水曜日, 6月 4, 2025
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"継承"で蘇った FIREHOUSE: メタルはこうして続いていく…夏目進平

🧠 概要:

概要

この記事は、メタルバンドFIREHOUSEのボーカリストC.J.スネアの急逝と、その影響を受けたバンドの存続について述べています。新たなボーカリストとしてネイト・ペックが加入したことで、FIREHOUSEは「継承」という形で音楽を継続していく決意を示しています。また、C.J.スネアの思い出や彼の音楽が持つ影響力にも触れています。

要約(箇条書き)

  • FIREHOUSEのC.J.スネアが急逝し、大きな喪失感をもたらす。
  • C.J.の音楽的影響や彼が残した遺産について描写。
  • 新ボーカリストのネイト・ペックが加入し、バンドの存続を支える。
  • 「継承」というテーマで、メタルがどのように発展していくかを探求。
  • 新曲「Mighty Fine Lady」を発表し、バンドの未来を模索中。
  • C.J.の思い出や彼の教えが、ネイトに引き継がれていることを強調。
  • メタルが持つ潜在的な回復力や逆境を克服する力に期待。

"継承"で蘇った FIREHOUSE: メタルはこうして続いていく…夏目進平

もし、ゲルググという名のジムが現れたら?ガンダムという名のエヴァンゲリオンがビームを照射したら?キシリアという名の優しいおねいさんがアップルパイをふるまってくれたとしたら?シャアという名の目隠れ令和イケメンが登場したら?

僕たちは間違いなくそこに “違和感” を感じるはずだ。

しかし、メタルは往々にしてそうした異変が起こり得る世界だ。その大半は脱退からの新加入。メタル・バンドはだいたい揉める。必ず音楽性の違いという名の殺し合いが発生する。まさにここはザンスカール帝国。地獄のローラー作戦。そうして僕たちは、ブレイズ・ベイリーの人生に刻の涙を見る。よくゼクノヴァ使わなかったな…

とはいえ、避けられないメンバー交代もある。それは、”死” によって起こるメンバー交代だ。

以前にも書いたと思うけど、僕らのメタル・ヒーローたちはみんなもう還暦を過ぎているか、還暦間近だ。それはそうだろう。メタルが生まれて55年。80年代や90年代に僕ら (シャリア・ブル世代) が目を輝かせて見つめていた英雄たちは、おそらくは僕らよりも先に旅立ってしまうんだよ。

だから、ある程度の心の準備はしているはずだった…だったけど、それでもエディ・ヴァン・ヘイレンやニール・パートのような巨人の逝去には、やっぱり言葉にできないほどの巨大な喪失感が襲ってくる。ブラックホールのような虚無と戦わなければならなくなる。そしてつい最近、また僕はそうした巨大な喪失感や虚無感を味わうことになってしまった。FIREHOUSE のボーカリスト、C.J. スネアの急逝だ。

C.J. スネアは決して、エディやニールほど多くの人に親しまれていたわけじゃない。でも、僕にとってC.J. は彼らと同じくらい大きな存在で、C.J. の死は本当に大きな喪失感をもたらしたんだ…

僕が最初に C.J. の歌声を聴いたのは、図書館で借りた彼らのファースト・アルバムだった。色んな人の手に渡ってボロボロになった CD から紡ぎ出されたのは、あまりにも瑞々しい、メロディとフック、そしてテクニックが燃え盛るどストライクなハードロックだった。”All She Wrote”, “Overnight Sensation”…すぐに夢中になったよ。でも、それ以上に僕の心を動かし、溶かしたのは “Good Acoustics” という一枚のアンプラグド・アルバムだった。

「君の隣、この場所に天国を見つけたんだ。僕を信じてくれ。僕は永遠に君を信じるから…
(礼拝みたいに) 日曜日だけじゃなく、毎日君を愛するよ。だって君が永遠に僕を救ってくれたから。毎晩ひざまづいて君のために祈りを捧げるね。父と子の御名において…君は僕の宗教なんだ」

