水曜日, 6月 4, 2025
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虚勢映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」ネタバレ 考察 解説孤独のシネマ

🧠 あらすじと概要:

映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」のあらすじ

映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」は、ドナルド・トランプがどのようにして成功を収め、アメリカの象徴的な存在となったのかを描く作品です。物語は、ニクソンの「チェッカーズ・スピーチ」を引き合いに出しながら、アメリカの政治家たちの虚勢や成功の背後にある心理を探ります。特に、トランプのビジネス・リアリティショー「アプレンティス」に焦点を当て、彼の成功が虚構であることや、彼の生き方がアメリカンドリームに反するものであることを示唆します。

記事の要約

この記事では、映画のテーマである「虚勢」が中心に描かれ、トランプを含むアメリカの政治的・社会的な実態を考察しています。トランプの背後には、過去の成功者たち(ニクソンやケネディ)の影があり、彼の行動や言動には、その虚勢が色濃く反映されています。また、アメリカの「恥知らず養成所」としての側面が議論され、成功に至る過程が精神的なコンプレックスや虚栄心と深く結びついていることが強調されています。最終的には、アメリカ社会全体がこの虚勢によってどのように影響を受けているのか、そしてその未来に対する警鐘が鳴らされています。

虚勢映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」ネタバレ 考察 解説孤独のシネマ

孤独のシネマ

「痛くないもん!」とやせ我慢する子供はかわいい。が、大人の虚勢はイラつく。「まだイキってんのか」と思う。虚勢がバレると更に厚く張る。恥を知らないフリして押し通す。去勢すれば治るのか?

何が彼らをそうしたのか?

さよならニクソン

映画はニクソンが不正疑惑を弁解した「チェッカーズ・スピーチ(1952)」から始まる。この声明で彼は、貧しい幼少期や妻との質素な暮らしを語り大衆から支持を得た。そのおかげで大統領になった。しかし史上初の辞任した大統領にもなった。

数年の隠棲後、TVインタビューで自己弁護を試みる。

要約すると「私は国と民を裏切り失望させた。しかし悪人ではない。大統領がやる事は違法ではない」

このインタビューは映画化もされた。リンク→『フロスト×ニクソン』

虚勢を張り続けた男の最後が描かれる。

それ以外にもレーガンやケネディの名前が出てくる。トランプも今は大統領だ。

つまり「トランプの創り方」ではなくて「アメリカの創り方」の話。

恥知らず養成所アメリカ

日本は「恥の文化」があるらしい。これを提唱した人は欧米には「罪の文化」があると言う。

日本は恥を知る故に「日和ってる奴」が多い。ヘタレ養成所かもしれない。

一方アメリカは自由を言い訳に罪を罪とも思わない奴がいる。迷惑系配信者の外道っぷりは日本の比じゃない。彼らは勝利=金。アメリカンドリームは稼いだ額で決まる。稼げないと負け。負けると貯めた罪と恥で哀れに死ぬ。

この映画で死と言えば、兄フレッドとロイだ。

航空機パイロットはダサい。

兄のフレッドは父から職業差別を受ける。トランプとの会話から兄は幼少期から飛行機好きだった事がわかる。つまり、夢を叶えた。航空機パイロットは高収入で、日本でも年収1000万円を超える。アメリカなら倍以上。何が不満なの?雇われてるから。殺せないから。夏休みの思い出は飛行機を見上げ、サボりをチクった事。「労働者を敵にして稼いだ」と言う。これが「殺し」。それが父の教育で、兄はそれを無視した。映画では負け犬扱いが酒に依存させた様に描かれる。実際に酒で職を失い、命まで落とす。その死にトランプは怯える。「敗北=悲惨な死」と信じ込み、殺し続けようとする。

その方法を教えたのがロイだ。

ゲイじゃねぇし、エイズでもねぇし。

落ちぶれ弱ったロイはインタビューを受ける。ゲイでエイズなのに、どっちも認めない。でも市長選にコッチが立候補した時、ロイは「アイツはホモだ。受かるわけない」と言う。若きトランプが丁寧に予定を聞くと「ゲイの口説き文句か?」とからかう。虚勢を張る為、ゲイを笑う。僕も小学生の時、友達にウンコした事をチクられた。あいつも一緒にしたのに。先に裏切り自分を守る。※1

