トランプ米大統領が「解放の日」と呼んで発表した上乗せ関税の大半について90日間の停止を明らかにした際、米企業(資産総額1兆ドル超=約146兆円)はかつてない規模で短期の米国債を購入した。投資分析会社クリアウォーターが明らかにした。
企業は過去18カ月間にわたって現金や安全な証券の保有期間を延ばしてきており、こうした米国債の購入はより広範な動きの一環であることが、クリアウォーターが追跡したデータでは示された。主に非金融系の米企業800社余りを対象としている。
それによると、トランプ氏が株式について「今が買いの好機」だと述べた4月9日、企業の財務担当者らは1-3年満期の米国債を約50億ドル相当購入し、保有高をさらに増やした。
クリアウォーターの調査責任者、マシュー・ベガリ氏は「過去約1年にわたって、デュレーションが長期化する傾向が見られている」と指摘。「この種の企業投資家は利回り上昇局面を好機と捉え、買いに動いている。全体として、彼らはマネー・マーケット・ファンド(MMF)から資金を移している」と説明した。
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クリアウォーターの顧客は4月にMMFから約310億ドルを引き揚げたことがデータでは示された。
こうした満期を延ばす動きの背景には、企業の財務担当者が米利下げサイクルの前およびサイクル中に高い利回りの確保に努めていることがある。トータルリターンベースでは、米国債市場は今月に入ってそれほど好調とはいえず、12日に米国と中国が関税戦争の一時休戦を発表したことを受け、利回りが上昇。利下げ観測の後退に伴い、米2年債利回りは4%をやや上回る水準で推移している。
「企業にとっては、こうした証券を保有することによるデュレーションリスクはそれほど大きくない。債券価格が急落したとしても、結局は満期まで保有するだけだからだ」とベガリ氏は話した。
原題:US Corporate Treasurers Snap Up Treasuries to Extend Duration(抜粋)
🧠 編集部の感想:
米企業が米国債に積極的に投資しているのは、利回り上昇を巧妙に利用した戦略的な動きと感じます。特に、デュレーションを延ばすことでリスク管理を図る姿勢が印象的です。トランプ大統領の発言を契機に企業が資金を動かす様子は、経済の変動に敏感な企業戦略を示しています。
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