これほどハードロック、メタルって甘くなれるのか…ポジティブになれるのか…ハーモニーの海に溺れられるのか…FIREHOUSE のこのアルバムほど、当時流行っていたアンプラグドの意味を示した作品はなかっただろうな…(ALICE IN CHAINS のも大好きだけど)。”You Are My Religion”。文字通り、この曲を僕は信奉し、C.J.スネアの優しい歌声を信仰するようになった。

だから、C.J. の逝去は僕にとって、ある意味宗教の崩壊だったんだよね…

「亡くなる2年半ほど前、C.J.は元気だった。その後、彼は胃痛を起こしたんだ。僕たちはミルウォーキーでギグをやっていた。僕が “Love Of A Lifetime” のイントロか何かを始めるときに、C.J. は僕のところに歩いてきて、”こんなに気分が悪いのは初めてだ” って言ったんだ。それで僕は “ちょっと休憩する?” って聞いたら、彼は “いや、何とかなる” って…彼には “Show Must Go On” いう意識があったからね。C.J.はタフな男だった。それでショーを終えて、僕は病院に行くことを勧めたんだけど、彼は “ああ、たぶん治るよ” って取り合わなくてね。それが何なのかは分からなかった。でも、全然良くならなかったから、少し休みがあって C.J. は医者に行ったんだ。実際には ICU に行ったんだけどね。すると、”腸閉塞ですね、取り除きましょう” と言われた。手術で腸閉塞を取り除くと、2週間後にはまた歌えるようになった。でも、生検の検査結果がまったく良くなかった。それが最初の摘出手術だった。彼は12時間の大手術を受け、そして6週間で歌えるようになった。長さ10センチほどの傷跡があって……それほどタフな男だったんだ。それから2年ほどは順調だったんだけど、また病気になったんだ。それで3度目の手術を受けた。ちょうどその頃、ロビー・ロッチナー(Jack Russell’s Great White) が、”君たちはたくさんのショーを抱えているから、C.J. 不在の間代役が必要だろう。ネイト・ペックをチェックしてみてくれ” と言うんだ。僕は彼のことを知らなかった。”アメリカン・アイドル” は見ないしね。見るべきじゃない。でもネイトのインスタグラムをチェックしたら、彼が歌う歴代の偉大なシンガーの曲がたくさんあった。そして、彼はそれを見事に歌い上げるんだ。しかもライブで歌っている。彼はカメラを持っていて、マイクに向かって歌っているんだ。それで彼に電話して、”やあ、僕は FIREHOUSE のビルだ。今度、いくつかショーがあるんだ。C.J.の代役をやってくれないか?C.J.は7月頃に復帰するはずなんだ” って伝えた。彼は “ああ、ぜひやりたい” と言ってくれた。それで、曲目リストを送った。”僕たちの曲を知ってる?” って聞いたら、”Love Of A Lifetime は聴いたことがあるけど、他はどの曲も知らない” って言うんだ。で、”じゃあ、曲を送るよ。練習とかして準備しといて” って言ったんだ」

「ネイトとのリハーサルはなかった。 ニューイングランド・ロック・フェスティバルの当日に長いサウンドチェックをしたんだ。 彼はすごく緊張していたけど、見事にやり遂げたんだ。C.J.にそのビデオを送って、電話で話したよ。 C.J. は “ビル、最高じゃないか!” って言ってくれた。そうして、C.J.は7月に復帰する予定だった。でも、C.J.はかなり痩せていた。 本当に弱っていた。それで僕たちは、”準備ができたら出てくればいい。ネイトもいる。そして出てきて、最初の1、2曲を歌い、”やあ” と言ってネイトを紹介し、2、3曲一緒に歌うんだ。 一休みして、また出てきて、アンコールでも何でも、君がやれると思うことをやればいい” って話したよ。でも残念なことに、C.J. は突然心停止してしまった…前日に彼と話したんだけど彼は “調子は良さそうだ。 体重も増えている。 調子は上向きだ” って言っていたのにね…そして翌日、彼は亡くなった….彼の家族から電話をもらったのを覚えている。 僕たちはテキサスにいて、連絡を取り合っていた。 “みんな、こっちに来てくれ” って言ったよ。C.J.が昨夜亡くなったことをみんなに伝えてね…僕たちは空港でただ座っていた…。 残酷だった。 本当に…残酷だった」

