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職場でニックネームを使っていいのか?【上司が使う場合は要注意】


あなたの職場では、あだ名またはニックネームが使われているでしょうか?

「山本さん」などではなく、「たっくん」や「ちーちゃん」といった呼び方、または本人の特徴や性格から名付けられる場合もあるでしょう。

この「ニックネーム文化」について、カナダのウェスタンオンタリオ大学(UWO)のIvey Business Schoolに所属するジェ・チャン氏が興味深い研究を行いました。

その研究とは、職場におけるニックネームの使用が、部下や上司の感じる心理的安全性(自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態)や権力、そして尊敬にどのように影響するのかを調べたものです。

この調査は2025年5月5日にUWOのニュース記事として発表されました。

目次

  • 職場でのニックネームの影響を調べた研究
  • 「上司が部下にニックネームを使うと危険」だと判明
  • 職場でニックネームを使う際の注意点

職場でのニックネームの影響を調べた研究

職場では、役職や責任に応じて人間関係の距離感が変わることがよくあります。

その中で、ニックネームの使用は親しみやチームの一体感を生む行動として捉えられることがあります。

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職場でのニックネームを使うとどうなる? / Credit:Canva

しかし、こうした親しみが必ずしも良い影響を与えるとは限りません。

上司が部下にあだ名をつけた場合、その呼ばれ方を部下は本当に歓迎しているのでしょうか。

この疑問に答えるため、Zhang氏らは1100人以上の米国在住の成人を対象に複数の実験を行いました。

参加者は、「上司が部下にニックネームをつける場合」、あるいは「部下が上司にニックネームを使う場合」という2つの状況が提示されました。

彼らは、それぞれの状況において自分がどれほど尊重されていると感じるか、権力を感じるか、意見を安心して述べられるか(心理的安全性)について評価しました。

また、階層的な組織とフラットな組織という文化の違いを取り入れた条件設定も加えられ、文化がニックネームの影響をどう左右するかも検証されました。

ジャン氏の目的は、「ニックネームで呼ぶ」という些細に思えるかもしれない行動が、職場の人間関係や権力構造にどのような影響を及ぼすのかを科学的に明らかにすることにありました。

「上司が部下にニックネームを使うと危険」だと判明

この研究で明らかになったのは、上司が部下にニックネームをつけると、部下が心理的安全性を低く感じる傾向があるということです。

多くの被験者がこのような状況において、上司が自分のアイデンティティを勝手に定義しようとしていると感じたのです。

例えば、田中さんという部下が急に「あだ名」で呼ばれた場合、その人が違和感を持つのは自然なことかもしれません。

ニックネームは名付けという行為でもあり、それを一方的に与えられると、上下関係の強調や軽視と受け取られる恐れがあるのです。

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上司が部下をニックネームで呼ぶと、上下関係が強調され、部下は「軽視されている」と感じやすい / Credit:Canva

反対に、部下が上司に対してニックネームを使う場合には、心理的安全性や尊重感が高まる傾向が見られました。

これは、上司が部下の声を受け入れる姿勢を示していると解釈されるためであり、部下にとっても安心して発言できる空気が生まれやすくなります。

また興味深いことに、こうしたニックネームの影響は組織文化のあり方によって大きく左右されました。

上下関係が厳しい階層的な職場ではニックネームの影響が強く、特に上司から部下への呼び方がネガティブに受け止められる傾向が顕著でした。

一方で、フラットで対話を重視する組織では、ニックネームの使用がそれほど問題にならず、かえって信頼や親しみを育む材料として働いていたのです。

つまり、ニックネームの効果は一様ではなく、それが交わされる場の文化的背景によって大きく異なるということが明らかになったのです。

では、職場の上司は、ニックネームを用いる際、どんな点を注意すべきでしょうか。

職場でニックネームを使う際の注意点

ジャン氏は、職場でニックネームを使用する際に注意すべき点をいくつか挙げています。

まず大切なのは、組織内でニックネームに関する明確なルールや方針を設けることです。

このようなガイドラインがあれば、従業員の間に共通の認識が生まれ、不必要な誤解や摩擦を避けることができます。

また、ニックネームの扱い方は、職場の文化に応じて調整することが必要です。

階層的な職場では慎重であるべきです。

フラットな職場では比較的自由に使われても問題ない場合がありますが、リーダーが自分の言動の影響力を理解しておくことが重要です。

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職場でニックネームが使用されているなら、定期的に、「相手がどう感じているか」チェックすべき / Credit:Canva

そして、他人がニックネームを好むと勝手に決めつけるのは避けるべきです。

仮定に基づいて呼び方を決めてしまうと、思わぬ反感や緊張を生んでしまう可能性があります。

もっとも効果的でシンプルな方法は、相手に直接聞くことです。

ニックネームで呼ばれることをどう感じているか確認するだけで、相手が尊重されていると感じる確率はぐっと高まります。

私たちも、この研究の結果を日々の職場に活かすことができます。

たとえば、新人が入ってきたとき、ニックネームで呼ぶ前に慎重であってください。

また定期的に相手の気持ちを確認することで、その人にとっての職場環境が格段に快適になるかもしれません。

ニックネームは、人との距離を縮める便利な道具にもなりますが、逆に誤解を生むリスクもあります。

だからこそ、その使い方には、やさしさと配慮が欠かせないのです。

それでは、あなたは明日、職場で誰をどう呼びますか?

呼び方一つが、人との関係を変える第一歩になるかもしれません。

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参考文献

Ivey prof probes power and peril of office nicknames
https://news.westernu.ca/2025/05/office-nicknames/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

フラッグシティパートナーズ海外不動産投資セミナー 【DMM FX】入金

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