土曜日, 5月 31, 2025
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白色有機ELディスプレイやGoogle TV内蔵のウルトラワイドモデルなど,ASUS ROGの個性的なゲーマー向けディスプレイをチェック


COMPUTEX 2025会場のASUSブースにおける「Republic of Gamers」のディスプレイ展示コーナー
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)がCOMPUTEX 2025で披露していたディスプレイは,ゲーマー向け製品クリエイター向け製品を紹介した。
 しかしASUSブースには,まだまだ紹介したい製品があったので,それらの中から,強い個性を放っていたゲーマー向けディスプレイを紹介しよう。


ASUSはあえての白色有機ELパネル採用機を2製品投入

 毎年,ASUSとMSIは,COMPUTEXの展示で,ゲーマー向けディスプレイでも互いを意識した製品展示を行っている。
 MSIは,COMPUTEX 2025で,ゲーマー向け有機ELディスプレイの分野で,今後しばらくは,Samsung Display(以下,Samsung)製の量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルに注力する方針を打ち出した(関連記事)。
 それに対してASUSは,「製品によって,両方式の有機ELパネルの良さを生かして使い分けていく」という方針を採るようだ。
 COMPUTEX 2025で登場した32インチサイズ,解像度3840×2160ピクセル(4K)のゲーマー向けディスプレイ「ROG Strix OLED XG32UCWG」(以下,XG32UCWG)は,LG Display製の白色有機EL(白色有機ELパネル)パネルを採用した製品だ。

ROG Strix OLED XG32UCWG
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スタンドとの接合部は分厚いが,画面外周はかなり薄い
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 その展示コーナーでは,量子ドット有機ELパネルの弱点を指摘して,白色有機ELパネルの優位性をアピールしていた。ただ,XG32UCWGを展示しているすぐ後ろでは,垂直最大リフレッシュレート500Hzの量子ドット有機ELパネル採用ディスプレイ「ROG Strix OLED XG27AQDPG」(以下,XG27AQDPG)を展示していたので,いささか不可解な展示構成ではある。
 ASUS担当者によれば「量子ドット有機ELパネルと白色有機ELパネル,それぞれに一長一短がある。XG27AQDPGは,量子ドット有機ELパネルの良さを最大限引き出した製品で,対してXG32UCWGは,白色有機ELパネルの良さを引き出した製品ということだ」と述べていた。
 量子ドット有機ELパネルの弱点とはなにか。それは,有機ELサブピクセルが発した光のうち,斜め方向の光(いわゆる迷光)は,量子ドット変換が理想的に機能せず,中途半端に波長変換された合成色が紫色にシフトすることだ。
 実際に使っているときに,紫色への変移を感じることは少ないものの,とても明るいシーン,とくに白っぽいシーンを表示したときに起きやすい。また,ディスプレイ表示面に入射した照明などの外光は,量子ドット有機ELパネル内の量子ドット層にも侵入して内部で反射し,再び出てきたときにこの現象の影響を受ける。つまり,画面の周囲にある人や光が,紫色っぽく映り込むのだ。
 白色有機ELパネルでは,そうした現象は起きない。しかし白色有機ELパネルは,基本的に光沢パネルか半光沢(ハーフグレア)パネルが主流なため,表示面には人や物が映り込みやすいのだ。完全な拡散フィルムを適用した非光沢タイプの白色有機ELパネルもなくはないが,そうしたパネルを採用する製品では,せっかくの有機ELパネルらしいコントラストが低下してしまう。
 そこでASUSは,低反射で高コントラスト表示を両立した白色有機ELパネルはできないかという問題に取り組み,某光学メーカーと「True Black Glossyフィルム」を共同開発したそうだ。
 True Black Glossyフィルムは,斜めから入射する外光を約38%も減らせる一方で,画面に正対するユーザーが見る映像には,ほとんど影響しない光学特性があるという。つまり,周囲の情景が映り込みにくく,それでいてユーザーから見える表示面の黒は真っ黒になり,各画素の表示光は拡散することなく直進するので,フォーカス感のしっかりした表示になる。
 次のスライドは,有機ELパネルの反射特性を示したものだ。右は光沢タイプの量子ドット有機ELパネル。高輝度で白めな表示や,明るめの室内の情景は紫色にシフトしやすい。中央は光沢タイプの白色有機ELパネルで,映り込みが強い。左が新開発したTrue Black Glossyフィルムを適用した白色有機ELパネルだ。高コントラストの維持と映り込みの低減を両立している。

