水曜日, 5月 21, 2025
ホームニュースエンタメニュース石川野乃花が一大決心 初主演映画で丸刈り、裸…オーディションは辞退者続出 台本に言葉失う「壮絶すぎて」

石川野乃花が一大決心 初主演映画で丸刈り、裸…オーディションは辞退者続出 台本に言葉失う「壮絶すぎて」


初主演映画で髪の毛を丸刈りにされ、一糸まとわぬ姿を披露したのが元アイドルの俳優・石川野乃花だ。元小学教師の岩松あきら監督がメガホンを取った映画『渇愛』(池袋シネマ・ロサほか全国順次公開)で、摂食障害を患う女子大生・早紀を演じた。オーディションで辞退者続出の役柄をなぜ引き受けたのか。撮影に臨んだ時の心境や映画を通じて伝えたいメッセージを聞いた。高校時代に『ROOKIES』出演 佐藤隆太に刺激

 初主演映画で髪の毛を丸刈りにされ、一糸まとわぬ姿を披露したのが元アイドルの俳優・石川野乃花だ。元小学教師の岩松あきら監督がメガホンを取った映画『渇愛』(池袋シネマ・ロサほか全国順次公開)で、摂食障害を患う女子大生・早紀を演じた。オーディションで辞退者続出の役柄をなぜ引き受けたのか。撮影に臨んだ時の心境や映画を通じて伝えたいメッセージを聞いた。(取材・文=水沼一夫)

(※以下、映画のネタバレを含む記述があります)

『渇愛』は、岩松監督が元教え子から聞いた実話をもとにしたストーリー。摂食障害を発症した早紀は、山奥の施設に入り、治療を受けながら更生を目指していく。摂食障害の背後にある家族との関係についても考えさせられる内容となっている。

 鹿児島出身の石川は13歳で芸能界入り。高校時代にはドラマ『ROOKIES』に出演したこともある。セリフのない役だったが、撮影の合間に、主演の佐藤隆太の話を聞いたことがきっかけで、日本大芸術学部に進学。映画に携わる一方で、卒業後は10年間、アイドルとして活動した。今年2月、所属していた5人組のグループ『Symdolick』が解散ライブを行ったことから、アイドル活動に終止符を打った。

『渇愛』のオーディションを受けたのは、ひょんなことがきっかけだった。俳優の新藤栄作が主宰する舞台に出演した際に、新藤から、『渇愛』の主演女優のオーディションが難航していることを聞いた。

「オーディションやってても、最終的に辞退しますという子も多いらしいんだよね」

 摂食障害という難しいテーマ、さらに食べ吐きをするシーンやバリカンで丸刈りになるというハードな条件がついていた。たわいもない会話の中だったが、新藤の話に石川は興味をそそられた。

「そんなの私がやりたいぐらいですよ」

 現役バリバリのアイドルの“立候補”に、ベテラン俳優は驚きつつも困惑。「いや、君はアイドルだから坊主にはできないでしょ」と制したが、石川は前のめりになった。「全然、私しますけどね」と答えると、事務所に制約があるかどうかを確認。どんな物語かは知らないまま、『渇愛』で早紀の父親役として出演が決まっていた新藤に、岩松監督を紹介してもらう行動力を見せる。

 そして岩松監督からも映画の内容について、細かい説明はなかった。

「摂食障害、家族の物語で、体を見せてしまうシーンがある。髪の毛を坊主にできる子じゃないといけない。それ以外のストーリーは何一つ話せない。それでもいいならオーディションをぜひ」

 最終オーディションを突破し、台本が渡されると、石川は予期せぬ内容に声を失った。

「言葉にならなかったですね、壮絶すぎて。彼女の歩んだ人生が自分の今まで歩んだ人生とかけ離れすぎてて、この役を演じるのに、自分はどうしたらいいんだろう。自分じゃできないかもしれないぐらいの感じでした」

 摂食障害について初めて知ることばかりだった。混乱していると、監督からは「たぶん、衝撃に思っているところはほとんど実話だよ」と告げられた。

「まず摂食障害を治すための施設があることを知らなかったです。そこで、なんで坊主になるんだろう、食べたものや便を写真に収めるんだろうとか、そういう治し方だったり、思考の変え方だったりっていうところを理解ができなくて、そこを学ぶところから始まりました。根本にあるところは、愛されたい、自分の空いてる心の穴を埋めたい、という感情なんですけど、でも、それがなんで摂食障害に結びついてしまうのかを理解していくのが難しかったですね」

全裸に葛藤「ファンが離れちゃうんじゃないかな」

 映画に主演するのは初めて。覚悟を決めたとはいえ、実際の撮影では、また違う思いがこみ上げた。

「やっぱり女の子にとっては髪の毛がなくなるって相当なことだったみたいで、映像には映ってないんですけど、自然と涙が出てしまいましたね。話をいただいた時は憧れの女優さんたちとかがやっているような経験ができると思い、どちらかというとやりたいですという気持ちだったんですけど……。意志というのは弱いですね」

