言葉が「自信」をつくる 〜50代からの目標達成力〜FUJIO

50代という年代は、仕事においても人生においても「これまでの成果」と「これからの挑戦」の両方に向き合うタイミングです。部下や後輩を育てる立場にありながら、自分自身も「あと10年で何ができるか」と内省することが増えてくる頃かもしれません。そんな中で、多くのビジネスパーソンが密かに抱えているのが「自信の揺らぎ」です。若い頃には勢いと直感で乗り越えられたことが、今では慎重さや迷いが先に立ち、思うように進めなくなっている――そんな感覚に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。しかし、目標を達成するために必要なのは、若さや体力ではなく、「内なる確信」、つまり「自信」です。そして興味深いことに、自信というのは「自然に湧いてくるもの」ではなく、「意図的につくるもの」だということが、コーチングの世界ではよく知られています。◆ 自信は「言葉」で形づくられる自信という感情は目に見えませんし、手に取ることもできません。けれど、言葉は違います。言葉は私たちが日々、自分の内側で、あるいは他者との間で使い続けている「思考の表現」です。つまり、自信が足りないと感じるときでも、「言葉」によって自信を創り出すことができるのです。たとえば、自分自身に対して次のような言葉を意識的に使ってみてください。•「私はこの目標を達成する力がある」•「私はこの仕事をやり抜く人間だ」•「私は必ず結果を出す」これらは、いわゆるアファメーション（肯定的な自己宣言）と呼ばれる手法の一つです。多くのエグゼクティブ・コーチングやスポーツのメンタルトレーニングでも実践されており、特にプレッシャーの高い状況で自分を支える柱となります。脳は、繰り返し聞かされた言葉を「現実」として認識する性質を持っています。つまり、自分で自分にかける言葉が、現実の行動や成果に影響を及ぼすというわけです。まさに「言葉が世界をつくる」のです。◆ 50代の今こそ、「内なる言葉」を変える50代は、これまで培ってきた経験や知識を総動員し、新たな成果を生み出す黄金期です。そのポテンシャルを最大限に発揮するには、「自分の内なる言葉」を見直すことが鍵になります。コーチングの現場でよく見られるのは、ベテランのビジネスパーソンが無意識のうちにこんな言葉を自分に投げかけているケースです。•「もう若くないから」•「今さら挑戦しても」•「自分なんかが…」これらの言葉は、まるで見えないブレーキのように自分の行動を制限してしまいます。だからこそ、あえてポジティブで力強い言葉を自分に向けて投げることが必要なのです。これは決して「根拠のないポジティブ思考」ではありません。長年の実績や経験があるからこそ、自信を「言葉によって再構築する」ことが可能なのです。◆ 「言葉」が行動を変え、行動が成果を生むここで、実際のコーチング事例をご紹介します。ある50代の管理職の方は、長年のキャリアを活かして新規事業に取り組むも、「自分に本当にできるのか」という不安がつきまとっていました。そこで、毎朝自分にこう言い聞かせる習慣を取り入れてもらいました。•「私はこの挑戦にふさわしい人間だ」•「私は常に成長している」•「私は周囲と協力しながら成果を生み出せる」最初は違和感があったものの、3週間後には「自分の考え方や姿勢が変わった」と実感され、実際にチームの動きも改善し始めたのです。このように、言葉が変わると、思考が変わり、行動が変わり、結果が変わる。これがコーチングの本質でもあります。50代は「第二のスタートライン」自信は、与えられるものでも、待っていて降ってくるものでもありません。自分の「言葉」によって、自らの中に存在させるものです。そして、あなたがどんな言葉を自分に投げかけるかによって、これからの10年が決まるといっても過言ではありません。あなたの中に眠っている可能性は、あなたの言葉で目覚めます。どうか今日から、自分に向かってこんな言葉を語りかけてみてください。「私は、まだまだこれからだ。」