土曜日, 5月 10, 2025
No menu items!
ホームニュースカルチャーニュース絵文字を頻繁に使う人にはいくつか悲しい特徴があった

絵文字を頻繁に使う人にはいくつか悲しい特徴があった


LINEやSNSのメッセージで、いつもカラフルな絵文字を欠かさない人、あなたの周りにもいませんか?

実はそうした「絵文字多用派」の人々には、ある共通した性格上の特徴が見られるかもしれません。

アメリカのオクラホマ州立大学(OSU)で行われた研究によって、SNS投稿で絵文字をたくさん使う人ほど、否定語が多く語彙が少なく抽象的な話題が少なく、新しい経験や物事への開放性が低い傾向があることが示されました。

絵文字の賑やかな様子から外交的な人が多用すると思われていましたが、最も関連性が強かったのは開放性の低さでした。

なぜ絵文字を多用する人はこのような特性があるのでしょうか?

研究内容の詳細は『Frontiers in Psychology』にて発表されました。

目次

  • 絵文字で心を語る時代
  • 絵文字が暴くあなたの内面
  • 絵文字は言葉の省エネ──保守派のコミュ術?

絵文字で心を語る時代

絵文字で語る時代
絵文字で語る時代 / Credit:Canva

スマートフォンやパソコンでのやりとりにおいて、絵文字は今や欠かせない存在です。

文章だけでは伝わりにくいニュアンスも、笑顔や涙の絵文字一つ添えるだけでガラリと変わることがあります。

まるでデジタル時代の「表情」や「身振り」のように、絵文字はテキストコミュニケーションに温度感や感情を加えてくれる「感情の句読点」とも言えるでしょう。

実際、日常的に多くの人がチャットやSNS投稿で絵文字を活用しています。

では、その絵文字の使い方には人それぞれ“クセ”があるものですが、そこに性格の違いは表れるのでしょうか?

心理学の分野では、文章表現や言葉の選び方にその人の性格が反映されることが以前から知られています。

たとえばSNS投稿で使われる語彙を分析すると、投稿者の外向性や内向性などパーソナリティの傾向をある程度予測できるという研究もあります。

ところが、絵文字の使用傾向と性格特性との関係については、まだ十分に調べられていませんでした。

絵文字は文字情報ではありませんが、コミュニケーション手段の一部です。

そこで米国の研究チームは、「私たちがコミュニケーション中に絵文字をどう使うかは、その人自身の性格的な特徴と関係しているかもしれない」と考えました。

つまり、絵文字の使い方の違いから投稿者のパーソナリティを読み取れるのではないかという着想です。

この仮説を検証するため、研究者たちはSNS上での絵文字使用頻度と性格5因子(いわゆるビッグファイブ:外向性、協調性、誠実性、開放性、神経症傾向)との関連を詳しく調べることにしました。

絵文字が暴くあなたの内面

研究はアメリカの大学生を中心とした2つのグループで行われ、それぞれ76名と245名の参加者が集められました。

(全体で約300名規模)。

まず参加者には性格特性を測る質問紙に回答してもらい、ビッグファイブ(加えて6因子モデルの誠実さ・謙虚さ要素も検討)における各自のスコアを取得しました。

次に参加者たちには、日頃利用しているSNSアカウント(X/旧Twitter)の投稿データの提供に協力してもらいました。

研究チームは提供された各参加者のSNS投稿を分析し、どれくらい絵文字を使っているか、そして何種類の絵文字を使っているかをプログラムでカウントしました。

さらに投稿の本文についてもテキストマイニングを行い、どのような単語が多く使われているか(例:感情表現に関する単語、分析的な語句の頻度など)を、心理言語学的な分析ツールLIWCを用いて分類・集計しました。

こうして集めたデータを性格検査の結果と照合したところ、絵文字を投稿に頻繁に使用する人ほど、開放性のスコアが低いことが明らかになりました。

研究チームは論文の中で「自己申告で開放性が低い人ほど、最も多くの絵文字を使っていました」と述べています。

開放性とは何か?

