月曜日, 5月 26, 2025
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英雄と怪物の境界線。映画『英雄傅』遊十

🧠 あらすじと概要:
映画『英雄傳』は、異種格闘技をテーマにしたアクション映画です。物語は、悪行を働く不良格闘家たちに立ち向かう本物の武術家たちと、街を守ろうと奮闘するヒーローたちの物語が二つの軸で進行します。一方では、街に戻った一人の母親と、彼女と同じようにドマイナーなヒーローを愛する父娘が、新たなヒーローショーを作り上げようとする感動的なストーリーがあります。他方では、ストライクという不良格闘集団のメンバーたちとの激しい戦いが繰り広げられ、観客は毎秒目が離せない息を呑むようなアクションを体験します。

記事では、特にキャラクターの魅力やアクションのクオリティが強調されており、観客が作品を楽しめる点について詳述されています。また、母親が抱える過去の秘密や、彼女の娘に引き継がれた力と暴力性のテーマも見逃せません。物語の中では、英雄と怪物の境界線がどのように描かれているのかも重要な要素です。全体として、この映画はただのアクション映画ではなく、深いテーマを持った作品として高く評価されています。

英雄と怪物の境界線。映画『英雄傅』遊十

記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

見出し画像

遊十

 武道、というものに殆ど縁のない人生だった。口喧嘩以上の喧嘩もしたことがなく、だからこそ思うことがある。
 全力で人を殴る、とは一体どんな感覚なのか。人を壊せる、ひいては殺せる力を持つということはどんな気持ちなのだろうか、と。

 と、言う訳で映画「英雄傳」の話をします。 こちらの記事には5月24日シネマート新宿、13時半の舞台挨拶の内容、写真を含みます。

 キャラクター設定や、ストーリーについて公式サイト以上の情報を書きます。ネタバレあります。(結末は書きません)

 まずは↓の予告をご覧ください。話はそれからだ。

 見ましたね?
 やばくないですか??

 「究極の異種格闘バトル」と銘打たれたのは決して誇張でなく、本予告の29秒目あたりから流れてくる何種類あるんだよという武術の数々がおよそ85分の中に濃密にぶち込まれていてくらくらします。本当にマジで映画館に行ったほうがいい。大画面で炸裂する技の数々に見惚れるから。

舞台挨拶写真
坂本浩一監督

 さて、ここから先は公式サイト以上のストーリーやキャラクター設定に軽く触れていくので、基本的には一旦此処で閉じていただいて、付近の劇場をチェックしに行かれるのがよいと思います。「英雄傅」は「えいゆうでん」と読みます。
 私もまだ一回しか観れてないので、記憶違いはご容赦ください。

  では進めます。 この物語は、基本的にふたつの軸で進行していきます。

 不良格闘家たちで構成された集団、ストライクから街を守る〈本物の武術家〉のめくるめく満漢全席のようなアクションパートが華ならば、平和が脅かされつつある街に戻ってきたひとりの母親が、自分と同じドマイナーヒーローを愛する父娘と出会い、共にヒーローショーを作り上げようと奮闘するこちらのパートは根でしょうか。この物語が本当に良かった。

 いないに等しい観客の前で、グダグダな進行のヒーローショーの怪人役を務める男、智也を演じるのは、ミスター平成ライダーこと高岩成二さん。 おそらく数十年前の打ち切り番組のヒーローを愛し、職にしている彼は主役アクターを務めるアルバイトに辞められ、地上げでステージすらも失う。それにしても男やもめが似合いすぎる。「いい人なんだけどちょっと情けない」感が絶妙というか。智也の娘を演じている藤田凛さんも素敵だった。

「だめな父ちゃんでごめんなぁ」と肩を落とす智也の前に「ショー終わっちゃったんですか!!」と駆け込んできたのがこの物語の主役である浅香光。

舞台挨拶写真
浅井流鞭拳空手 創始者 浅井星光さん 

 余談ですが、ショーが終わった事を知った彼女のあまりの嘆きっぷりに高岩さんのとったとある演技が私はたまらなくツボでした。正解は劇場でどうぞ。

 行く宛がないという光に家を貸す父娘。その一方、ストライクの魔の手は着々と街に迫っていたーーのだが。この街は、不良格闘家もヤバければ住人もヤバイのだ。
 
道を塞ぐなやと引っ越し屋のおじさんにいちゃもんをつけるストライクが出れば、後ろで荷運びしていたシステマ使いのイケオジに制圧される。
 コンビニを地上げしようとしたストライクが出れば、トイレから白衣を着た眼鏡の男が現れ、物理法則の美しさを語りながら合気道で全員を伸す。

