🧠 あらすじと概要：
映画『サブスタンス』あらすじと要約
あらすじ
元人気俳優のエリザベス・スパークルは、長年従事していたエアロビ番組からの降板を余儀なくされ、人生の転機を迎える。彼女は病院で受け取った「サブスタンス」という薬によって、若く健康な自分を再生させることができると知る。この薬を注射したことで、エリザベスは若い肉体の自分、スーとして分裂し、一方のエリザベスは眠り続ける。若さを手に入れたスーは、再びエアロビ番組のオーディションに挑むが、物語は次第に複雑な展開を迎える。
要約
『サブスタンス』は、現代社会における若さへの執着と依存を描いたサスペンスホラー映画。物語は、エリザベスが若さを取り戻すために「サブスタンス」という薬に手を出し、自己分裂を経験する様子を中心に展開される。デミ・ムーアの演技が際立つ本作では、老いの恐怖がテーマとなり、若さの追求がいかに狂気を生むかを視覚的かつ感情的に描かれている。映画は視聴者に身近な依存や社会の価値観を問いかける寓話的な内容であり、老いを受け入れることの難しさを鋭く描写している。
中年になって番組を降板させられた元人気俳優エリザベス・スパークルのもとに、「サブスタンス」という夢のような薬が届けられる。薬を使うことで、若く健康な肉体を手に入れられるのだ。デミ・ムーア主演のSF風サスペンスホラー映画。
2025年5月16日（金）公開 全国ロードショー
■あらすじ
エリザベス・スパークルは、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにも名を連ねる人気俳優だ。だがそれも遠い過去の話。現在の彼女は、テレビのエアロビ番組が唯一のレギュラー仕事になっている。
だがその仕事も、50歳になった節目に強制降板。茫然自失のエリザベスは事故を起こし、病院の看護師から「サブスタンス」と書かれた宣伝用のUSBメモリを手渡される。
「サブスタンスを使えば、若くて健康で完璧なもう一人の自分自身を生み出せます」。そんな宣伝文句に興味を持ったエリザベスは、電話窓口の指示に従って特殊なな薬剤と医療キットを入手する。説明書に従って薬物を注射すると、エリザベスの背が裂けて若くて美しい女性が出現した。
エリザベスがふたりに分裂したのだ。だが一方が目覚めているとき、一方は眠っている。若い肉体を手に入れたエリザベスは、スーと名乗って自分を追い出したエアロビ番組のオーディションを受けるのだが……。
■感想・レビュー
主演のデミ・ムーアがゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた話題作。荒唐無稽なSF風味のホラー・サスペンスだが、これは現代社会を風刺した寓話と見るべきだろう。
この物語にはわからないことがいろいろある。サブスタンスの仕組みもよくわからないが、一番謎めいているのは、キットの提供者が何者で、どんな目的でこれを主人公たちに供給しているかだ。何らかの金銭的対価を得ているならまだしも、劇中にそうした場面は一切ない。
結局サブスタンスは、正体不明の「何か」なのだ。その何かが人を狂わせる。主人公エリザベスやスーが、用法を守れないまま目先の欲望に流されて破滅していく姿は、身の回りのさまざまなものに執着し、依存し、健康を害してもそれを止めることができない我々の姿でもある。
映画に描かれているのは「若さと美への執着」だ。生老病死は人間にとって根本的な苦しみだという。これらはあらゆる人間にとって自分自身のことでありながら、自分ではまったくコントロールできないものだからだ。誰しも老いるし、誰しも死ぬ。それが頭でわかっていても、肉体の老いや衰えは、本人がそれを意識するより先にやってくる。
本作の主人公エリザベスも、自分が永遠に若いままだとは思っていない。だが彼女も確実に老いていくのだ。彼女は番組降板によって、それを否応なしに突きつけられる。彼女の顔のしわを、彼女の肌のたるみを、執拗に映し出す映像の残酷さ……。
エリザベス・スパークルの老いは、そのまま演じたデミ・ムーアの老いでもある。そのことを隠すことなく、カメラの前にさらけ出してみせる凄味。『G.I.ジェーン』（1997）で頭髪を丸刈りにしたときの彼女もすごかったが、今回はそれ以上の覚悟を感じさせる。僕は映画中盤以降の特殊メイクより、映画序盤の「老醜」の方が恐ろしく見えた。人間にとって、老いこそ最大のホラーなのかもしれない。
（原題：The Substance）
TOHOシネマズ日比谷（スクリーン７）にて 配給：ギャガ 2024年2時間22分イギリス、フランスカラー
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