自治体システム標準化に関わる自治体、ベンダー、その他ステークスホルダーが腹を割って話す勉強会「標どう塾」(※メインは飲み会)に、前回の静岡に続いて参加してきました。この勉強会は、登壇者からの「LT・セッション」、参加者同士の議論を深める「アンカンファレンス」、そしてメインの「飲み会」といった構成です。少人数制で、参加者一人ひとりが主役であるという考えのもと、インプットとアウトプットのバランスが非常に良いと感じております。
私は、自治体標準化においては、主にネットワーク運用補助者といった立場で関わっています。地方自治体のオンプレミス環境とガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムを接続する役割となりますが、自治体標準化といった大きな枠組みで見た際には関わっている箇所はほんの一部分になります。
とはいえ、プロジェクトを円滑に進めるには、他の領域の知識もある程度必要です。本記事では、自分が関わっている領域を中心に大きく以下のように整理しました。(多くの観点や領域が存在すると思いますが、下記以降の説明のために簡略化した考えとなります。)
- ①標準化プロジェクト全体に必要な知識(全体方針・ルール・方向性など)
- ②インフラ・ネットワーク領域の専門知識(自分が主に担当している範囲)
- ③業務システム側の知識(他部署や他社が担当)
①について理解した上で②の自分の専門領域を完璧にしつつ、連携する③の分野の知識を付けていく必要があると感じています。②の領域は自分の専門でもあり、比較的自力で理解を進められますが、①や③については、一人での学習には限界があると感じています。①については、標準化に関する大量のドキュメントを読み解き、背景やルール、今後の方向性などを理解する必要がありますし、③のようにこれまで自分が関わってこなかった業務システム側については、他の方の話を聞くことでしか得られない知見も多く、意識的に学びを深めていく必要性を感じています。
セッションで学んだこと
今回のセッションでは、ガバメントクラウドに関するデータ主権の課題や、CSP側の大規模障害に関する話がありました。これらは主に①にあたる内容で、自分にとって大きな学びがありました。すぐに業務に直結する話ではないかもしれませんが、ガバメントクラウドの方向性は政治判断などで変化する可能性があるため、リスクとして把握しておくべきだと感じました。こうした現場の最前線で実際にガバメントクラウド導入に携わっている方々から話を聞ける機会は非常に貴重であり、とても有意義な時間でした。
LTで発表した内容
他の方のLTからは、内容・切り口・プレゼン方法など多くの学びがありました。私自身のLTでは、「社内での標準化勉強会の実施」について発表しました。前回参加した「標どう静岡」をきっかけに、社内で標準化に関する勉強会を始めたという取り組みです。この活動は、上記③の知識補完にもつながるものと考えています。詳細は下記の記事にもまとめています。
アンカンファレンスで議論した内容
「人材育成」をテーマに、参加者と議論を行いました。どの組織でも中心となる人が意欲的に取り組んでいますが、自治体のように人事異動が頻繁に発生する現場では、担当者が変わるたびに知識の引き継ぎが課題になります。自治体側、ベンダー側ともに標準化を継続的に推進できる人を増やしていく必要性はあります。明確な解決策はありませんが、参加者からは「やる気のある人を募って巻き込む」という意見をいただきました。
- 「システムを理解して、自分の業務を楽にしたい」
- 「システムが好きだからやってみたい」
もしかしたら、こうしたモチベーションを持つ人たちが、まだ表に出ていないだけで社内にいるかもしれません。私自身も、AWSに触れる楽しさをもっと社内に広めたいと考えています。一方で、「AWSができるようになった人が、もっとモダンな分野に移ってしまい、公共領域に留まりにくいのでは」という意見もあります。だからこそ、公共ITの面白さを伝える活動も重要であると感じています。最近ガバメントクラウド関連では明るい話題は少ないですが、「標どう塾」「Gov-JAWS」「自治体クラウド勉強会」などといった公共分野の勉強会の取り組みは、非常に良い取り組みであると感じています。
実際に顔をあわせて、貴重な話が聞けたり、現場レベルの悩み相談などが出来る機会は多くはありません。標どう塾を企画してくださった方、運営の方、発表で話を聞かしていただいているから、飲み会などで色々お話をさせていただく方には非常に感謝しております。
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