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生成AIは制作ツールからゲームそのものへ。「ゲーム制作における生成AI活用の現状」ウェビナーレポート



 2025年5月15日,デジタルコンテンツ協会(DCAJ)が主催するビジネスセミナー「ゲーム制作における生成AI活用の現状」が開催された。
 近年,めざましい進化を遂げる生成AI技術を実務でどのように利用しているのか,最新の技術トレンドはどのようなものかが,スクウェア・エニックスのリードAIリサーチャー・三宅陽一郎氏と,AI Frog Interactive代表取締役CEO・新 清士氏それぞれの視点から紹介された。

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現役クリエイターが生成AIの最新動向や実務での活用例を紹介する無料オンラインセミナー「ゲーム制作における生成AI活用の現状」,5月15日に開催



現役クリエイターが生成AIの最新動向や実務での活用例を紹介する無料オンラインセミナー「ゲーム制作における生成AI活用の現状」,5月15日に開催


 デジタルコンテンツ協会は2025年5月1日,ゲーム分野における生成AIの最新動向や実務での活用事例を紹介するオンラインセミナー「ゲーム制作における生成AI活用の現状」を開催すると告知した。開催日時は,5月15日16:00から17:30まで。事前登録が必要だが,参加は無料


[2025/05/02 19:02]

「生成AIのデジタルゲームへの応用手法」(三宅陽一郎氏)

 三宅氏は,2025年3月18日から22日までアメリカ・サンフランシスコで開催された「GDC 2025」(Game Developers Conference)での最新トレンドを紹介した。

三宅氏は,GDC Game AI Summit 2025にて講演者としても登壇。スクウェア・エニックスのAIの歴史を1980年代から紹介した(外部リンク
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 現在の傾向としては,ゲーム開発環境にとどまらず,ゲームそのものに機械学習の推論を導入しようという動きが増えている。ミドルウェアメーカーを中心に,生成AIとゲームを直接つなぐ「ラストワンマイル問題」を解消する取り組みが多くあるという。

★パス検索機能を強化し,スムーズな移動を実現:Ubisoft「スター・ウォーズ 無法者たち」の事例

 Ubisoftは,同社のゲームエンジン「Anvil Engine」に機械学習のパイプラインを実装し,ゲーム開発のワークフローの一部として使えるようにしている。2024年8月にリリースした「スター・ウォーズ 無法者たち」では,ビークルの移動方法を強化学習のアプローチで学習させた。
 強化学習は,トライ&エラーの学習方法で,何度も繰り返しながら上手くいくパターンを見つけるというものだ。人間が逆上がりの練習をするときに,ガイドブックなどがなくても,繰り返し練習をする過程で上手く回れる瞬間があり,それをもとに感覚を掴んでいくのと似ている。
 ゲーム開発中は,学習データがそもそもない状態なので,強化学習的なアプローチが多くなるそうだ。
 Anvil Engineには,UEやUnityなど他社のゲームエンジンのようにパス検索(パスファインディング)機能はあるが,アクセルの加減速や障害物を避けるときのふくらみ方なども含めて,滑らかに移動するのは難しい。そこで,パスやオブジェクトの位置,周囲の環境情報などを入力に,ステアリングやハンドブレーキ,アクセルなどを出力として,スムーズな移動方法を学習させたという。

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 これはAnvil Engineの汎用的な手法として実装されており,パス検索以外でも,さまざまな分野のフレームワークとして利用できる。一般的に広く利用されるPyTorchやTensorFlowなどのライブラリを利用すると処理速度が遅くなってしまうので,独自実装で推論が組まれていると三宅氏は予想している。
 また,Ubisoftは2022年のGDCで構想を発表し,2024年にゲームを発売,2025年に技術を公開するなど,時間をかけてワークフローを構築している。今後,多くのゲームエンジンで機械学習パイプラインが実装されるようになり,Ubisoftの事例がその先生役となるだろう,と三宅氏は分析した。

GDC 2025「Game AI Summit: No Brakes! Machine Learning Vehicles in ‘Star Wars Outlaws’」