舞台挨拶写真左:システマ東京代表 北川貴英さん

右:合気道神武錬成塾道場長 白川竜次さん

 そして、そんな街でストライクが不動産屋を襲撃すれば何が起きるか。
 正解は、襲撃の中でもひとり背筋を正して仕事をしていたスーツの男が、アクロバティックな躰道で天地無用の戦闘を繰り広げる、だ。

舞台挨拶写真
躰道道場『己錬館』館長:中野哲爾さん

 ちなみに、舞台挨拶にて、不動産屋さんでのとんでもない室内戦闘は坂本監督が別の階で撮影している間に高岩心泰さんと二人で考えたと仰っておりました。何で出来るのかも何で撮れるのかもさっぱりわからないしワイヤーが無いのはもっと意味がわからない。

 さて、ここまで(対戦相手の)引きが悪いとストライクが可哀想になってくるのですが、安心してください。幹部の皆さまはハチャメチャに強いです。
 
つまりこの映画は達人の無双と達人VS達人のどちらもが楽しめるという訳です。ハッピーセット!

 口を開けてたらアクションが詰め込まれる、それが映画「英雄傅」です。冒頭で紹介したアクションパートなんてのは一端の一端でしかありません。なんせ敵は「不良格闘家集団」です。 強敵との戦いを望むカポエイラも、金を求める空手家も、赤い道着でジャスティス!!って叫んでる人もいます。この方、常に俺の赤い拳でってキメてくるんだけどグローブ黒なんだよな……ってずっと思ってる。

 そんな癖強なメンバーを率いる男、拳悟を演じるのはアクション俳優の橋渡竜馬さんです。

舞台挨拶写真橋渡竜馬さん

個人的にはウルサマ2023のリュウマ隊員が馴染み深い。

舞台挨拶写真実はこの映画で2役やっているリュウマさん

 映画の冒頭、忍術道場を地上げに、ストライクを率いて拳悟がやってくるのですが、私はすでに勝訴の札を掲げていました。何故か。
 舞台挨拶の言葉を借りますと「ハイキックするとネットニュースになる女優」宮原華音ちゃんが拳悟の彼女役だったからです!!
 ビジュ最高……ありがとう……距離近い……良いね……って内心キャーキャーしてました。
アクションパートはもっとしました。特にシステマVSターンは最ッ高に格好良かった……!
 
本当にありがとうございました。ストライク入会審査(当然バトル)みたいなのをやってる廃墟っぽいとこのソファーで並んで座って拳悟の肩に頭こてんしてるのが最高で目の前の戦闘に集中できなかったので責任取ってほしい。二人のペアアクスタほしい。 ちなみに途中でお座り解除されたので、娘VS力士というとんでもバトルは落ち着いてみれました。改めて書くと字面すごいな。  閑話休題。 個人的な状況を除いても、拳悟というキャラクターは非常に魅力的でしたし、主人公である浅香光との関係性が良かった。ですが、それを語るには、さらにネタバレに踏み込まなければならないので、まだ観てない方はお戻りくださいませ。

 あ、公式HP記載の個々のYouTubeチャンネルはコラボ動画やらメイキング動画に溢れておりますのでそっち見てから行くのも楽しいかもです。私は今めちゃくちゃ回遊してます。回遊した結果武術家の先生方が皆好きになってしまって困りました。

 ……。
 …………。

 はい! では皆様映画を観られたということで進行します。すでにみなさまはご存知ですが、光には父娘に隠しているひとつの秘密がありました。それは、自分が5年前に過失致死事件を起こしているというものです。  光は娘を守るために、人を殺しました。ですが、おそらくそれは本当に「過失」だけではなかった。何故なら光はその時、笑ってしまっていたからです。力を奮う快感で人を殺めた光は、自分の中の怪物を恐れ、出所してからも娘と向き合う事から逃げました。  そして、光の笑みを見て「心底ビビって逃げちまった」拳悟は力を求めて、ストライクを結成することになります。  怪物になった女と、怪物を恐れーー怪物を越えたいと求める男。彼らを繋ぐのは、怪物になりつつある少女ーー光の娘でした。 事件により、いじめを受けるようになった光の娘は、こんな街ぶっ壊れてしまえとストライクに身を寄せたのです。 母親と同じような笑みをみせ、力に酔っていく彼女に拳悟は言います。それが人を壊す快感だと。 力と暴力性。何のために。誰のために。何を目指して。きっとそこに、英雄と怪物の境目がある。虚構のヒーローの果たせる役割がある。 異種も異種の格闘バトルを行う映画で、このテーマが主軸として貫かれているのが、私はとても好きでした。 物語の末、光の掴み取った「答え」を拳悟はどう受け止めたのか。気づけばぐるぐるとそんな事を考えております。  また観に行きます。

 Blu-ray、ほしいです。

遊十



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