KDDIが衛星通信サービス「au Starlink Direct」を開始
関口
KDDIの松田社長就任会見は、松田さん(KDDI代表取締役社長CEO 松田浩路氏)を打ち出すためのイベント感が強かったですね。
法林氏
今まで、通信業界のイベントには松田さんが登壇することも多かったし、海外取材に行くと、高橋前社長の横に松田さんがいることも多かったので、業界内では知られている人だけど、経済界とかから見ると、何者かわからない。だからこその演出だと思う。「au Starlink Direct」をこのタイミングで持ってきたのも、演出のうちの1つだよね。
石川氏
発表の前日には、iPhoneにキャリアアップデートがあって、衛星通信がオンになっていたりと、相当準備をしていたことが伺える。NetflixのCo-CEOグレッグ・ピーター氏、クアルコムのPresident&CEOクリスティアーノ・アモン氏、Hon Hai Technology Group のChairman&CEOヤング・リウ氏と、業界の大物3人がコメントを寄せていました。
石野氏
アモン氏が出てきたのはびっくりしました。彼が出てくるのって、メーカーで言うと、サムスンクラスですよ。クアルコムはメーカーによって登壇させる幹部のクラスが明らかに違っていて、アモン氏はトップメーカーを中心に出ているように見えます。松田さんにメッセージを送ったのには驚きましたね。
法林氏
会見には経済系の報道番組の取材チームが来ていたので、放送を見たけど、当日の内容はかなり尺が短かった。
石川氏
そうなんですか? かなり長い時間取材していましたよ。
法林氏
撮影した個別インタビューは、他の日に使うとは思うけど、当日の報道はこんなに短いのかって思った。
石野氏
会見としては、きちんとしたストーリーもあり、au Starlink Directというニュースもあり、全体的に盛り上がりましたね。
関口
松田さんは、「夢中に挑戦できる会社」や「準備万端、先手必勝」といったメッセージを打ち出していますが、この辺りはどうですか。
石川氏
もう少し具体的なことも聞きたかったかな。
石野氏
それでいうと、au Starlink Directは、準備万端で、先手必勝ですよね。
法林氏
会見はよかったと思う。
石野氏
逆にちょっときれいにまとまりすぎている感じもしました。
関口
衛星通信の話題に持っていかれた感じもありますが、AIマーケットの話もありましたね。
法林氏
それも業界としては面白いとは思うけど、一般の人からすると、言語や画像といった、AIモデルが複数あることがまだ認識されていない段階。ここでAIマーケットと言ってもピンと来ないかも。
au Starlink Directは、業界に関係ない人に話してみると、「海や山でも使えるんだね」って興味を持たれる。
石川氏
ソフトバンクだったらPerplexity、ドコモだったらStella AI、楽天モバイルだったらRakuten AIみたいなサービスがあるけど、KDDIがこういったものをやるのかがはっきりしなかった。
石野氏
AIで言うと、au Starlink Directを始めるにあたって、Geminiをかなりうまく連携させてきたと思いました。昨年はGoogleと協力してAndroidスマホにGoogle メッセージを入れ、iOSがRCSに対応し、それをKDDIがサポートし、さらにGeminiを使ってメッセージだけでも豊富な情報がやり取りできるようになった。AIにはこんな使い方があるし、Starlinkと絡めると、こんな使い方ができるんだという面白さはありました。かなり前から着々と準備をしていたんだなと。
石川氏
それでいうと、RCSってハードルが高くない? オプションの契約をして、アプリ内でもオンの設定が必要。
石野氏
そうなんですけど、次の機種変更のタイミングとかで、自動的にオンにするとかいう変更はありそう。アップルからすると、あんまり使わせたくないというか、いやいや対応している部分でもありますからね。
石川氏
でも、料金かかるわけでもないじゃん。
石野氏
そうですね。なので強制的にオンにしてもいい気がします。
法林氏
auの5G SAは、標準で利用可能なんだっけ。
石野氏
いや、契約変更が必要なはずです。
石川氏
機種変更したら、勝手に使えるようになっているかも。
法林氏
ドコモはオプションだよね。
石川氏
ドコモはネットワークがこれだけひっ迫しているのに、なんでオプションなんだろう。ネットワークの効率で考えたら、標準的に5G SAに対応したほうがいいはずなのに。
関口
ドコモは、テザリングを有料化するかという議論の時の考え方と、変わっていないんだなと思いました。通信に新しいサービスを付けるときには、そこでなにかしらをいただくという発想。
