月曜日, 5月 5, 2025
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細野さんに聞きたい、あの曲この曲(ハマ・オカモト後編) | 細野ゼミ 補講5コマ目 – 音楽ナタリー コラム



細野さんに聞きたい、あの曲この曲(ハマ・オカモト後編) | 細野ゼミ 補講5コマ目 - 音楽ナタリー コラム

「細野ゼミ」ビジュアル

細野ゼミ 補講5コマ目
[バックナンバー]

ユーミン、高橋幸宏、大貫妙子、小坂忠の楽曲で紐解く“細野晴臣のベーシスト脳”


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細野晴臣が生み出してきた作品やリスナー遍歴を通じてそのキャリアを改めて掘り下げるべく、さまざまなジャンルについて探求する「細野ゼミ」。ゼミ生として参加するのは、氏を敬愛してやまない安部勇磨(never young beach)とハマ・オカモト(OKAMOTO’S)という同世代アーティスト2人だ。

補講5コマ目のテーマは「ハマ・オカモトが細野さんに聞きたい、あの曲のこと、この曲のこと」。前編ではYMO「Tong Poo」「TECHNOPOLIS」「Chinese Whispers」の3曲をピックアップしたが、後編ではユーミン「生まれた街で」「返事はいらない」「卒業写真」、高橋幸宏「LA ROSA」、大貫妙子「都会」、小坂忠「ほうろう」、細野のソロ曲「薔薇と野獣」「絹街道」のベースプレイおよびアレンジについて掘り下げていく。ぜひ音源を聴きながら三者のトークを楽しんでほしい。

取材・/ 加藤一陽 題字 / 細野晴臣 イラスト / 死後くん

「すごく細野っぽい」ベースとは?

──今回は、ハマさんが細野さんにベースについて質問する回の後編です。

ハマ・オカモト 細野さんの仕事の中でユーミン(松任谷由実)さんは外せないと思って、いくつか。まずは“荒井由実時代”から「生まれた街で」。アルバム「MISSLIM」の1曲目です。

荒井由実「生まれた街で」

ハマ 冒頭で松任谷正隆さんの鍵盤のフレーズと同じラインでベースが入る。音が入った瞬間に「優勝!」って感じ。

細野晴臣 そんなこと言われると緊張して弾けなくなるよ(笑)。

ハマ このフレーズは僕の手癖になっています。さらに好きなのが、歌が入って最初だけ(曲の20秒あたりのベースを弾きながら)……って弾くんですよ。で、このフレーズはあとは出てこない。

安部勇磨 そのさじ加減、どう考えているのか。

細野 あまり覚えていないけど、勢いでやってるだけだろうね。

ハマ このフレーズ、Fの音にいったときだけ跳ねない。それと、E♭を伸ばすのも好き。その緩急。ずっと跳ねてればいいってもんじゃないというか。ほぼ歌とベースだけの平歌なので、演奏者としては緊張感もある。ではそのまま、次は「返事はいらない」のアルバムバージョンです。

細野 これは覚えてる。自分では一番好きなんだ。ユーミンに初めて頼まれた曲。ムッシュ(かまやつ)のプロデュースで。シングルは今聴いたのとは全然違う、もっとゆったりとしたアレンジだった。それを聴いて「これはMuscle Shoals(※セッショングループのThe Muscle Shoals Rhythm Section)っぽくできる」と思ってこんな感じにしたんだよね。ずいぶんアレンジが変わっちゃったんで、関係者は納得していなかったかもしれない(笑)。

荒井由実「返事はいらない」

ハマ ティン・パン・アレーのプロデュースワークにおけるお手本の1つというか。Aメロの(弾きながら)こういうゴーストノートがすごく効いてますよね。ブラックミュージックなフィーリングが出てる。

細野 そんなふうに弾いていたっけか?

