はじめに
menu株式会社 エンジニアリングマネージャの櫻井です。
主にバックエンドを専門領域としているエンジニアです。
もはや自分でコードを書くことは少なくなってきたので、昨今の生成AI事情を踏まえたこれからのエンジニアのキャリア形成、およびその支援に関して自身の考えを整理してみようと思います。
具体的な技術の話はありません!
昨今の生成AI事情
昨今の生成AIの進化は目覚ましく、さまざまな優秀なモデルが登場しています。
使い方の幅も非常に広く、質問をする、情報収集や整理、画像処理やソースコードの生成も高精度で行えるようになってきています。
ことエンジニアの開発作業においては、ソフトウェアの設計、実装、テストやドキュメントの作成など、非常に広範囲のタスクで生成AIを活用することが可能です。
弊社では各種生成AIツールのトライアル運用を各所で進めながらも、Gemini for Google Workspace、GitHub Copilotに続き先日ついにCursorも全社導入されました。
これらの生成AIを活用することによって生産性の向上も効果としては期待できますが、何よりドキュメントやコードを読み理解し整理するといった、自分が詳しくない領域に対する初期の認知負荷が格段に減ったような感覚があります。
何が変わったか
ある1つの開発タスクを完了させることを考えてみます。
マネージャやリーダの立場として誰かに任せる状況であれば、ゴールのイメージを明確に伝えて完了まで導くという観点では何も変わっていないように思います。
チームメンバに任せる場合は、背景などの丁寧な説明をし、成長を促す問いを与えつつ実行してもらう。
生成AIに任せる場合は、単純にプロンプトとして指示を与えて実行してもらう。
一方で、開発タスクにアサインされたメンバの立場で考えると、どうでしょうか?
従来は自身で仕様を理解し、設計に落とし込み、コードを書いてチームメンバに対してレビュを依頼していました。
生成AIを積極的に活用する場合、理解した仕様を元にプロンプトとして必要な情報を与え成果物を得ることができてしまいます。
ここで重要なのは、その成果物が本当に妥当なのか判断しなければならないという点ですが、これには幅広い知識や経験が必要です。
自身の知識レベルを超えた成果物である場合、その妥当性が判断できず、意図しない不具合や性能劣化を引き起こす恐れもあります。
従来は知見のある人に聞かないと実現できなかったことが簡単に生成できてしまうので、自分に知見がないことに気づけないパターンもあるかもしれません。
マネージャになれ
ここでいうマネージャとは、組織上のマネジメントをする役割のことではありません。
生成AIの出力する成果物の品質をマネジメントする立場になれ、ということです。
成果物が妥当であること判断するためには、アーキテクチャやデザインパターン、アルゴリズムといった設計実装に関する基礎知識に加え、影響範囲のドメイン知識なども踏まえた非常に幅広い知見が必要になります。
どれだけプロンプトを工夫して生成される成果物の精度が上がったとしても、あくまでモデルは推論を行なっているに過ぎず、ハルシネーションのリスクをゼロにすることはできません。
生成する側に、成果物を評価する知見が必要なのです。
もちろん、生成AIの進化が目覚ましい今だからこそ、その最先端を学びフル活用して成果に繋げていくことも重要です。
でもそれだけでは技術の本質を理解し成果物の品質を担保する能力が身に付かず、「ただAIを使いこなして成果物を短時間で生成できるエンジニア」になってしまう恐れがあります。
目先の成果は出ても成長の実感がなく、中長期的に見ればデメリットの方が上回ってしまうこともあるでしょう。
生成AIに任せるべきタスク、任せても良い結果にならないタスクの見極めや、プロンプトの与え方を学びつつ、生成された成果物の妥当性を判断するための基礎知識をしっかりと習得していくことも必要です。
組織上のマネージャとして、どう振る舞うか
マネージャとしてはメンバが生成AIをどのように活用し、どのように妥当性を判断していくのかという、基礎知識に基づいた判断の精度を成長させつつ、これまで通り成果物のマネジメントを行なっていく必要があると思っています。
とはいえやるべきことは大きくは変わらず、基礎知識を学ぶ意欲を掻き立てつつ課題解決の方法を伝授していく。
加えて、生成AIへの向き合い方を指導していくことになると思っています。
まとめ
昨今の生成AI事情は進化のスピード感が非常に早く、昨日までのノウハウが一気に陳腐になる世界です。
だからと言っていま使わない手はありません。
うまく使いこなして質の高い成果物を出せるエンジニアを目指していきましょう。
▼採用情報
レアゾン・ホールディングスは、「世界一の企業へ」というビジョンを掲げ、「新しい”当たり前”を作り続ける」というミッションを推進しています。
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