FIREHOUSE のギターヒーロー、ビル・リヴァティの最近のインタビューだ。C.J. の最期の日々を直視できないほど生々しく、正直に、悲しみを押し殺して語っているね。いや…悲しみはそれでもダダ漏れだけれども…でも、C.J.、そして FIREHOUSE クルーのプロ意識、人柄、優しさがとても率直に伝わってくるよね…神様なんていないんじゃないか…そう思えるほどに意志半ばで…本当に残酷だよ…もの凄い喪失感だよ…

でも、FIREHOUSE は諦めなかった。だって、メタルには回復力があるんだから。孤独や喪失を癒す、逆境を翻す天性の反発力が備わっているんだから。

「C.J. は、僕たちに決してショーをキャンセルしてほしくなかったんだ。彼が病気になってからも、ショウをキャンセルしてほしくなかった。ネイトを迎えてからは特にね。ネイトを捕まえたら、”よし、あいつはFIREHOUSE のサウンドが出せる。だから、あいつとやるべきだよ!” って感じでね。C.J.とネイトはずっと話していた。ほとんど毎日話していたよ。C.J.は彼にたくさんのアドバイスをしたんだ。歌や、そして人生についてもね。彼がネイトによく言っていたことのひとつは、”君はマラソンを走っているんだ。だからそれを肝に銘じておけ。最初の曲でいきなり声を爆発させるようなことはするな、自分をコントロールして、少し抑えて、自分を大事にするんだ” ってこと。ネイトは彼のアドバイスによく従っているよ」

ジークアクスは “パラレルワールド” (たぶん) という力技でキャラ変の “違和感” を払拭した。FIREHOUSE は “継承” という、考え得る最高のやり方で、メタルが歩んでいくべきモデル・ケースを提示しながら、メンバー・チェンジの “違和感” を払拭したんだよね。

だってそうでしょ?長年バンドを守ってきた、バンドの “顔” が付きっきりで教え、鍛え、そしてお墨付きでバトンを受け渡す。これ以上円滑に、僕らの愛するメタル・バンドが幾久しく続いていく道があるだろうか?

実際、アメアイで活躍したネイトの実力は本物だよ。ライブ動画がたくさん上がっているけど、目を瞑れば C.J. がそこにいるような錯覚を引き起こすくらい違和感がないし、歌が上手い。FIREHOUSE のポジティブなオーラ、優しい雰囲気を見事に継承している。そして何より、まだ24歳だからめちゃくちゃパワフルで、溌剌としている。まるで、1990年が再び巡って来たような感覚。

そうして、FIREHOUSE は遂に、2003年の “Prime Time” 以来の新曲を発表した。”Mighty Fine Lady”。ネイトとビルが一緒に書いたこの曲は、彼らのオフィシャル・サイトからダウンロード購入でのみ聴くことができる。聴けばみんなが、”FIREHOUSE が戻ってきた!!” とオーバーナイト・センセーションを引き起こすこと請け合いの “らしい” 楽曲。何年待たせるんだ?!って話だけど、たぶんネイトが入ったことで、また前向きの推進力を得られたんじゃないかなって僕は思ってるよ。そしてそれは、C.J. も心から望んでいたこと…

「次も曲を作ってアルバムを作るかって?そうしたいね。そうしたいし、そうするつもりだ。次の作品を考えて、それを発表する。それが完成するまで、リリースはしない。少し時間がかかるかもしれないけどね。”Mighty Fine Lady” は firehousemusic.com で入手できる。今のところ、ストリーミングにはアップしていないんだ。いずれ配信されるだろう。でも今は、バンドを直接応援してくれれば、中間業者がたくさん入ってこない。僕らにとってはその方がいいんだ」

でも2023年のライブ動画の C.J. 、もう結構病気が進んでいたはずなのに相当声出てるんだよねぇ…やっぱり素晴らしいシンガーだったし、去り際もまた実に優しく、美しかったよね…大きな遺産を残してくれて、音楽を “継承” してくれて本当にありがとう…



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