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概要
ジャパンエンジンコーポレーションは、2025年の決算で顕著な成長を達成し、特に海運・造船業界の好況を背景に売上高や営業利益が大幅に増加しました。将来的には新造船の需要が続くが、微増収減益が予想されています。
要約
- 経済環境: 日本経済は緩やかに回復。世界経済は不透明感が残る。
- 業界状況: 海運・造船業界は好況。
- 船腹需給が引き締まる。
- 造船は旺盛な受注。
- 業績:
- 売上高:288.6億円(前年比+37.6%)
- 営業利益:50.9億円(同+132.6%)
- 継続的に過去最高を更新。
- セグメント別業績:
- 舶用機関: 売上高 167.8億円(前年比+76.8%)
- 修理・部品: 売上高 120.8億円(前年比+5.3%)
- 受注状況:
- 受注高:296.9億円(前年比-2.4%)
- 受注残高:273.6億円(前年比+3.1%)
- 配当: 期末配当は56円に増配。
- 今後の展望: 新工場の本格稼働、グリーン燃料エンジンの事業化へ向けた努力が続く。
2025年3月期決算(5月13日)
■ 経済・業界環境
当期の日本経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調を維持。一方、世界経済はインフレがやや沈静化したものの、地政学的リスクや中国経済の減速懸念、米国政策の不透明さなどにより、依然として不透明感が残る状況だった。
こうした中、同社の関連業界である海運・造船業界は好況が続いた。
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海運:新造船供給が限定的で船腹需給は引き締まり、紅海迂回運航の影響もプラスに作用。
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造船:今後の荷動き増加を見据えた発注が活発化し、造船所では超先物商談を含めた旺盛な受注が続いた。
■ 全体業績
同社は、設計~製造・販売・アフターサービスまで一貫対応可能な体制を強みに、「中期事業計画」に沿って全事業領域で成長を実現。特に、環境対応(アンモニア・水素燃料エンジン)の開発を先導することで、持続的成長と社会的要請の両立に努めた。
その結果、通期業績は以下の通り:
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売上高:288.6億円(前年比+37.6%)
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営業利益:50.9億円(同+132.6%)
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経常利益:54.2億円(同+54.1%)
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当期純利益:43.3億円(同+69.8%)
※いずれも過去最高を2年連続で更新し、2月時点の業績予想を上回る好調な着地となった。
■ セグメント別の業績
① 舶用内燃機関(主機関)
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売上高:167.8億円(前年比+76.8%)
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好調要因:
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最新鋭省エネ型「LSHシリーズ」の好調な受注
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連続生産による効率化とピーク対策で国内ライセンシーに生産委託し台数最大化
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NOx TierⅢ規制対応設備(EGR/SCR)搭載やLSJ型(層状噴射技術)機関の販売
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販売単価の改善(インフレを踏まえた価格改定)
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② 修理・部品等(アフターサービス・ロイヤリティー・部品供給)
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売上高:120.8億円(前年比+5.3%)
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要因:
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電子制御部品や燃焼室部品の販売が堅調(船舶高稼働を背景に)
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中国ライセンシーにおけるUEエンジンの販売が好循環し、部品供給・ロイヤリティ収入も拡大
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■ 利益構造と収益要因
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主機関では、同型エンジンのロット生産による効率向上、価格改善により採算が大幅改善
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修理・部品事業も堅調で、増収による利益拡大に貢献
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R&D面では、グリーンイノベーション基金の支援を受け、アンモニア・水素燃料エンジンの開発が計画通り進捗。補助金収入が営業外収益として寄与
■ 受注状況
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受注高:296.9億円(前年比▲2.4%)
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受注残高:273.6億円(前年比+3.1%)
セグメント別:
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主機関
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受注高:155.1億円(前年比▲21.8%)
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受注残高:214.9億円(前年比▲5.6%)
→ 既に2027年度分まで生産枠がほぼ埋まっており、2028年度分も内示が進行。価格交渉・タイミングを見極めながら受注へ転換中。
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修理・部品等
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受注高:141.8億円(前年比+34.1%)
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受注残高:58.6億円(前年比+55.7%)
→ 中国ライセンシーの新工場稼働により、部品供給とロイヤリティーの伸びが顕著。高稼働運航が続くアフターサービスも引き続き堅調。
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■ 配当
業績好調を受け、期末配当は予想比4円増配の56円を予定。株主還元姿勢も強化している。
■ 総括
旺盛な主機関需要を取り込みつつ、ライセンス・アフター部門の拡大や環境対応技術の先行開発を通じて、構造的な収益力強化を実現。今後は、新工場の本格稼働を見据えつつ、グリーン燃料エンジンの事業化と、次世代に向けた「成長の地盤固め」を着実に進めている。
ネットキャッシュ(4730990千円)、ネットキャッシュ比率(0.16)。
引用
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