水曜日, 5月 21, 2025
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謎の「完璧な球体」を天の川銀河で発見!その正体とは?


自然物とは思えない”完璧な球体”が発見されました。

豪ウェスタン・シドニー大学(WSU)の研究チームはこのほど、天の川銀河の内部に、ほぼ完璧な球体をとどめた宇宙の構造物を発見したと報告。

一見してその姿は、自然界にはあり得ないほど対称で滑らか。

人工物のような外観すら思わせるその姿は、天文学者たちをして「完璧な球体(Perfect Sphere)」と言わしめました。

チームは古代ギリシャ語で「完璧」を意味する言葉にちなんで、この球体を「テレイオス(Teleios)」と名づけています。

では、テレイオスの正体とは何だったのでしょうか?

研究の詳細は2025年5月7日付でプレプリントサーバ『arXiv』に公開されています。

目次

  • 完璧な球体「テレイオス」の正体とは?
  • なぜ「完璧な球体」になったのか?

完璧な球体「テレイオス」の正体とは?

完璧な球体「テレイオス」は、オーストラリアの電波望遠鏡・ASKAPによって観測されました。

ASKAPはこれまでにも、宇宙に浮かぶ奇妙な円形構造物を発見しています。

その中には、たとえば「奇妙な電波サークル(Odd Radio Circles、略称ORCs)」と呼ばれる、銀河間空間に存在する謎の構造物も含まれています。

奇妙な電波サークルの画像/ Credit: en.wikipedia

今回のテレイオスは天の川銀河内に位置しており、チームはその正体について、ある程度の見当をつけています。

それは「超新星爆発の残骸」です。

特にテレイオスから放たれる電波の波長から、これが「Ia型超新星(タイプ・ワン・エー・スーパーノヴァ)」の残骸である可能性が高いことを指していました。

画像
観測された球体/ Credit: Filipović et al., arXiv, 2025

Ia型超新星とは、宇宙でもっとも明るい種類の超新星の1つです。

このタイプの超新星は、白色矮星が近くにある連星系の伴星から物質を吸い取りすぎ、質量の限界を超えて爆発することで発生します。

超新星のサブカテゴリーとしては他に、大質量星の重力崩壊によって誕生するIb型およびIc型超新星などがあります。

ここまでは比較的シンプルな話ですが、ただテレイオスのサイズや距離については複数の可能性が指摘されています。

なぜ「完璧な球体」になったのか?

チームは「テレイオスまで距離推定することに成功しましたが、1絞ることができず、2候補分かれした。

一方は7175、もう一方は25114です。

いずれかの距離によってテレイオスのサイズも大幅に変わってきます。

チームによると、仮に近い距離あるとすれば、テレイオス直径46なり、遠い距離あれば、直径157になるという。

超新星の残骸一般に、爆発放出物質時間とともに広がり膨張すること形成ます。

つまり、残骸きさの違いは、その年齢違い意味ます。

近い距離あるとすれば、テレイオス比較的若く誕生から1000未満考えれ、遠い距離れば、1以上爆発したものということになります。

しかし、どちらシナリオ問題があるとチームはいいます。

それは「Ia超新星進化モデルば、本来ならX観測れるはずだ」というです。

ところが、テレイオスからX一切観測ていません

これかなり不可解です。

そこでチームはもう1可能性として、テレイオスは「Ia超新星」ある「Iax超新星」残骸ではないという説と唱えています。

これ白色矮星が爆発によって完全破壊されず、爆発も「ゾンビ星」呼ばれる残骸残るタイプ超新星です。

このモデルは、テレイオス放つX線なしの電波特徴よく合致ます。

ただし、その場合距離もっと近く、3262ある必要あります。

もしこのシナリオしけば、テレイオスもっとさく、直径11程度ということになります。

画像
Credit: Filipović et al., arXiv, 2025

では、テレイオスはなぜここまで完璧な球形をしているのでしょうか?

実際、超新星残骸ほとんど場合、何らかの非対称です。

爆発そのもの非対称あったり、周囲存在するガスぶつかってだります。やがて膨張進むと、不規則崩れています。

しかし、もし爆発が偶然にも完全対称で、かつ周囲に邪魔するものがない空間きた場合、残骸均等広がること可能です。

それからテレイオスは、まだ崩壊する段階達していないとも見られています。

非常珍しい現象ではありますが、不可能というわけではありません。

だからこそ、テレイオス実に興味深い天体です。

今後さらに観測て、その成り立ちかしてい必要あります。

チームは以上を次のようにまとめています。

たちは、表面輝度、見かけさ、そして想定れる距離て、テレイオス進化状態について徹底的検討しました

すべて仮説何らかの難点あり、とくにたち進化モデルば、本来観測れるはずXない大きなです。

たちIa超新星可能性もっとも高い判断ていますが、現時点どの仮説決定裏付ける直接証拠存在おらず、この天体については、より感度解像度新た観測必要です」

宇宙はまだまだ私たちの知らない謎で溢れているようです。

全ての画像を見る

参考文献

Mysteriously Perfect Sphere Spotted in Space by Astronomers
https://www.sciencealert.com/mysteriously-perfect-sphere-spotted-in-space-by-astronomers

元論文

Teleios (G305.4-2.2) — the mystery of a perfectly shaped new Galactic supernova remnant
https://doi.org/10.48550/arXiv.2505.04041

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部



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🧠 編集部の感想:
この「完璧な球体」の発見は、宇宙の謎を解明する新たなステップとして非常に興味深いです。自然界にはない対称性を持つこの天体が、果たして超新星の残骸であるかどうか、多くの可能性を探る研究が待たれます。今後の観測によって、さらに深い理解が得られることを期待しています。

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