開放性とは性格特性の一つで、新しい経験や抽象的なアイデア、美的刺激への興味関心を示す指標です。
スコアが高い人は好奇心旺盛で創造的、芸術や多文化にも寛容な傾向があります。
逆に低い人は慣れ親しんだ環境や具体的な情報を好み、伝統や秩序を重んじやすいとされます。

この関連は、投稿者の性別要因を考慮した上でも有意に認められています。

また興味深いことに、一般に女性の方が男性より絵文字を多用する傾向があり(本研究でも女性参加者のほうが平均して絵文字使用量が多く、先行研究と一致する結果でした)、性別も絵文字使用頻度に影響していました。

しかしそれを差し引いても、開放性の低さが絵文字多用と結びついていたのです。

一方、ビッグファイブのその他の性格(外向的かどうか、協調性が高いかなど)については、絵文字使用量との間にはっきりした関連は見られませんでした。

外向的な人ほど絵文字で表現豊かかもしれない…といった直感的な予想も外れた形ですが、この点も興味深い発見です。

つまり、こと絵文字の使用頻度に関しては、「開放性」の高低だけが顕著に現れるもののようなのです。

開放性の低い人はどんな特徴があるのか?

開放性の低い人はどんな特徴があるのか?
開放性の低い人はどんな特徴があるのか? / Credit:Canva

開放性が低い人の特徴はこれまでの研究によってかなり詳しく調べられています。

・知的な側面でわずかなハンディを背負っていることが多いようです。メタ解析によると、ビッグファイブの中で知能(IQ)ともっとも強く結び付くのが開放性で、その相関はおおむね0.20〜0.30程度と報告されています。つまり好奇心旺盛な人ほど平均してIQも高く、反対に開放性が低い人は知能テストの得点もやや控えめになる傾向があるのです。

創造性でも似た図式が見られます。発散的思考テストや芸術的達成に関するレビューでは、開放性と創造性の相関が0.40から0.70とかなり大きく、高開放性の人ほどアイデアが豊富で芸術的職業に就きやすいことが示されています。したがって開放性が低い人は、未知の概念を組み合わせるような「ひらめき型」の課題が少し苦手になりがちです。

メンタルヘルスとの関係は拍子抜けするほど弱く、一貫性もありません。外来患者を対象にした研究では開放性とうつ症状の間に有意な関連が見つかったものの、その寄与はごく小さく、他の性格因子や環境要因を加味すると独立した影響はほとんど消えてしまいます。縦断研究でも「開放性が低いほうが心の病に強い/弱い」という明確な結論は出ていません。

収入面を見ても、開放性の影響は驚くほど控えめです。年収と正の相関があること自体はメタ解析で確認されていますが、標準化係数は0.05前後とごく小さく、外向性や誠実性ほど強い効果はありません。言い換えれば、低開放性だから大幅に稼ぎにくいというより、好奇心旺盛な人が斬新なアイデア産業で少しだけ優位に立つ、というレベルにとどまります。

結婚や離婚との関連も微弱です。夫婦満足度を扱ったレビューでは、満足度を大きく決めるのは神経症傾向や誠実性であり、開放性はほぼ無関係という結果が繰り返し得られています

政治的・社会的価値観では開放性が保守主義と最も強い負相関(約−0.18)を示すことを突き止めました。開放性が低いほど伝統と秩序を重視し、多文化や急進的改革には慎重な姿勢をとりやすいという傾向は、世界的にかなり再現性が高いようです。

(※開放性の低さとこれらの要素は相関関係にありますが、開放性の低さと直接的な因果関係があるかまでは断言されていません。)

では、絵文字多用派と控えめ派では、文章の内容にも何か違いがあるのでしょうか?

研究チームは投稿内の単語の使われ方についても分析結果を報告しています。

その結果、絵文字を頻繁に使う人の投稿ほど、「家族」や「うれしい・悲しい」といった感情表現に関する言葉を多く含み、逆に分析的・抽象的な内容に関連する単語(例えば英語の冠詞の “the” や “a” に相当する言葉、物事の「洞察」に関する言葉など)が少ない傾向が見られました。

言い換えると、絵文字を多用する投稿ほど、人間関係や感情に焦点が当たり、抽象的な話題は少ないようなのです。

さらに2回目の大規模サンプルでは、絵文字を多く使う人ほど「あなた」「私」といった代名詞や、「no」「not(〜ない)」など否定を表す表現、過去・未来といった時間に関する言及が多い一方で、使用している語彙の種類(辞書語彙の豊かさ)が少ない傾向も確認されました。

興味深いのは、絵文字多用派はテキスト上で豊かな感情表現をしているようでいて、実は文章そのものの語彙はシンプルになる傾向がうかがえる点です。

これは「文章の一部を絵文字で置き換えている」ことを示唆しているのかもしれません。

絵文字が単なる飾りではなく言葉の代わりとして機能し始めていることを物語る結果とも言えるでしょう。

絵文字は言葉の省エネ──保守派のコミュ術?