ユーザーからすると、テザリングは、自分で契約した範囲内のデータ容量を使うので、そこから先で、PCだろうがスマートフォンだろうが変わらないはず。ドコモの昔からの考え方と、今のユーザーの捉え方に、ギャップが生まれている。
石川氏
難しいのは、5G SAのオプションに月々550円(現在は無料キャンペーン実施中)を支払ったとして、果たして本当に5G SAにつながるのかというところ。つながる保証ができない。
じゃあau Starlink Directも、オプションにできるのかと考えると、これも難しい。実際に山や海でつながらなかった時に、どうするのか。KDDIは料金設定に迷っているようですけど、オプションとしてお金を取るのは、なかなか難しいと思っています。
法林氏
そう考えると、標準サービスの中に入れないといけないよね。古いSIMカードを使っている人に、新しいサービスが利用できるSIMカードに安く交換できるキャンペーンとかも、積極的にやったほうがいいと思う。
石野氏
ソフトバンクは、対応機種ならSIM交換だけで5G SAが使えますね。
法林氏
5Gが始まるときに、SIM交換をするかどうかでだいぶもめたよね。KDDIは「交換する」と言ったけど、かなり責められたのでやめて、後から順次交換になった。
石川氏
au Starlink Directの場合は、auの使い放題プランだけ使えるとか、ALL STARパックに入れるとかが落としどころだと思う。
石野氏
あと、別途料金を取らなくても、au Starlink Direct目当てでau回線の契約をしてくれればいいという考え方もあります。
法林氏
それで言うと、UQ mobileやpovoは非対応でいいのかという話も出てくる。
石野氏
海外でStarlinkを使っているキャリアのT-Mobileは、メインプランだと無料だけど、それ以外のプランでは有料という形になっているので、povoの場合はトッピングにするとかがあってもいいと思う。
石川氏
山でも使えるというメリットを訴求するのはいいけど、実験して思ったのは、au回線が圏外になる場所が全然ない。
法林氏
意外とないよね。
石野氏
我々の行動範囲ではなかなかないですよね。
石川氏
圏外を探して車を走らせましたけど、ポツンと家があるような場所でも、しっかりと4Gがつながる。山道になんとか入って、やっと衛星とつながるような状況です。
法林氏
函館のトンネルを見に行った時に、山の中の作業ヤードの入口までマイクロバスで登っていくところでは、iPhoneで衛星アンテナのマークが見られた。東京近郊は相当充実しているけど、田舎のほうはそうでもないかも。
石川氏
田舎ではドコモのほうがいいという人もいるので、こういう場所での対抗策としてはありですかね。
僕が行ったあきる野市の場合は、都心にも近いので、干渉を避けるために、電波は弱めに設定されているらしいです。つながりにくい場所として提案された蓬莱山では、衛星通信がつながるけど、つながる時間とつながらない時間がはっきり分かれる。現状、600機ほどの衛星が飛んでいるという話だけど、それでもこの状況と考えると、もっと少ない他社はどうなるのか。楽天モバイルは、AST SpeceMobileの衛星とつながるサービスを検討しているけど、ここは90機程度でサービスを開始すると言っているので、どうなるのか。
石野氏
au Starlink Directでデータ通信ができないのも、現在は600機程度だからとのことです。実際、RCSの送受信にはデータ通信が使われるので、なぜほかのデータ通信はできないのかと言われると、容量が不足しているから、アプリ側で制限をかけているという話になる。
法林氏
かつてのケータイと同じだよね。動画を送れるのはこのサイズまでみたいな話と、基本的に設計は同じ。
石野氏
そうですね。なので衛星モードにしないといけない。
法林氏
KDDIのエリアマップを見ると、千葉の山のほうに圏外の地域がある。
石野氏
これ、結構山奥じゃないですかね。
石川氏
なかなか歩いて行ける場所には、圏外のエリアはないよね。道路沿いで圏外だといいんだけど。
法林氏
それで言うと、ゴルフ場がある。ゴルフをする人に聞いたら、端側にあるホールは、圏外のところがあるらしい。
石野氏
以前はソフトバンクの孫さんが行ったゴルフ場で圏外だと担当者が怒られてしまったとか……(笑)
法林氏
社長がエリア外の場所を理解していると、整備されていくってことだね。
石野氏
楽天モバイルも、5Gのサービスイン当初から、渋谷の一部エリアでミリ波がつながるとかありましたからね。
関口
au Starlink Directに話を戻すと、衛星のアンテナは、ASTのほうが大きいみたいですね。
石川氏
ASTのアンテナはテニスコートくらいあるらしいです。一方でStarlinkは、大きめのテレビくらいのサイズ感。