ダサい奴は負け。そして死ぬ。

そんな男が求めたのは友情。ロイはトランプを特別扱いする。話し方から生き方まで指南し、対価は要求しない。事実は別として、映画ではロイ自らが小切手を返し、高級スーツをプレゼントする。見返りの友情は、自分への便宜を意味するけど、病状の彼はトランプのリップサービスやプレゼントに感激している。彼はトランプに強引さと裏切り、冷淡さをやって見せたのに自分は真の友情を欲した。その結果は偽のダイヤモンド。※2トランプはロイを見習い、忠実に教えを守った。

「見習い」はタイトルにもなっている。

リアリティショーにリアルはない。

題名「アプレンティス」は直訳で「見習い」。トランプが有名になったビジネス・リアリティショーの番組名でもある。その番組で冷酷だがパワフルで賢い経営者として人気者になった。実際は何度も破産し、優秀とは言えない。メディアを使って虚勢を張るのはニクソンに似てる。「偉大なアメリカを再び」はレーガンからパクった。※3

生き方はロイを見習った。

猿真似で成功したのにトランプは「金持ちになるには生まれ持った才能がいる」「私には天性の勝負勘がある」と言う。アメリカンドリームに反する発言をして何を求めてるのか?

彼はケネディになりたいんだ。

成金コンプレックス。

ニクソンとケネディはライバルだった。貧乏農家の息子ニクソンとエリート一家のJ.F.ケネディは対極の存在。ケネディと共和党のニクソン、レーガン、トランは思想が違う。だからトランプはケネディって政治家になりたいわけじゃない。映画でトランプの第一声は「これ以上ない場所だ。ケネディ家も使っていた」誉め言葉の担保に彼らを使う。終盤、ロイを別荘に招いた時も「妻がケネディ家風にしろって言うもんでね」と言う。豊胸手術を強要する奴が家の風合いを似せる事を許すか?

つまり、トランプは貴族に憧れてる。

ケネディ家は別に貴族出身じゃないけど、そう扱われてる。経済的に成功した人はそれを出自と結び付けたがる。貧乏から成り上がると自分だけは特別だと思う。動物農場、豊臣秀吉、国と時代を選ばず手のひら返す連中は多い。

コンプレックスがそうさせるのかもしれない。

取引は芸術だ。

んなこたぁない。でもそう言う。認めて欲しいから。権威ある存在にアピールしたい。アメリカにとってイギリスはコンプレックスの対象。追い出された恨みと、貴族への憧れが入り混じる。その気持ちはアメリカンドリームって形に変換された。「貧乏だったけどこんなに金持ちになったよ。こんなに殺してやったよ」

まるで虫取りを自慢する子供の様に胸を張る。

虚勢は死の恐怖と師への憧れによって張られる。
一度張ったが最後、張り続けないと殺される。

トランプタワーでのパーティで「ツインタワーより高くしても良かったんだけどね」とまた虚勢を張る。ツインタワーは約400m、トランプタワーは約200mだ。何でこれと比べるのか?ツインタワーの高さはアメリカの経済的威信を示す為のモノだったから。つまりこれも虚勢って言える。ラストシーンでトランプは「君の生き方はアメリカのこれまでの外交政策に似てる」と言われる。その瞳には国旗と低く飛ぶ飛行機が映される。

アメリカの虚勢が招く未来を予言するかのように。

まとめ

アメリカは虚勢を張ってる。その虚勢はコンプレックスかもしれない。

その虚勢で誰が幸せなになってるのか?

備考&備忘録

トランプ役のセバスチャン・スタンはキャプテン・アメリカのウィンターソルジャーで有名。
キャプテンがアメリカの理想なら彼はアメリカの現実って言えるかもしれない。

※1
昔の小学生男子にとって学校でウンコするのは犯罪扱い。

※2
現実でロイが脱税で財産を差し押さえられた時、あのプレゼントだけが残った。偽物だから。と言うエピソードが元ネタ。

※3
「Make America Great Again」をトランプ陣営は商標登録した。

孤独のシネマ

映画の感想書いてます。考察動画作ってます。映画の感想文の仕事欲しい。[email protected]



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