認知症になりにくい高齢者が日常的にやっている、たった一つの習慣【41万人のデータを解析】写真はイメージです Photo:PIXTA

日常的なデジタル機器の使用は

高齢者の脳の健康を守る?​

 一般に、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の使い過ぎは、脳に悪影響を及ぼすと考えられている。しかし実際には、その逆の可能性があるようだ。

 少なくともテクノロジー革命の始まりを経験した世代におけるデジタル機器の日常的な使用は、認知機能障害のリスクを58%低下させる可能性のあることが明らかになった。これは血圧低下や運動、脳トレのゲームによるリスクの低下度に匹敵するという。

 米テキサス大学オースティン校コンプリヘンシブ・メモリー・センターのJared Benge氏と米ベイラー大学心理学・神経科学分野のMichael Scullin氏によるこの研究結果は、「Nature Human Behaviour」に4月14日掲載された。

 Benge氏らは今回、合計で約41万1430人(試験開始時の平均年齢68.7歳、女性53.5%)が参加した57件の先行研究のデータを統合して解析した。同氏らは、「デジタルテクノロジーとの関わりを持った最初の世代である『デジタル先駆者』が、認知症のリスクが出てくる年齢に差し掛かっている」と指摘する。

 例えば、1945年生まれの人は、請求書の支払いに小切手や現金を使い、調べ物には百科事典や図書館のカード目録を利用し、初めての場所を訪れる際には紙の地図に頼り、郵便局を通じた手書きの手紙のやり取りに数日を要していた。

「こうした人たちが今や80代を迎えつつあり、クレジットカードによるネットショッピング、検索エンジンを使った情報入手、自動リマインダー付きのデジタルカレンダーによるスケジュール管理、車やスマートフォンに搭載されたGPSによるナビゲーション、メールやビデオ通話を通じた世界中の人との即座のコミュニケーションが当たり前の時代に生きている」と研究グループは述べている。