法林氏
その分、Starlinkは数が多い。数か面積か、どっちが正しいかは、今の段階では言えない。
石野氏
ASTは面積が広いので、1つの衛星でカバーできる範囲が広いという理屈。容量も大きいし、サービスイン当初からデータ通信ができるという触れ込みだけど、実際にどうなるのかはわかりません。
石川氏
干渉問題もある。
関口
Satrlinkは、干渉を避けるために、エリアの端では出力を抑えているという話ですが、衛星は続々と来ますよね。そんなに微調整ができるんですか。
石川氏
ASTに聞いた話だと、できるみたいです。
石野氏
Starlinkもやっているみたいですよね。衛星通信は、天文観測に影響が出るらしいんですけど、天文観測をやる場所では、エリア外になっている。KDDIのプレスリリースを見ても、「Starlinkのご厚意で、この場所では電波を出さない」という内容が記載されていて、こんなに調整ができるんだなと思いました。
法林氏
仕組みとしては出力調整だよね。
石野氏
物理的にそこだけを外すように角度を変えるのは難しいはずです。
ドコモとソフトバンクは衛星通信にどう取り組むのか
関口
KDDIはStarlink、楽天モバイルはASTがありますけど、ドコモとソフトバンクはどうするんですかね。
石野氏
ドコモは、2026年までに、HAPS(高度約20kmの成層圏に位置する無人航空機を利用して、上空から広範囲にわたる通信ネットワークを提供する技術)を飛ばすと言っていますね。
石川氏
MWCでも聞いたけど、本当にHAPSを飛ばせるのか疑問。ソフトバンクですら、日本の北側では難しいと音を上げているのに、ドコモができるのか。
石野氏
そこは、エアバス(エアバス・ディフェンス&スペース。ドコモとHAPSの早期商用化を目的とした資本業務提携に合意している)の技術力で解決するって、丸め込まれていますよね(笑)
石川氏
エアバスに頼りすぎじゃない?
石野氏
とはいえ、エアバスは飛行機を長い間作っていますから、納得感はありますよね。
法林氏
でも、航空技術としての技術と、飛行機に相当するものから飛ばした電波で通信をする技術は違う。Starlinkの衛星は、実は2段構えで、より高いところに衛星を飛ばして通信している。ASTは1段だけど、大丈夫なのかという話もある。
ドコモもHAPSの準備をしているのはわかるけど、本当に実現できるのかという疑問は残る。
石川氏
技術的な問題のほかに、資金面の問題もある。StarlinkやASTは世界でサービスをやっていて、日本のキャリアとしては、KDDIや楽天モバイルがやっている。一方で、ドコモのHAPSは、ドコモだけのものなので、赤字になるリスクもある。
関口
能登HAPSパートナープログラムの資料を見ると、国内実証実験が2025年、国内一部エリアが2026年なのに、石川県は2028年度以降となっています。このずれは、技術的な制約があるとのことです。
石野氏
北側は日照時間が短いという話ですね。HAPSは、実現すれば、高度はStarlinkとかよりも低いので、容量も確保しやすいし、通信のエリアも作りやすい。問題は、いかにして、永続的に飛行機を飛ばすのかです。
石川氏
飛行場をどこにするのかという問題もある。
石野氏
そうですね。最初は、HAPSに直接基地局を乗せるのではなく、レピーターとして、地上の基地局の電波を増幅して、エリアを広げるようなイメージなので、使い方が違う。ただ、飛行機を何台も保有して、飛ばし続けるとなると、維持費は相当かかるはずです。
石川氏
一方でソフトバンクは、日本でHAPSを飛ばすのは難しいから、バッテリーを開発する方向に進んでいます。
石野氏
ただ、飛行機を実際に飛ばすのは、Space Compassという会社で、ドコモはあくまで、取引先の1つという話になっている。Space Compassが海外に売り込んで、収益をあげることはできるかもしれません。
石川氏
顧客の1人と言っても、使う電波はドコモのもの。そこの線引きがよくわからない。
石野氏
そこは、飛ばす国によって、使う電波を変えるんじゃないですかね。
法林氏
あと、ドコモの電波を使うとしても、どの周波数を、どうやってやりくりするのか。Starlinkの時と同じ問題は起こる。
石野氏
最初はレピーターなので、大丈夫なはず。ただ、Starlinkよりは、海外展開が大変そうですよね。そもそも海外のキャリアで、HAPSに興味を持っているところが少ないので、ドコモがうまく運用しないと、Space Compassの海外に売り込むという計画がだめになりかねないし、O-RAN(オープンな無線アクセスネットワーク)で基地局をやるOREXにも影響が出そうなので、ドコモが頑張らないといけません。
石川氏
