プラモデルとマルシェとNetflixと、ちょっと寄り道のその先で
「たまには、こういう日もあっていいよな」と思えるような、少しだけのんびりした平日の午後でした。
その日は、パソコン1台の納品があるだけで、店舗の問い合わせも少なく、心にも余裕があったんです。
納品が終わり、ちょっと気分よく帰ろうと車を走らせていたとき――見かけたんです、あのマルシェを。
会場は、建設会社「㈱TOUMEI」さんの敷地。手作りのお菓子、美味しそうなコーヒー、ハンドメイド雑貨…。
道端に立てられたのぼりと、人の温かさが溢れる雰囲気に誘われるように、ふらりと足を止めてみました。
そして偶然、そこで再会したのが岩本さん。
「お久しぶりですね」と笑うその表情。お互い、最近は慌ただしくて時間が取れなかった。でも、ほんの10分でも立ち話ができるって、やっぱりいいものです。
その時、岩本さんがぽつりと話してくれたんです。
「夜にプラモデルのイベントをやってみませんか?」
最初は冗談かと思いました。でも、話を聞いていくうちに、これは本気の提案だったんです。
夜開催の「プラモデル教室」ターゲットは“社会人”
昼間のイベントは、どうしても主婦層が中心。でも、仕事終わりの男性が気軽に立ち寄れる場は少ない。
「夜の時間を使えば、また違う層と出会えると思うんですよね」
僕の趣味がプラモデルというのは、岩本さんも知っていました。
さらに最近、塗装ブースの制作と販売も始めていたので、それを“展示してみませんか”というお話にまで発展しました。
この話が面白かったのは、利益を追っている提案じゃなかったという点。
「いや、うちとしては儲けにはならないですよ。むしろ準備の方が大変かも(笑)」
でも、そこが岩本さんのすごいところでした。
「利益ではなく、種まきのためにやる」
将来、そこに集まった誰かが、
「家に趣味部屋を作りたいんですけど」
「この建物、リフォームできますか?」
といった話をしてくれるかもしれない。
たとえ今すぐ何も生まれなくても、“その場にいること”こそが大事。
僕はこの言葉に、かつての自分を重ねていました。
岩見沢で体感した、“種まき”の力
昔、家電量販店に勤務していた頃、岩見沢の店舗に配属されました。
大きな街でもなければ、派手な売上が期待できる場所でもありません。
でも、そこにはとても優秀な先輩がいました。
その先輩が口癖のように言っていたのが「今より未来を見ろ」「売るな、育てろ」でした。
僕には最初、その意味がわからなかった。
でも、彼はずっと続けていたんです。
「今は買わなくていい。でも、次に買うならこの時期がベストですよ」と、先を見据えたアドバイスをお客様に伝え続けていました。
そしてある年のお盆。
札幌の超大型店舗よりも、岩見沢の小さな店のサポート売上が上回ったんです。
それは、すべて“種まき”の成果でした。
行動する人が最後に強い。芸能界を見ていてもそう思う
この日の夜、帰宅してNetflixを開いた僕は、ある番組を目にしました。
それが『罵倒村』――芸能人が過去の過ちやスキャンダルに向き合うという、ちょっと異色な作品。
そこに出演していたのは、アンジャッシュの渡部建さんでした。
5年前、多目的トイレの件で世間を大きく騒がせた彼。いまだに地上波には戻れていない。
でもその番組では、主役級の演技をこなし、どこか切実さを持って自分を表現していた。
それが、痛いほど胸に刺さったんです。
一方で、問題を起こしてYouTubeに活動の場を移した某芸人さんもいます。
もうほとんどメディアには出てきません。話題にすらならない。
違いはなんだろうと考えると、やっぱり「行動をやめたか、続けたか」なんですよね。
どんなに大きな失敗をしても、行動を止めなければ、どこかで誰かが見てくれている。
僕もそれを信じて、日々を過ごしています。
整体とHydeと、偶然という名のご褒美
最後にもうひとつ、友人から聞いた話を。
先日整体に行った際、友人がこんな話をしてくれました。
ラルクのライブビューイングに行った帰り、ふらっと立ち寄ったバーでHydeさんが座った席に案内されたそうです。
店員さんが「数日前、HydeさんがここでYOSHIKIさんのウイスキー飲んでたんですよ」と教えてくれて。
たまたま持っていたペンライトを夜景と撮っていたことが、偶然を引き寄せたそうです。
これもまた、“行動した人”にだけ起こる奇跡のようなものなんだろうなと思いました。
寄り道に意味なんていらない。でも、それが未来をつくることもある
あの日、もしマルシェを見てもスルーしていたら。
もし岩本さんと話さなかったら。
もし過去の“種まき”の経験がなかったら。
きっと僕は、プラモデルイベントを実現しようなんて思わなかった。
でも、行動して、寄り道して、人と話すことで、「未来」につながる種を、また一つ手に入れた気がしています。
だからこれからも――
大きなことじゃなくても、歩く速度を少しだけゆるめて、目の前のご縁を受け止められる自分でいたい。
その先に、何かおもしろい未来が待ってるかもしれないですからね。
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