ハマ 弾いてます! 何度も確認しました(笑)。

細野 ティン・パンのピークの頃だよね、これは。林(立夫)くんがThe Staple Singersの曲が大好きだったんだ。バッキングがMuscle Shoalsの。

ハマ そしてユーミンさんの最後は、「卒業写真」です。どうしたらこんなテイクを生み出せるのか僕は死んでもわからないですよ。

荒井由実「卒業写真」

安部 (聴きながら)うわあ……。

ハマ 細野さんの“チャック・レイニー感”がふんだんに盛り込まれているのと、音の間引き方。リズムが出ていると思ったら、ロングトーン1発にしたり、キックに合わせなかったり、ダブルストップ(2本の弦を弾く奏法)したり、全部入ってる。というか、チャック・レイニーを例に出しても仕方がないくらい、すごく細野さんっぽい……のと、信じられないほどの度胸。

細野 度胸(笑)。たぶん、これは3テイクくらい。全員「せーの」で録るし、ダビングとかはしないから。

安部 止め、跳ねのタイミングがすごい。

ハマ サビの裏であんなことできないですよ、心臓5個くらいないと。それに、(鈴木)茂さんも全然弾かないんだから。

細野 そうだね。茂、あんまり弾いてないね。

安部 間を持っている、というか。弾かずにこの色気を出して。リズムも気持ちいいし。僕なんかつい弾いちゃう。

ハマ・オカモト、細野晴臣の前で「薔薇と野獣」完コピする

ハマ そして次は、細野さんの「薔薇と野獣」です。僕、INO Hidefumiさんのライブで、立夫さん、茂さんと一緒にほぼ完コピさせていただいたんです。だから個人的な思い入れも強い。

細野 そのライブ、観たよ。覚えてる。

細野晴臣「薔薇と野獣」

ハマ この最初のフレーズだよ。発明だよ。細野さん、このイントロを思いついたときのこと覚えていらっしゃいますか? フレーズというか、曲のテーマというのかもしれませんが。

細野 レコーディング前に練習したときに、マンタ(松任谷正隆)が鍵盤で「♪トルルルルル」って弾いたんだよね。それに影響されたんだと思う。ベースはそこまで考えていないかな。反射的なものだね。

ハマ (弾きながら)こんな始まり方をする曲はほかにない。

安部 「変な人だな、この人」ってわかるよね。

細野 変な人(笑)。

ハマ さっき話したINOさんのライブはもう10年ほど前ですけど、今考えるとヒドいよね。本番前に「細野さんが観に来るよ」って。逃げ出してもいいわけじゃん? その頃はまだ、細野さんとは2回ほどしかお話ししていないレベルだったの。

安部 うれしいんだけど、すごく緊張するね。

ハマ ライブが終わったあと、細野さんが「完コピだったね」って笑ってくださったのをすごく覚えてる……すべてを懸けての完コピでしたよ。僕が立夫さんや茂さんに指示を出していたもん。「7回ですよ、イントロ」って。そしたら立夫さん、「あっ、そっか」だって(笑)。若さも勝ったよね。だって言えないよ? 本物に向かってさ。というわけで、次も細野さんのソロ作です。「トロピカル・ダンディー」の「絹街道」。この曲は星野源さんの冠番組「おげんさんといっしょ」で、源さんと細野さんがデュエットするときに演奏させていただいて。

細野晴臣「絹街道」

ハマ サビのフレーズ、はっぴいえんどの頃にやっていたようなプレイですよね。細野さんが“バンドマン期”に多用していた、アメリカンなフレーズで。

細野 そうだね。キャラメル・ママの頃だ。この曲、歌い出しの「人外魔境」の歌詞を「じんがいまきょう」って言ってるんだ。でも本当は「にんがいまきょう」なんだよ。若いゆえに知らなくて、あとから気付いた。いまだに嫌なんだよね……ベースの話じゃないんだけど(笑)。

ハマ (笑)。

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大貫妙子「都会」で味わう細野の手癖

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