結局、衛星通信はStarlinkが強いだろうけど、イーロン・マスク氏に過剰に反応する人もいるので、ノイズをどう取り除いていくかの勝負ですね。
偽基地局にはどのような問題があるのか
佐藤
最近、「偽基地局問題」として、SNSやテレビのニュースでも取り上げられていますが、具体的にご解説いただけますでしょうか。
法林氏
理屈としては、通信キャリアが出している周波数帯域に、勝手にGSM(2G)の電波を吹いている人がいる。携帯電話技術は、古い世代のほうが、セキュリティが低いので、いろいろと余計な情報が盗まれてしまう可能性があるという話です。
僕が最初に「偽基地局」というワードを見たのは、Xiaomiの端末設定にある、「偽基地局検出ブロック機能」というもの。検索して、中国ではそういう問題があるというところまではわかったけど、日本では関係ないと思っていたら、とうとう日本にも来てしまった。
石川氏
Galaxyシリーズには、「2Gをオフにする」という項目があって、これがブロック機能に相当します。
石野氏
Pixelシリーズにもありますね。
石川氏
ただ、偽基地局の仕組み的に、情報を盗むところまで行けますかね?
法林氏
1つは、SMSを飛ばせる。
石川氏
SMSを飛ばして、リンクを踏ませて、サーバーに行くくらいですよね。
法林氏
サーバーに行くくらいだけど、やり取りする信号の暗号化は、2Gから3G、4G、5Gと、世代を追うごとにどんどん高度化しているので、2Gにつながった状態だと、セキュリティが甘くて、データ通信の中身を見られる可能性があるという解釈。
石川氏
でも、車に積んだ偽基地局から電波を飛ばして、バッテリーなどもある中で、そこにサーバーがあって、認証してなにかにつなぐといったところまでやっているのかなと。
石野氏
ただSMSを送るだけにしては、ずいぶんコストがかかることをやっている。あと、機能としては、ここから緊急地震速報を流したりもできてしまいそうなので、大パニックに陥れたりすることが考えられる。安全保障上よくないですよね。
いまはインバウンド向けにSMSを飛ばしているだけで、多くの日本人には影響がない状態です。インバウンドで来た方たちも、あれで騙されるのかは疑問ですが。
法林氏
中国に行っている人に聞いたところによると、偽基地局の問題は、結構前に話題になった話らしい。中国都市部では少し古い話で、引っかかるのは田舎の人くらいだと言われた。ということは、インバウンドで来ている人を狙うのはあるとして、日本人にもあまり認知されていないからこその動きかもしれない。
石野氏
実は僕も怪しいSMSをPixelで受信しています。受け取った時間を検索してみたら、ほかの人も同じ時間に似たような内容のSMSを受け取っているみたいでした。僕が受け取ったのは、対面にインバウンドできた人たちが列をなすようなカフェがあるところなので、これが狙いだなとは思いましたね。
関口
車に積んだ偽基地局から、バックボーンは、インターネットにつながっているんですかね。
石川氏
多分つながっていない。というかつなげようがなくないですか。車に5Gホームルーターを乗せているのかって話です。なので、SMSを飛ばすのが精いっぱいじゃないですかね。
法林氏
あと、偽のサーバーが動いている可能性はある。サーバー1つくらいなら、USBメモリでも動くからね。
石野氏
偽のサーバーをたてて、メールなどの個人情報をどんどん吸収するとかはできるかも。
関口
SMSを送り付けるだけならできるとして、これでアクセスを受け付けて、偽のページを見せるとなると、スマホが1台ならまだしも、100台、1000台となると、放熱などが厳しそうですよね。
石川氏
海外でこの偽基地局セットが売っていて、そこには扇風機もセットになっています。
石野氏
相当強い出力で吹いているみたいですよ。これはちゃんと取り締まらないといけない。フィッシングメールを送っているだけならまだかわいいほうで、もっと悪いことができてしまう。
石川氏
日本のキャリアのユーザーにも、つながりにくいといった影響が出てくるかもしれません。
関口
総務省と各キャリアから寄せられたコメントを見ると、影響は確認できていないとか、把握はしているといった程度なのに、ドコモだけ「被害状況を認知」とコメントしています。
石野氏
関係者に話を聞くと、ドコモは結構早い段階で気づいていたみたいです。総務省ともいろいろ対策に乗り出していたけど、現行犯じゃないとなかなか捕まえられないらしいですね。
石川氏
ドコモがSNSで著名な方にリークした可能性すらあると思う。
法林氏
一説によると、ソフトバンクがすぐに気が付いて、ドコモは遅かったという話も聞いたけど、どうなんだろう。
石野氏
ソフトバンクも水面下で対応してたみたいですね。とはいえ、よくこんな機械を輸入できますよね。
法林氏
機材自体は、バラバラにして持ってくればできるんじゃない?
