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視線は誰のグラウンド?マーケ屋のひとりごと

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概要

この記事は、視線と注目の経済をテーマに、マーケティングの視点から歴史的なメディアの変遷とその影響を考察しています。著者は、現代の情報環境において、注目がいかに権力やコンテンツに影響を与えるか、また、視線をコントロールすることの重要性について述べています。

要約の箇条書き

  • コロッセオの例から、歴史的に「アテンション」が権力の道具であったことを指摘。
  • メディアの進展(活版印刷、ラジオ、テレビ)が権力と商品に与えた影響を闡明。
  • 現代のスマホが視線を吸引するツールとして機能していることを指摘。
  • 巨星・長嶋茂雄を例に、時代のメディアによって形成された「国民的ヒーロー」像を説明。
  • ソウルの大統領選挙がハッシュタグと短尺動画でのCLIに進化していることに言及。
  • アルゴリズム時代における意見のフィルタリングと「真実」の捉え方を考察。
  • 「一拍置く」ことの重要性を強調し、発信のタイミングが重要であることを述べる。
  • フィード経済において、逆張りのマーケティング戦略が今後の鍵になるという結論。

視線は誰のグラウンド?マーケ屋のひとりごと

マーケ屋のひとりごと

2025年6月3日 16:39

2025年06月03日 29日目パンと剣闘士で群衆を黙らせたコロッセオは、“アテンション”を帝国が国税のように徴収する巨大な実験場だった──声援は納税、沈黙は反乱のサイン。

皇帝は親指一本の向きで外交方針を決め、血と砂が跳ねるたびに世論調査のグラフを頭上に思い描いたという、まさにリアルタイム・ダッシュボードだ。

やがて活版印刷が宗教改革を燃やし、ラジオが戦火を煽り、白黒テレビが大量消費社会を演出し、“メディア=舞台装置”の規模は指数関数的に拡張した。 メディア装置が刷新されるたび、権力も商品も“注目”という燃料で高く跳ぶが、燃え殻はいつも市民の足元に降り積もった。

ドゥボールが喝破した〈スペクタクル〉はいま僕らの手のひらのスマホの中で、通知音ごとに小爆発を起こして僕らの視線と時間をチリのように吸い上げていく。

その歴史の射程で今日を眺めれば、まず巨人終身名誉監督・長嶋茂雄の訃報がニュースもSNSも埋め尽くす──“ミスター”は電波三強時代と共振した国民的プロトタイプだ。

生放送の魔法陣に乗せられたフルスイングは、視聴率という国家規模の指標で研磨され、本人すら制御できない物語へ変換されたまま僕らに記憶されている。

一方ソウルでは非常事態を経た大統領選が、ハッシュタグの風と短尺動画の炎で燃え広がり、投票所の列がARフィルター越しに実況される“参加型スペクタクル”へ。

そして政府の〈知的財産推進計画2025〉が掲げる生成AIと量子暗号の盾は、アルゴリズム時代の国益を囲い込む“アテンションの関税”宣言にほかならない。

国民的ヒーローになったミスターは、“国民的”メディア×コンテンツの追い風を受けて、伝説になった。
みんなが同じ番組を見て、同じ物語を信じられた時代だからこそ生まれ得た星だ。

ところがいまは、誰でも発信できる。ハッシュタグで民意が波立ち、ノイジーマイノリティーが膨張する。

韓国の前大統領も、そんなエコーチェンバーに足を取られた――と囁かれている。

さらに AI と量子計算は、「あなたのため」と言いながら、誰かの“善かれ”を高速で最適化する。
気づけば心地よいフィルターバブルの繭に包まれ、他者の物語を自分の声と取り違えてしまうかもしれない。

“真実”を探すより、“真実と呼べる暫定解”とどう付き合うかが先だろう。
ジョン・キーツが名づけたネガティブ・ケイパビリティー――不確実さを抱えたまま前に進む力――が、僕らの足腰を支える。

「一拍置く」。脊髄反射をやめ、発信をワンテンポ遅らせると、アルゴリズムはこちらを気にし始める。長打より間合いで勝つ。

それがフィード経済の打席術だ。

アテンションエコノミーなんて言われ、「フォロー」や「いいね」が信用になり通貨になる。誰もがアテンションを欲しがる時代。

だからこそ、逆張りの姿勢こそがマーケターらしい時代との寄り添い方なのかもしれない。

出典:・巨人終身名誉監督・長嶋茂雄さん死去 89歳(読売新聞)/2025年06月03日・政府が「知的財産推進計画 2025」を決定(朝日新聞)/2025年06月03日

・韓国、大統領選の投票始まる(ロイター)/2025年06月03日

マーケ屋のひとりごと

企業のマーケティング戦略をコンサルする会社をやってます。今日のニュースを三題噺ふうにマーケティング視点で切ってみようと思います。いつまで続くことやら。(2025年5月6日)ひとりごとなので、厳密な正誤判定はご容赦ください。



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