ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データをもとに、天文学者は系外惑星において生命の兆候を示す可能性がある証拠の確認を進めている──。

 ケンブリッジ大学を中心とする天文学者チームは、遠方の系外惑星「K2‑18b」で検出された生命の兆候が偶然ではないことを示す、統計的に有意な成果に近づいていると発表した。

 チームは、JWSTのデータを解析し、海洋プランクトン(phytoplankton)が生成すると考えられているジメチルスルフィド(DMS)およびジメチルジスルフィド(DMDS)を検出した。これらはいずれも、海中の微生物活動で生じる化合物だ。大学の声明では「太陽系外惑星で生命の存在可能性を示す、これまでで最も有力な証拠」としている。

 研究成果は今週、学術誌『Astrophysical Journal Letters』に掲載された。論文は、惑星表面に広大な海が存在する可能性を指摘しており、科学者が長年探し求めてきた発見への道を開くものだ。要旨には「惑星全体を覆う海と水素を多く含んだ大気が特徴の『ハイシアン惑星』の存在は、居住可能な環境の探索範囲を大幅に広げる」と記されている。

 ただし、今回の検出が生命存在の確証とまでは言えないという研究者もいる。

 科学ライターで『OpenMind Magazine』創設者のコーリー・S・パウエル氏は、X競合SNSのBlueskyにおいて「地球外生命発見という魅力的な話題は、信頼できるメディアでさえ稚拙あるいは誤解を招く記事を書きかねない」と指摘。そのうえで、「K2‑18bが再び脚光を浴びているが、DMSは生物が存在しなくても生成されるという強力な証拠もある」と述べた。

 K2‑18bは地球から124光年離れており、質量は地球の8倍以上で海王星より小さい。このような惑星で原始的な生命の兆候が確認されれば、地球に似た環境を持つ惑星が他にも存在する可能性が高まる。研究チームは、JWSTによる追加観測で今回の初期結果をさらに確かめることを期待している。

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さらなる研究が必要

 サンアントニオ南西研究所の地球化学者で主任研究員のクリストファー・グライン氏は、生命探査の対象はK2‑18bだけではなく、今回の成果はまだ初期段階にすぎないと述べ、過度な期待を戒めている。「慎重になるべきだ」とグライン氏は語る。

 「確かにデータには未解明の部分があり、DMSやDMDSの存在で説明できるかもしれない。しかし今回の検出はJWSTの性能の限界に近い」

 さらに、「これらの分子が本当に存在するかどうかを確認する追加研究が不可欠だ。また、生命活動とは無関係に起こり得る化学反応、特にK2‑18bのような特殊環境下での非生物的反応についても調べなければならない。もしかすると生命ではなく、興味深い化学現象を見ているだけかもしれない」と付け加えた。

 彼によると、赤色矮星であるTRAPPIST‑1系の惑星や巨大な海洋惑星の可能性があるLHS 1140bなど、他の惑星でも居住可能性の研究が進められている。

 K2‑18bについて生命存在の結論を出すには、さらに多くの検証が必要だとグライン氏は強調する。

 「生命の証拠を見つけるのは、法廷で訴訟を進めるようなものだ。『世界中の科学者』という陪審員を説得するには、複数の独立した証拠が必要だ。今回の結果が確かなら、その第一歩になるだろう」と彼は語った。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。



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