石野氏
それもそうですね。これも仮想化されているというか、今や汎用サーバーの上で基地局も動くので、こういう人たちが出てきますよね。
石川氏
しかもGSMっていう、手垢のついた古い技術だからね。5G SAが吹かれたら厄介だけど。こういう時こそ、技適警察みたいな人たちに出てきてほしい。
石野氏
完全に技適アウトですからね。ただ、トラックの違法無線とかが取り締まられていたりするので、これもやりようはありそう。
石川氏
もうやっているんじゃないかな。
石野氏
やっているはずですよね。僕も現行犯で取り締まられている現場を見たくて、渋谷付近を通るときには、ナンバーを隠している車をちょっと探したりしています。ただ、これが何かの実験だとすると、今後は怖いですよね。
石川氏
でも、日本人は相手にしていないでしょう。
石野氏
相手にしていないけど、妨害電波で圏外になる。
石川氏
あと、なんでドコモの周波数帯をピンポイントで狙っているんだろう。
石野氏
ドコモでローミングしている人を狙っているのでは。
法林氏
ローミングを受けているのは、ドコモが多いだろうという解釈なんだろうけど、KDDIやソフトバンクも実際には受けている。
石野氏
ドコモは、ローミングインする回線としての割合が高いはず。海外のSIMを日本でつなごうとすると、だいたいドコモかソフトバンク、最後にKDDIというパターンが多いです。
法林氏
3G時代の通信方式の違いでしょうね。ドコモとソフトバンクはW-CDMA、KDDIは当時、CDMAでしたからね。
石川氏
とはいえ、キャリアとメーカーが、ソフトウェアアップデートで、GSMにつながらないようにするスイッチを付ければいいと思ってしまいます。
法林氏
それはそれで、ローミングの時にGSMしかつながらない場所もあるにはあるので、困ってしまう。
石野氏
デフォルトでは2G通信をオフにしておいて、ローミングするときには、状況に応じてオンにしてくださいというアナウンスをするのがいいと思います。Androidには標準で、GSMをオフにする機能があって、Pixelはもう対応している。GalaxyはS25シリーズしか使えなくて、それ以前のモデルではまだ使えない。早いところ、メーカーが対応したほうがいいですね。
問題はiPhoneで、2Gの無効化は、ロックダウンモードにしないとできないっていう特殊な状態です。
石川氏
それはソフトウェアアップデートで、どうにでもなるでしょう。
関口
そう考えると、キャリアや総務省から、何が起きていて、どんなリスクがあるのかというアナウンスは欲しいですね。
法林氏
少なくとも、変なSMSから来たリンクを踏まないことが大前提。あと、役人がちゃんと仕事をしていることをアピールしないといけない。アピールだけではだめだけど、ちゃんと取り締まったといったアナウンスがないと困る。
石川氏
現行犯で捕まえたら、さすがに新聞記事になると思いますよ。
法林氏
でも、話題になってからもう1週間は経っているよ。
石野氏
これを現行犯で逮捕するのは、なかなか難しいんじゃないですかね。トランクを開けてみても、サーバーですとしらを切られたら、何も言えない。テスターを持っている人が、ちゃんと検証しないと、証拠不十分になってしまいます。
法林氏
とはいえ、携帯電話サービスとしては、根幹を揺るがすような犯罪。そこはちゃんとやらないといけない。
どんな問題でもそうだけど、役人がちゃんと仕事をしないといけない。渋谷を丸一日歩き回ったっていいわけです。
石川氏
今は中国語のSMSがメインですけど、これが日本語のSMSだと、騙される人もたくさん出てきますからね。
石野氏
個人的には先ほどお話ししたように、緊急地震速報などで扇動するようなことがあると怖い。
法林氏
本来の緊急地震速報は、通常の通信とは違う仕組みだけど、SMSで送ったら、誤解される可能性はある。
石野氏
あと、単純にフォールバックさせる段階で、一回圏外になるので、緊急通報などもできなくなるのでかなり大きい問題だと思っています。
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