有機ELパネルの反射特性を比較したスライド。左がTrue Black Glossyフィルムを貼った場合だ
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 True Black Glossyフィルムに自信を持ったASUSは,このフィルムを適用したもうひとつの白色有機ELパネル採用ゲーマー向けディスプレイ「ROG Strix OLED XG32UCWMG」(以下,XG32UCWMG)を発表した。
 XG32UCWGとXG32UCWMGの違いは,垂直最大リフレッシュレートにある。XG32UCWMGは,4K/165HzとフルHD/330Hzのデュアルモード対応で,XG32UCWGは4K/240Hzの固定モデルだ。

XG32UCWMG。ピーク輝度は1000nitもあるので,エフェクト表現は鮮烈だ
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 そのほかの仕様は共通である。パネルサイズは32インチで解像度は4K。応答速度は0.03msだ。入力色深度はリアル10bitで,デジタルシネマ向け色空間規格「DCI-P3」のカバー率は99%に達する。最大輝度は1000nitで,公称コントラストは150万:1。HDR映像表示品質は,VESAのHDR関連規格「DisplayHDR True Black 400」認証を取得している。
 実際の映像を見てみた感じでは,暗部階調はしっかり描けていたように思える。映り込みについては,ごちゃごちゃと照明が多いブース内での展示だったので,照明はそれなりに映り込んでいた。しかし,前に立った人の顔はまったく映り込まない。一般的な室内では,高品位な暗部表現が実現できるのではないだろうか。

背後にある照明が相当に明るいにもかかわらず,この程度の反射で済んでいるのは立派。人の顔はまったく見えない
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 映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4端子×1,HDMI 2.1端子×2,DisplayPort Alternate Mode(以下,DP Alt)対応USB Type-C×1の4系統だ。ほかにUSBハブ機能として,USB 3.0 Gen 1 Type-B×1,USB 3.0 Gen 1 Type-A×3を備えており,PC切換器機能も備える。

XG32UCWGのインタフェース部分
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 発売は2025年8月頃を予定。北米市場におけるメーカー想定売価は,デュアルモード対応のXG32UCWMGが799ドル前後(税別,約11万6000円)で,最大240Hz対応のXG32UCWGが999ドル前後(税別,約14万5200円)だ。MSIに対抗したのか,どちらも3年間の焼き付き保証付きだ。
 XG32UCWGは,4KでもフルHDでも垂直最大リフレッシュレート240Hzなので,その分価格が高い。一方,筆者は,デュアルモード対応のXG32UCWMGに,価格対スペック比の面で強い魅力を感じた。

チューナレスでシネマテレビ的なゲーマー向けディスプレイが登場

 筆者の感想では,2024年と打って変わって,COMPUTEX 2025は,各社ともウルトラワイドタイプのゲーマー向けディスプレイの新製品が少なかったと思う。
 その意味では,数少ないウルトラワイド新製品として注目したのが,「ROG Strix OLED XG34WCDMTG」(以下,XG34WCDMTG)だ。画面サイズは34インチで,解像度は3440×1440ピクセル,アスペクト比は21:9という,ウルトラワイドモデルとしては定番サイズ&解像度の製品である。

G34WCDMTGは,COMPUTEX 2025で大手メーカーが展示していたウルトラワイドのゲーマー向けディスプレイとして希少な存在だ
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 映像パネルには,量子ドット有機ELパネルを採用する。スペックは,垂直最大リフレッシュレートが240Hzで,DCI-P3色空間カバー率は99%を達成といったところ。
 2024年にASUSは,「ROG Swift OLED PG34WCDM」(以下,PG34WCDM)という,型番のよく似た製品を発売している。ただ,PG34WCDMは白色有機ELパネル採用機であるし,今回のXG34WCDMTGは,製品の方向性がだいぶ異なるのだ。

