が流行っているか知っておくことでも被害が防げるので、ぜひ参考にしていただければ幸いだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki





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🧠 編集部の感想:
最近の警察を騙る詐欺の急増は驚きです。特に、信じがたいほど巧妙な手口で人々を混乱させ、冷静な判断を奪うことに危機感を抱きます。警察や公式機関からの連絡の注意喚起が重要ですが、私たちも情報を常に更新し認識を高めておく必要があります。

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