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概要
この記事は、ギタリストにとって重要なエフェクトである「コンプレッサー」についての解説を中心に、コンプレッションが音楽制作や演奏に与える影響について説明しています。さらに、特にトランジスタアンプやチューブアンプの特性に触れ、なぜギタリストがそれらに対して異なる感じ方をするのかを探討しています。
要約
- コンプレッションの基本: コンプレッションは音量が大きくなったときのみ自動的に音量を下げる効果。
- コンプレッサーの用途: さまざまな楽器や音声の録音で広く使用される。
- ギタリストとコンプレッション: ギタリストは、アンプの設定でコンプレッションを体感している。
- クリーンからオーバードライブ: アンプが一定のポイントを超えて「無理をし始める」とコンプレッションが作用。
- チューブアンプ vs. トランジスタアンプ: チューブアンプはグラデーション的なコンプレッションを得やすく、トランジスタアンプは素直な出力が特徴。
- コンプレッションと演奏の関係: コンプレッションを使うことで音のニュアンスが失われるという考えもあるが、適切に使えば良い効果を生む。
- ライブ告知: 記事の最後にライブ活動の告知がされている。
やあやあ読者諸賢、お元気?ハウリンメガネであります。
今回は火曜コラム「今週のハウリンメガネ」で触れた通り、ギターにまつわるエトセトラのひとつ。コンプレッションのお話を一丁。
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コンプレッション。
ギタリストに限らず、音楽をやっていると必ず一度は耳にしたことがおありでしょう。
コンプレッションとはなんぞや、とやりだすと、やれレシオがどうだ、スレッショルドがどうだ、スピードだニーだ、と分からん人には呪文かなにかと間違えられそうな言葉が並びがちだが、思い切りシンプルに言うと、デカい音が鳴った時だけ自動的に音量が下がる効果のことであります(うるさいやつの口を塞ぐようなものといえば伝わりますでしょうか)。
この効果に特化した機材がコンプレッサーであり、実際にはただ音量を下げるのではなく、信号を圧縮することで独特のパンチや音色が得られるため、ギターに限らず、ドラム、ボーカル、鍵盤、ホーン、その他諸々、音楽あるところコンプあり、というぐらいにあらゆる現場で使われております(なんなら音楽に限らず、ラジオやナレーション録音のように音声を扱う現場であれば音量を整えるために必ず使われている機材なのであります)。
で、このコンプレッション。
先述の通り、これに特化したコンプレッサーという機材はあるのだけれど、我々ギタリストはコンプレッサーを通さずとも体感しているのです。
ギターアンプ(特にチューブアンプ)のボリューム、ゲインを上げていくと、ある一定のポイントからは音量はあまり上がらず、歪みが濃くなっていくポイントがありますが、あれ、コンプレッション効果が発生しているのです。
アンプ(増幅回路)が目一杯働き、
「もう無理っす!これ以上音量上がらないっす!」
と言いだしたところからコンプレッションは発生する。
その状態から更に音量を上げると、
「えっ、まだ音量上げようとするんですか!分かりましたよ!やれるだけやりますよ!」
と、アンプは無理をし始めるのだけど、もう目一杯働いているので、最大音量は上げられない(なので、音量は頭打ちになる)のだが、小さな信号は持ち上がるので全体的な音圧は上がっていく(これがコンプレッション)。
で、そこから更に上げようとすると、「だからもう無理だっつってんでしょうがー!もうまともに音量上げられませんからー!」と悲鳴を上げた状態が歪み。つまりオーバードライブ(=過負荷)であります(この時、コンプレッションも当然発生しています)。
細かく行きましょう。
まず「もう無理っす!音量上がらないっす!」といい始めたところまでのクリーントーン。
この段階まではアンプは上限ギリギリに届いていないので、小さな入力は小さく、大きな入力は大きく出力する(この段階ではソフトなピッキングは小さく、強いピッキングは大きく出力され、ギター側のボリュームを上げ下げするとシンプルに音量も上がり下がりする)。
次の「これ以上は上がらないっすよ!やれるだけやりますけど!」といって無理をしだした辺りからがコンプレッションの効いたクリーンからクリーンなクランチの範囲。
上限ギリギリではあるものの、余力があるので大きな入力は上限で頭打ち(圧縮)され、小さな入力は持ち上げられるので、大入力と小入力の音量差が縮まり始める(なので、トリルやタッピングのような小さな音でも目立って聴こえるし、手元のボリュームの上げ下げやピッキングのタッチで歪みからクリーンまでをコントロールしやすい)。
最後の「もう無理!もうまともに音量上げられません!」と言いだしてからのオーバードライブ領域は大入力でも小入力でもアウトプットとしては大出力で一定(コンプレッションが強く利いている状態)。大きな入力は強い歪み、小さな入力は軽い歪みとして出力される(なので、手元のボリュームを下げても音量ではなく歪みの濃淡として表れる。勿論度合い次第でクリーン領域まで落とせるが)。
このように、ギターアンプのゲイン、ボリューム設定を弄っている段階でギタリストはコンプレッション効果と常に接しておるのですね。
よく「ジャズコ(トランジスタ)は使いづらい」とか「やっぱりチューブだよ」という話になりがちなギタリスト界隈ですが、要はこのコンプレッションの効き方が肝なのではないかと思うのです。
チューブアンプの場合、真空管の特性でコンプレッションの効き方がグラデーション的というか、ゲインとボリュームの調整でちょうどいいコンプレッションを得やすい(まあ、それでもいい具合のコンプレッションを得ようとすると音量は上がりがちだが)。
が、トランジスタアンプ……というかジャズコの場合、このコンプレッションが効かない。大入力は大音量、小入力は小音量で素直にアウトプットされるため、弾きづらく感じることが多いのではなかろうか(というか、ジャズコはこの素直なアウトプットを求めて開発された節があるので、ジャズコにコンプレッションを求めるのは筋違いな気もする。いいアンプですよ?ついでに言えばトランジスタでもいい具合にコンプレッションの効くアンプもちゃんとあります。私や編集長が使っているヒュースアンドケトナーのメトロヴァーブとかね。個人的にもひとつ付け加えるとVOXのパスファインダー10のクリーンチャンネルはあの家庭用サイズとお値段でかなりいい線のコンプレッションが効く名機だと思います)。
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コンプを使うとヘタになるとか、ピッキングのニュアンスが消えるという言説をよく耳にするけれど、このようにギタリストとコンプレッションは切っても切り離せない関係であり、要は程度問題と理解の問題。
誤魔化しのためのコンプレッションではなく、いい音を出すためのコンプレッションについて考えてみると、自ずと理解も深まるのではないでしょうか……とコンプレッションについて考え込んで今日も夜が更けていくハウリンメガネなのでありました。
では今回はこんなところでお開き!また火曜!
……と、本来土曜版であればここで終わりなのだが、明日、急にライブが入ったのでそちらの宣伝を!私もお初の場所なのでやや緊張!
【日時】2025年6月8日(日)OPEN16:30/START17:00【会場】
With(豊中市服部本町1丁目8-5)
【チャージ】¥1,000(別途ドリンク)【出演】17:00-17:30 いっしょうびん17:40-18:10 バタやん18:20-18:50 ハウリンメガネ19:00-19:30 J&M19:40-20:10 ペニー20:20-20:50 たいさ
21:00-21:30 ウィズウインド
詳しくは上記ホームページを!
ではまた火曜!
副編集長『ハウリンメガネ』筆 (P)2025
編集長『MASH』が経営するギター専門店『Jerry’s Guitar』公式サイトはコチラ
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