褒め言葉が脳の栄養になる！「努力」と「褒める」で子どもが伸びる理由｜ 本当はすごい早生まれ #4

＼早生まれには秘められた脳の潜在能力があった！／

16万人以上のMRIを見た脳科学者であり、早生まれの息子の父でもある著者が伝える、本当はすごい早生まれの可能性。

「早生まれは不利」と言う一般的な認識を科学的に覆す書籍『本当はすごい早生まれ』（飛鳥新社）から一部抜粋してお届けします。

もしかすると皆さんの中には、「頭の良さは生まれつき」と思っている方がいるかもしれません。「地頭が違うから」などという方もいます。

しかし、そんなことはありません。脳は、「努力」に報いる器官です。「努力」をすれば、その領域の脳の体積を増やし、能力を高めることができることが示されているのです（*6）。次のページの表を見てみましょう。

またちょっとだけ、脳科学の話をします。

発話や対話などの音声刺激は、脳の前頭葉の言語野などの灰白質密度（つまり脳の体積）を増やします。また、指先の運動は、脳の前頭葉の運動野などの灰白質密度を増やします。「灰白質」は、「大脳皮質」とも呼ばれるニューロン（神経細胞）が集まった「脳を覆う皮」のことでした。

つまり、音読をしたり、書き取りをしたりといった学びに伴う感覚運動が、脳の該当部分の体積を増やすことになるのです。

その灰白質密度とIQの関係を表したのが、上の表です。灰白質密度が増えるほど、言語性IQも、動作性IQも向上していることがわかります。単純化して表せば、次のようになります。

脳は「努力」によって、その形まで変えてしまうのです。

「努力」が脳の灰白質密度を高めることがわかりました。しっかり勉強をすれば、脳の体積は増えてくれるわけです。「勉強をしても無駄だ」と思ったことがある皆さんも、これで安心して勉強を続けることができそうですね。

また、親の関わり方で脳の体積を増やすこともできます。

やり方は簡単。「褒める」ことです。

親が子どもを褒めると、どのように脳が変化するのかを見ていきましょう。私もこの研究に参加しています。116人の男子と109人の女子を対象とした実験です。子どもの平均年齢は10・6歳。親の子どもを褒める頻度と、脳の灰白質体積の関係を調べました（*7）。

この調査を通じて、親が子どもを褒める頻度が高いほど、子どもの「後部島皮質」の灰白質体積が増えていることがわかりました。

この後部島皮質の灰白質の体積の状態は、先行研究によると共感性との関わりがあるとされています。また、この領域は聴覚に関わる部分ですから、「褒め言葉の処理」によって、活性化している可能性があります。

親が子どもをたくさん褒めると、実際にその言葉を聞く脳の部分の体積が増えることが、科学的に明らかになったのです。

褒め言葉は、脳の栄養なのです。

（*6）　Sue Ramsden, et al. Verbal and non-verbal intelligence changes in the teenage brain. Nature, 2011 Oct 19;479（7371）:113-6.

（*7）　Izumi Matsudaira, Yasuyuki Taki, et al. Parental Praise Correlates with Posterior Insular Cortex Gray Matter Volume in Children and Adolescents. PLOS ONE, 2016 Apr 21;11（4）.

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この続きは、是非書籍でご覧ください。

※本記事は、『本当はすごい早生まれ』（著：瀧靖之／飛鳥新社）より抜粋・再編集して作成しました。