TechDaily は筆者が毎日実施しているテックニュースの斜め読みをまとめたもの。グローバルで気になる資金調達、テックトレンド、スタートアップニュースをまとめて共有する。
ニュースサマリー
話題のポイント：TechCrunch の報道によると、2025年初頭に設立されたばかりの AI スタートアップ Cluely が、Andreessen Horowitz 主導による1500万ドルの Series A 調達を発表した。同社は「見えないアシスト」をキーワードに、ユーザーの画面と音声をリアルタイムで解析し、技術面接や営業コール、オンライン試験などで最適な回答を提供する AI デスクトップアプリを開発している。
もうちょっと平たく言うと「画面と音声をイヤホン感覚で盗み読みし即答をくれる」AI カンペツールです。
Mac／Windows に常駐し、OCR ＋ 音声ストリーミングで文脈を解析。ホットキーを押すと小さなオーバーレイに次に言うべきこと・貼るべきコード・示すべき資料を即座に提示してくれるそうです。開かれたウィンドウにも会議の参加者リストにも一切痕跡を残さない設計が特徴なんだとか。
創業者の Chungin “Roy” Lee 氏と Neel Shanmugam 氏は、元コロンビア大学のコンピュータサイエンス専攻で、在学中に面接支援ツール「Interview Coder」を開発し、学内処分を受けて退学したというからある意味、筋が通っている。
「チート」を前面に押し出したブランディングは教育機関や企業から強い反発を受ける一方、2025年4月時点で ARR300万ドル超を達成（創業者による自己申告）するなど、急速なユーザー獲得に成功しているという話も。
料金体系は Free プラン（0ドル）、Pro プラン（月額20ドル）、Enterprise プラン（応相談）の3層構造で、不可視オーバーレイによる「検知不能」を標榜している点が物議を醸しているようだ。
同社は TikTok での炎上マーケティング戦略も注目を集めており、50名の「Growth Intern」を雇用し、10億ビュー達成を目標とする大胆な拡散施策を展開中。
スタートアップらしいと言えば、らしい。勝たなければ意味がない。
類似の AI 支援ツールとして、面接対策に特化した MockInterview.ai や、リアルタイムコーディング支援の GitHub Copilot Live などが挙げられるが、Cluely は「不可視性」と「汎用性」を武器に差別化を図っている。しかし、複数のスタートアップが Cluely 検出サービスの開発を表明しており、技術的な攻防が激化している。
まあ、当たり前だが、教育機関による利用禁止措置、企業の BYOD ポリシーとの整合性、GDPR や CCPA といったプライバシー規制への対応が挙げられる。また、Zoom や Microsoft Teams などの既存コラボレーションツールが類似機能を標準搭載する可能性もあり、競合環境の変化にも注意が必要だ。
一方で、エンタープライズ向けの営業支援ツールとしての PoC も進行中で、可視化 API や管理者コンソールのローンチが予定されている。累計調達額は2030万ドル（Seed ラウンド530万ドル含む）に達し、投資家筋による評価額は約1.2億ドルと推計されている。
「AI が人間の能力を拡張する」という大きな潮流の中で、Cluely はある意味で素直なアプローチを取る企業の一つと言えるだろう。倫理的な議論を呼ぶ一方で、実用性と収益性を両立させている点は注目に値する。
via TechCrunch
🧠 編集部の感想：
Cluelyの急成長には驚かされますが、「チート」を前面に押し出す戦略には倫理的な懸念があります。技術面接や営業支援に特化した機能が、果たして教育やビジネスの公正性を損なわないのか疑問です。炎上マーケティングを上手く利用しつつも、長期的な信頼を得ることができるのか、今後の展開に注目です。
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