絵文字は言葉の省エネ──保守派のコミュ術?
絵文字は言葉の省エネ──保守派のコミュ術? / Credit:Canva

この研究から、「絵文字の多用」と「開放性の低さ(新しいものより慣れ親しんだものを好む傾向)」との関連が示されました。

ではなぜこうした傾向が生まれるのでしょうか?

筆者らは明確な因果関係までは断定していませんが、いくつか考えられる理由や示唆を述べています。

まず考えられるのは、絵文字という表現手段自体の性質です。

絵文字は直感的で分かりやすく、世界共通で通じやすい「具体的」なシンボルです。

高い想像力や抽象的な表現力を駆使しなくても、ニコニコマーク一つで「嬉しい気持ち」を手軽に伝えることができます。

新しい言葉をひねり出さなくても既存のアイコンから選ぶだけなので、ある意味「手堅い」コミュニケーションとも言えます。

こうした特徴から、普段から新奇な表現よりもお馴染みのやり方を好む人(開放性の低い人)は、文章を書く際にも絵文字という安定したツールに頼りがちなのではないか――そんな仮説が考えられます。

逆に開放性が高い人は、文章だけでユーモアを表現したり独自の言い回しを工夫したりする傾向があり、絵文字にあまり頼らないのかもしれません。

実際、本研究とは別に「開放性が高い人ほど長めの単語や専門的な語彙を使う」といった報告もあります。

絵文字多用派は語彙の豊かさがやや低い傾向があったという今回の結果とも照らし合わせると、開放性の高低で言語スタイルが異なる可能性が考えられます。

もう一つ、絵文字の役割についての示唆も興味深い点です。

絵文字というと一見、喜怒哀楽を直接表す感情そのもののように思われます。

しかし研究チームによれば、絵文字多用派の投稿から見られた感情表現の傾向はごく控えめで、必ずしも絵文字はストレートに感情を伝えているわけではないとのことです。

では人々は絵文字を何のために使っているのか?

その答えの一端として、著者らは「ネガティブな内容を和らげるために絵文字を使っている可能性がある」と述べています。

例えば「あなたとはもう二度と一緒に行かないからね(ニッコリ)」といった具合に、本来きつく聞こえる否定的なセリフでも、後ろに冗談めかした絵文字を付け足すことでトゲを抜く効果が期待できます。

確かに、絵文字には文章のトーンを調整する「緩衝材」のような役割があると日々実感するところではないでしょうか。

研究では絵文字をよく使う人は否定表現も多い傾向があり、さらに絵文字多用派は開放性が低いことがわかりました。

そのため否定的な言い回しに絵文字を添えて柔らかく伝える――このようなコミュニケーション術が背景にあるのかもしれません。

本研究は主に英語圏の若者(大学生)のデータに基づいており、文化や年代が異なれば絵文字の使われ方も変わってくる可能性があります。

著者らも「我々のサンプルは女性が多数を占めた。将来的には性別や文化による絵文字使用の違いについても研究が必要だ」と述べ、結果の一般化には慎重さを示しています。

実際、日本語圏では顔文字やスタンプ文化も根付いており、英語の絵文字とはまた違ったコミュニケーション習慣があります。

こうした違いが性格特性との関連に影響するのか、今後さらに研究が進められるでしょう。

では、この研究結果にはどのような意味や活用が考えられるでしょうか。

例えば、人材採用やマーケティングの分野では、SNS上の言動からその人のパーソナリティを推測する試みが行われ始めています。

もし絵文字の使用頻度が一つの性格シグナルとなり得るなら、将来的にAIが応募者の投稿から開放性の高低を推定するといったことも理論上は可能かもしれません。

(もっとも、性格を読み取られることにはプライバシーや倫理の問題も伴いますが…)。

いずれにせよ、本研究はデジタルコミュニケーション上の何気ない振る舞いに、私たちの内面が表れている可能性を示した興味深い一例と言えます。

全ての画像を見る

元論文

Emoji use in social media posts: relationships with personality traits and word usage
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1343022

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

フラッグシティパートナーズ海外不動産投資セミナー 【DMM FX】入金

Source link

Views: 1

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

- Advertisment -

Most Popular

Recent Comments