関税の応酬が続いていた米中に雪解けの兆しが出てきた。投資家の間では米中通商合意への期待が高まっている。
中国商務省は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討しているとの報道官談話を発表。商務省報道官は、米高官が関税を巡り中国側と交渉する用意があると繰り返し表明していることに留意していると指摘。「誠意」を示すよう米国に促した。
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米中の緊張緩和に関する動画
Source: Bloomberg
2日の米国株式市場は、中国の声明と堅調な米雇用統計を好感して上昇して始まった。S&P500種株価指数は、トランプ米大統領が上乗せ関税を発表した4月2日以降の下げを埋める勢いとなっている。
中国はまた、約400億ドル(約5兆8000億円)の米国製品について、公式発表なしに関税の適用除外を開始した。自国経済に対する貿易戦争の影響緩和に動いたとみられる。
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また米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国が通商交渉の開始に向けて、米国側に合成麻薬フェンタニルに関して提案を行うことを検討していると報じた。
中国商務省の元顧問で、北京にある対外経済貿易大学(UIBE)の龔炯教授は、今回の動きを「長い干ばつの後の最初の雨」になぞらえ、「これは、中国の最高指導部からのゴーサインが出たことを示している」と述べた。
「誰が交渉を主導するのか、戦略はどうするのか、対米交渉のモデルはどのようなものかなど、これらすべての点について、目下おそらく激しく議論されている」と、同氏はブルームバーグテレビジョンに対し語った。
大統領経済諮問委員会(CEA)のミラン委員長は同日、「緊張を緩和するとともに対話継続の余地をつくり、貿易の新たな安定均衡のあり方を見いだすことは、米中両国の経済にとって利益になる」と、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで発言。「そのため、数週間後も関税率が現水準にとどまっていたら驚きだ」と続けた。
ここにきて米中が接近の兆しをみせている背景には、経済的な打撃が両国で表面化しつつあるとの事情がある。第1四半期(1-3月)の米国内総生産(GDP)は、関税発動を控えた輸入急増で2022年以来のマイナス成長となった。
一方、中国の製造業購買担当者指数(PMI)は4月に縮小し、2023年12月以来の水準に沈んだ。トランプ米政権の対中追加関税による影響が早くも浮き彫りとなった格好で、迅速な対策強化を求める声が出ていた。
だが、依然としてハードルは残っている。中国側は、トランプ大統領の支持を得た人物を、米国側の交渉窓口として指名することを求めており、この交渉担当者が最終的にトランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談で署名できるような合意の準備を主導する道筋を描いている。
原題:China Hints at Possible Thaw With US in Weighing Trade Talks (2)(抜粋)
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