★プレイヤーデータをもとにリアルなAIボットを作成:Ubisoft「レインボーシックス シージ」の事例

 Ubisoftの別の事例として,「レインボーシックス シージ」(R6S)のAIボットも紹介された。スターウォーズの事例と異なる点は,実際のデータを用いた教師あり学習という点だ。もし発売前のタイトルなら,開発者やQAなどテストプレイのデータなどを利用する。
 学習に利用するプレイヤーデータは,ガジェットやアビリティの「位置」「状況」「頻度」,マップにおける「待ち伏せ場所」「移動・エイムパターン」「破壊情報」,戦闘における「反応速度」「遮蔽物の利用」「姿勢」などだ。

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 単に詳細なデータがあればよいものではないので,平均を取る仕組みなどもいれつつ,データを収集するパイプラインを構築。達成したい目標から必要なタスクを逆算するゴール指向プランニングで,AIを作成する。

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 これにより,人間っぽさのあるリアルなAIボットを実現できるようだ。

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GDC 2025「Machine Learning Summit: ‘Rainbow Six Siege’: Operation Bots」

★検索機能を強化し,過去に作成した大量のアセットを有効活用:Activision「Call of Duty」の事例

 ゲームには,コップやスリッパなどの小物から,家電や建物など大きなものまで多種多様なオブジェクトが登場する。メーカーは大量のアセットを作成するが,これらを会社の財産として上手く活用できていない企業が多いという。
 1つひとつのアセットに「コップ」「スリッパ」などのタグを付けていて,まさにそのカテゴリのアセットが欲しい状況であればよいのだが,「丸くて赤いやつ」といった風に具体的ではないものが欲しい場合,大量のアセットから探すのは大変である。

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 これを大規模言語モデル(LLM)のマルチモーダル検索(テキストや画像,音声など異なる形式のデータを,AIが意味的に理解して横断的に検索する手法)で解決しよう,というアプローチが紹介された。
 Activisionは「Call of Duty」の環境でシステムを構築し,いろいろなデータを言葉と画像の両方で検索できるようにした。人間が「こういうのが欲しい」と抽象的な依頼を出すと,中間に位置するAIがまずその依頼を補足し,それをマルチモーダル検索システムに渡し,候補となるアセットをリストアップする仕組みだという。

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GDC 2025「Machine Learning Summit: Enhancing Development with LLMs and Multimodal Retrieval in ‘Call of Duty’」

★LLMで物語を生成:Ada Eden「1001 Nights」の事例

 物語をリアルタイムに自動生成する事例としてAda Edenの「1001 Nights」の事例も紹介された。LLMをゲームのコアメカニズムとして組み込み,プレイヤーによって異なる物語を体験できるという。開発は2020年と,早い段階からスタートしている。

画像は「1001 Nights」Steamストアページ(外部リンク)より
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 採用されているメカニズムは,プレイヤーの入力をもとに,システム側がプロンプトを整形し,それをゲームシステムに送る仕組みである。ゲームシステム側は,bool値でトリガーを管理しており,状況に合わせてストーリーをアンロックしていく。

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 ストーリーの大まかな部分は決まっている(おそらく1001通りから選ばれる)が,武器カードの名前や効果,キャラクターのセリフなど,細部はさまざまなものが生成される。

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 最終的には,1本の絵本として生成され,プレイヤーごとのオリジナル物語が記録される仕組みだ。

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GDC 2025「Game AI Summit: LLM as Core Gameplay: Co-Creative Storytelling in ‘1001 Nights’」

★AIゲームアシスタント:NVIDIAの事例

 複雑化するゲームの攻略をサポートするAIアシスタントの開発も進んでいる。攻略本,攻略サイト,攻略動画などから1歩踏み出し,ゲーム内にAIアシスタントを組み込んで,プレイヤーを直接サポートしよう,というNVIDIAの取り組み事例が紹介された。

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 ゲームのさまざまなデータを事前にLLMに与え,訓練させる。ゲームプレイ中は,主人公がどこにいて,どんな状況で,といった情報を与えつつ,プレイヤーの質問に的確なアドバイスをしてくれる。

クラウドLLM(左)は,構造化された手順とゲーム内要素に即した詳細なガイドを提供してくれるが非常に高額。ローカルLLM(右)は,やや一般化された説明で時間がかかるがAPI利用料はかからない
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 NVIDIAは,特定のゲームだけでなく,さまざまなゲームで利用できる汎用的なAIアシスタントとして制作を進めている。