GoogleTV搭載なので,リモコンを使ったいわゆるチューナレーステレビとしての運用が可能
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 というのも,新製品のXG34WCDMTGは,スマートテレビプラットフォームである「Google TV」を搭載しており,チューナーレステレビ的なゲーマー向けディスプレイとして訴求されているのだ。なお,Android OSのバージョンは14である。
 Google TVということで,Wi-Fi 6機能も内蔵(※有線LANはない)。Google TVリモコンも付属しており,リモコンには「Netflix」や「YouTube」「Amazon Prime Video」などのVODサービス用ボタンがある。クラウドゲームサービスの「GeForce Now」アプリもプリインストール済みだというから面白い。
 画面のアスペクト比が21:9,すなわちシネスコサイズなので,VODサービスの映画コンテンツがどのように表示されるか,気になる人もいるだろう。というのも,21:9ウルトラワイドディスプレイの中には,全画面表示かアスペクト比維持表示しか持たないものも多く,これでシネスコ映画を表示させると,やたら黒枠(未表示領域)の多い,小さなサイズで表示されてしまうことがあるのだ。
 この点を担当者に確認したうえ,さらに筆者自身でチェックしたが,16:9映像にレターボックス収録された映画コンテンツを,本機の画面全域に表示させる「シネマ」モードを搭載していた。

シネマアスペクトモードを搭載。レターボックス収録の映画コンテンツを全画面表示できる
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 XG34WCDMTGのHDR表示性能は,DisplayHDR True Black 400認証を取得している。それに加えて,最近のVODサービスでは採用事例の多いDolby Laboratories(以下,Dolby)独自のHDR関連規格「Dolby Vision」の認証も取得しているのは大したものだ。Dolby Visionで配信される映像コンテンツを,Dolby Visionデコードして表示できる機能を持っているのだ。
 テレビ製品ではいまや珍しくない機能だが,ゲーマー向けディスプレイでDolby Visionデコード対応は,極めて珍しい特徴と言えよう。
 本体スピーカーは5W+5Wのステレオスピーカーを内蔵。Dolbyのサラウンドサウンド技術「Dolby Atmos」のバーチャル再生にも対応しているというが,スピーカー出力を考慮すると,音質にはあまり期待しないほうがいいだろう。高音質で楽しみたいならば,ヘッドフォンを使うほうがよさそうだ。
 写真を見てのとおり,XG34WCDMTGは湾曲型ディスプレイでもある。2024年のPG34WCDMでは,画面の曲率が800R(=半径800mmの円を描くカーブ)だったが,XG34WCDMTGは1800R(=半径1800mmの円を描くカーブ)と,軽く湾曲している程度で平面に近くなった。画面サイズは34インチ程度だし,デスクトップシネマ的な活用では,筆者は,このくらいの曲率で十分だと感じた。

曲率は1800Rとマイルド。画面サイズ的にはこの程度が妥当かと思う
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 映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.1×2,DP Alt対応USB Type-C×1を備える。また,USBハブ機能としてUSB 3.0 Type-A×2も備えており,PC切換器機能にも対応するそうだ。
 発売時期は2025年7月下旬で,北米におけるメーカー想定売価は1000〜1300ドル(約14万5000〜18万8500円)とのこと。こちらも3年間の焼き付き保証付きだ。ウルトラワイドゲーマー向けディスプレイとチューナレステレビを1台にまとめたい人にはいいかもしれない。

ASUSのCOMPUTEX 2025特設Webページ(英語)

ASUS 公式Webサイト

4Gamer.netのCOMPUTEX 2025特集ページ



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🧠 編集部の感想:
ASUS ROGの新しいゲーマー向けディスプレイには、白色有機ELパネルと革新的な機能が詰まっており、映像品質の向上が期待できるのが魅力です。特に「True Black Glossyフィルム」により、反射を抑えつつ高コントラストを実現している点が素晴らしいと思います。また、Google TVを搭載したウルトラワイドモデルの登場は、ゲーミングとエンターテインメントの融合を感じさせ、興味深いです。

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