 裸を披露する場面は、監督と話し合いを重ね、納得の上で撮影に臨んだ。しかし、ここでもファンのことを思うと葛藤があったという。

「たぶん日本全国探しても、キラキラ歌っている現役アイドルの裸体が出る作品をファンの方が見る機会ってないじゃないですか。そこを考えると、やっぱり思うものはあって、どんなふうに思われちゃうんだろう、嫌われちゃうんじゃないかな、ファンが離れちゃうんじゃないかなとか、葛藤がすごくあったんですけど、でも冷静に考えてみたら、そこに存在しているのは自分であって自分じゃない。ちゃんとしたお話があった作品だったので、スクリーンで見ていただくのも冷静に考えたら大丈夫だというふうに思えました」

 撮影中に心身とも早紀になりきり、過呼吸になるほど演技に集中するシーンもあった。初めての体験だった。映画が封切られると、「鬼気迫る演技」「想像を超える展開に本当に衝撃」「感想書くのに半年くらい時間欲しいかも」と、多くの反響を呼んでいる。

 摂食障害は10代で発症するケースが多く、若い女性の間で社会問題化している。グラビア撮影の経験も持つ石川は、映画の意義をこう語った。

「アイドルグループを10年やっていたので、痩せないといけない、食べちゃいけない、ステージに立つために体重落としたい、もっと衣装を小さくしたいとか、そういう子はいっぱい見てきました。今の時代の子たちは、言葉に出さなくても、内に秘めている劣等感とか抱えて過ごしている子が多いと思うんですよ。それが摂食障害につながってしまうこともある。共感できることがすごくいっぱいあるんじゃないかなと思っています」

 きらびやかに見える芸能界はルッキズム(外見至上主義)が横行。極端な減量や体磨きをしても、成功できるのは一握りだ。「自分もそういうところに足を踏み入れそうになったこともあった」と振り返る石川は、少女たちに警鐘を鳴らす。

「あなたがどうなりたいの、どういうふうなことをやっていきたいの、どういう人生を歩みたいのっていうところではなく、目の前の輝きというところに本当に命をかけている。それは1つのお仕事ではあるんですけど、限度を超えてしまう。この映画を見て、若い子たちは、頑張らなくても大丈夫だよ、みたいなことを考えさせられるんじゃないかなって思うし、お父さんお母さんたちは、子どもが思春期だった時にこういうふうにもっと言ってあげればよかったなとか、自分の子どもはこうだったなとか考えながら見るんじゃないかなってすごく思いますね」

外見にほんろうされる少女たちに伝えたいこと

 高校時代、同級生の活躍を見て、苦しんだ時期があった。上京して芸能コースもあった学校に一般受験したが、厳しい現実を突きつけられた。

「人生の最初のつまずきだったんですけど、いっぱい芸能のお仕事をやっている子たちの中に飛び込んだので、自分が一番オーディションをもらえてなくて、自分が一番オーディションに合格できていなかった。学校に行っても、みんなお仕事でお休みをしている子たちばかりで、自分は常に学校で勉強しててっていう子だったので、悔しくて悔しくて。いや、もう酷でした。何々が決まったよってお父さんお母さんに言いたいけど、仕事も決まらず実家に帰るのも気まずいみたいな。思春期の葛藤とお仕事の葛藤が混ざって複雑な心境でしたね」

 多感な時期に、他人と比較してしまうことは本能的だ。自分の平凡さを嘆き、認めたくないという思いにかられる。しかし、高すぎる理想を追うことは、心身に想像以上の負荷をかけるもの。元アイドルとして、競うことの大変さが分かるからこそ、取り返しのつかない状況になる前に立ち止まってほしいと願いを込める。

「一番難しいことって自分を好きになることだなと思っています。誰かに憧れるのはいいかもしれないけど、自分の人生を歩めるのは自分だけだから。自分は他人の人生にはなれない。自分の個性や魅力に気づいてあげるということが一番大事。自分の人生は自分しか歩めないよって伝えたいですね」と、石川は結んだ。

【写真】雰囲気一変 フリフリのミニスカ姿で舞台に立つアイドル時代の石川野乃花、実際の写真

【写真:本人提供】



続きをみる


編集部の感想:
石川野乃花さんの初主演映画での決断には強い意志が感じられ、摂食障害という難しいテーマに真摯に向き合う姿勢には感銘を受けました。髪を丸刈りにし、一糸まとわぬ演技を行うことで、内面的な葛藤や社会問題を浮き彫りにする勇気が素晴らしいです。彼女の経験を通じて、自己受容や他者との比較の危険性について考えさせられます。

Views: 0

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

- Advertisment -

インモビ転職