GDC 2025「Building AI Assistants to Help a Gamer’s Journey (Presented by NVIDIA)」

★音声で自然な連携を取れるNPC:Tencent Games「Arena Breakout Infinite」の事例

 まるで人間のプレイヤーと連携するように,音声でやり取りできるNPCの開発も進んでいる。紹介されたTencent Gamesのスタジオ・MoreFun Studiosが開発中の「F.A.C.U.L.」は,音声で話しかけると,音声で返事してくれるNPCだ。周囲の状況も理解し,プレイヤーが攻撃の合図を送ると,それに合わせて了解と音声で答え,行動を起こしてくれるという。



 従来のFPSにおけるNPCも周囲の状況をデータとして取得しているが,F.A.C.U.L.は戦術に関するコミュニケーションを取れるように,敵やプレイヤーの位置だけでなく,「赤いトラック」「壊れた車」「金属の扉」など,周囲のより細かな情報も取得している。
 これにより,あのドラム缶を撃ってとか,モーテルの1階を制圧してから庭に退却しよう,というような連携もできるという。

GDC 2025「F.A.C.U.L.: The First FPS AI Companion Who Understands Human Language」

論文「REVOLUTIONIZING AI COMPANION IN FPS GAMES」

 そのほか,抽象度の高いタスクから具体的なタスクを考えていく階層型タスクネットワークを使用して,ゲーム内でよりリアルな会話を実現しようとする試みや,ゲームの盛り上がりマップのようなものを用意して,物語を作ったり,ストーリーラインを変えたり,マップを変えたりするメタ的な存在のAIディレクターを作ろう,といった事例なども紹介された。

「画像生成AI最前線 2025年春 ーゲーム開発にどこまで使えるのか,可能性を探るー」(新 清士氏)

 新氏は,インディーゲーム開発における生成AI活用の実例を紹介した。同氏が率いるインディースタジオAI Frog Interactiveは,4名(新氏+ディレクター1名,エンジニア1名,アート1名)という小規模チームながら,生成AIを活用してクラフト系サバイバル「EXELIO」(エグゼリオ)を開発中だ。

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★生成AIの活用状況

 新氏は,SteamDBの統計データなどから,Steamの新規タイトルのうち20%から25%程度が生成AIを利用していると推測している。ただし,Steamにおける生成AIの利用状況は自己申告制のため,アセットなどに利用していても未申告のパターンもあり得る。

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 GDC 2025で3000人以上のゲーム開発者を対象に行われたアンケートでは,52%が会社で生成AIを使用していると回答(前年度比21%増)。分野別では,ビジネス・財務で51%,制作・チームリーダーシップは41%,コミュニティ・マーケティング・PRでは39%と使用している具体的なツールは不明なものの,開発以外にも利用されていると分かる。
 また,「Unity Gaming Report 2025」(外部リンク)では,約50%のゲーム開発会社が生成AIをワークフローに組み込んでいると発表されている。

★2Dの生成技術は成熟段階に

 画像生成AIのアウトプットはランダムであり,高精細化・高品質化・高速化に加え,ランダム性をコントロールすることや一貫性のある出力が重要となっている。人間が意図した画像を作れるか,画像をもとに一貫性のある差分を作れるか,などといったことである。

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 生成AIにおける画像や動画,3Dなどは別々の分野として発展していったが,マルチモーダルLLMの登場により,これらをテキストと一緒にまとめて扱えるようにする流れが進んでいる。
 また,2025年において,画像生成AIの技術は成熟段階に入っており,1枚の静止画は写真のようなレベルであり,指が苦手という話も過去のものとなっている。

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★生成AIは試行錯誤の効率性を引き上げる

 新氏は,材料工学分野の研究発表を引用し,生成AIを利用することで,試行錯誤のパターンを増やせ,人間だけで考えるよりも品質の高い結果を生み出せる可能性が高くなっているという。最終的なアウトプットを直接生成できるかに関わらず,生成AIが成果物のクオリティを高める要素となる。

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★AI Frog Interactiveの生成AI活用事例

 AI Frog Interactiveは,4人でクラフト系サバイバルEXELIOを開発している。開発環境はUE5で,フル3Dのため,実際に生成AIを利用している部分は少ない。作業効率を上げるために,設定資料やコーディング,発注資料作成用の2Dアートなどで利用しており,生成AIの性能向上に合わせながら,導入できるものは導入していくというスタイルである。
 AI Frog Interactiveでは,生成AIを活用してキャラクターデザインを行っている。例として,SF要素を持つかわいいカエルというアイデアから,Midjourney v5を使って,多数のコンセプトアートを生成し,その中から気に入ったものを選び,発注資料として活用したという事例が紹介された。

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 生成AIの活用で,曖昧なコンセプトから具体化していく行程を効率的に短時間で行える。

★生成物と著作権

 生成されたものが著作権的に問題があるかどうかは,Google レンズの画像検索機能を利用して,類似しているデザインがないか簡易的に調査できると説明された。このワークフローは,経済産業省の「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」にも掲載されている。

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経済産業省「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」(PDFファイル)

 新氏の経験によれば,意図的に似せていかない限り,既存の著作物と類似したものはなかなか生まれないそうだ。

★1枚の画像から別角度の画像や動画など,一貫性のあるものを生成

 Flux.1など,2024年ではキャラクターの首尾一貫性を保った三面図画像の出力も可能となっている。元となるコンセプトイメージを用意し,そのデータをもとにLoRA(Low-Rank Adaptation:既存の大規模モデルに軽量な差分学習を加える技術)を作成し,LoRAとゲームキャラクターのイメージtoイメージ(i2i,画像をもとに新たな画像を生成する手法)で,多数のバリエーションを作成することも可能だ。

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 生成AI技術は日々進歩しており,Google Gemini Proでは,画像をもとに背面など別の角度からの画像も出力でき,ChatGPT-4oでは,イラストを使って漫画を生成できるようになっている。

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 動画生成も1枚の画像から一貫性のあるものを作れるようになっているが,前進するバイクがターンしたとき,進行方向が変わらず,後ろ向きに進んだり,細部を細かく見るとおかしな部分があったりする。
 限界はあるが,それを見極めながら利用することで,コンセプトを固めたり,プロトタイプを作ったりする作業を短期間で完了できる。
 また,少ないGPUメモリでも安定的に動画を生成できる「FramePack」という技術の発表などにより,個人のローカルPCでの動画生成も現実的になっている。

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★3Dモデル生成は,使い方によっては便利

 3Dモデルの生成に関しては,ある程度形を再現してくれるが,テクスチャの品質は使い物になるレベルからは遠い段階である。Photoshopなどで取り込み,手を加えることで,2Dとしては十分に使用に耐えうるという。

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 生成された3Dは,テクスチャサイズが大きく,ポリゴン数も多いので,ゲームとして使うのは難しいものの,サイズ感の検証などには役立つ。実際にUE5環境へインポートして,モデルを配置し,そのスクリーンショットを動画生成AIに持っていってテストなども可能だ。

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 また,カメラからの距離が遠い小物など,そこまでのディテールが求められないものについては,実際にゲームで使える可能性もある。

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★生成AIとゲーム制作

 生成AIを取り巻く環境は,今後も急激に変化する可能性が高い。新機能が次々と出てきており,追いかけるだけでかなり大変である。生成AIをどのように,何に利用するか,といったワークフロー設計も難しい。
 AI Frog Interactiveは小規模ということもあり,流動的に判断しながら作業しているという。
 LLMは年4.1倍程度の性能向上を続けており,PCもスマホもどんどん性能が向上していく。高品質なCGも,かつてはプリレンダリングでなければ不可能と考えられていたが,今はリアルタイムで高品質なものを実行できており,AIも同じ道をたどる可能性があると新氏は分析する。

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 技術の一般化をたどるなか,新氏は,今後テクニカルアーティストのような「AI専門職」が成立すると予測。技術への理解だけでなく,表現の選別や,著作権といった法律の理解まで,幅広い知識が求められるとした。

三宅陽一郎氏のXアカウント

新 清士氏のXアカウント

デジタルコンテンツ協会 公式サイト

デジタルコンテンツ協会 公式Peatixページ



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🧠 編集部の感想:
生成AIのゲーム制作への進化は興味深いです。制作ツールとしてだけでなく、ゲームそのものに組み込まれる可能性が広がっており、クリエイターの表現力を大きく変えることが期待されます。今後の技術の進展が、どのようにゲーム体験を革新していくのか楽しみです。

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