2025年5月21日,仏教的世界観でバトルとドラマを描くリアルタイムタクティクス&アドベンチャー「ぎるぐる」の完成発表会が開催された。本作は6月19日のリリースを予定している。
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本作のパブリッシャを務めるSkeleton Crew Studioの代表,村上雅彦氏はBit Summitを主催するJIGA(日本インディペンデント・ゲーム協会)の副理事長でもある。「ぎるぐる」は村上氏と東急不動産の共同プロジェクト「Game Creator Finding」から初めてリリースされるゲームだ。
村上氏は「プログラム,アートワーク,音楽など,プレイヤーが操作することでさまざまな要素が合わさり,総合芸術として完成するゲームを,さまざまなカルチャーがクロスする街・渋谷から発信したい」と語る。また,東急不動産の広域渋谷圏・価値創造グループに所属する花野氏は「街の文化的な文脈をつなげ,新たな渋谷の魅力を創出していく」と意気込みを示した。
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「ぎるぐる」のテーマは「現代日本へのアンチテーゼ」だ。ディレクターであり,シナリオ兼録音監督を担当するProduction Exabilities代表の奈良輪和史氏は「単に生物として命を保つことと,人間として生きることの違いを世に問う」とコンセプトを紹介した。
ゲームの舞台は,生と死の狭間である「間世(はざまよ)」と呼ばれる奇妙な世界だ。この世界を巡るキャラクターたちを通じて,プレイヤーは仏教における「四苦八苦」の概念を反映したような物語,そして戦いを体験することになる。
本作に登場するキャラクターたちは生きることに絶望し,しかし生きることを諦められない者たち。各々が「愛」「病」「老」「生」「欲」「死」を象徴し,それらに関するドラマとバトルが展開していく。
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間世の,そして物語の「水先案内人」となるキャラクター・ビッケを声優の伊藤ゆいなさんが演じる。
奈良輪氏が「ビッケのセリフは,伊藤さんの声をイメージしたあたりで急激に筆が進んだ」とコメントする一方,伊藤さんは収録スケジュールのタイトぶりを明かし,「奈良輪さんは昼間に収録現場でディレクション,夜はその続きの脚本を準備していたようでした。いつ寝ているのかと思いました」と笑いを誘っていた。
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PC向けタクティカルADV「ぎるぐる」の発売日が6月19日に決定。ずんだもんも登場する紹介映像も公開に
プロダクション・イグザビリティーズが開発を手がけるタクティカルADV「ぎるぐる」の発売日が,2025年6月19日に決定したことが明らかとなった。合わせて伊藤ゆいなさん演じるキャラクター・ビッケが本作を紹介する映像が公開されている。
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- PC:ぎるぐる
- PC
- アドベンチャー
- ストラテジー
- Production Exabilities
- Skeleton Crew Studio
- プレイ人数:1人
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- 編集部:touge
- INDIE Live Expo 2025.4.13
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会場では,本作の主題歌「ぎるぐる Reincarnation」のPVが公開された。そのビジュアルはゲームのグラフィックスや実写などをコラージュし,妖しい美しさがありつつ,ショッキングでもある。そしてラストのカットはビッケが何者なのかを暗示しており,「ぎるぐる」の無明だがどこかで救済にたどり着けるかもしれない,仏教的世界観が描き出されている。
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主題歌アーティストの中島 愛さんは「Aメロは私本来のネガティブな性格が現れた歌い方になっています(笑)。いつものお仕事の仕方ではなかったので,自分自身を見つめ直すいい機会になりました」とコメントした。
なお,SNSでは中島さんの新曲が突然発表されたことに驚くファンの反応が見られた。
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「ぎるぐる」は2つのパートに分かれている。1つは会話を読み進めながら選択肢を選ぶアドベンチャーパート,もう1つはリアルタイムタクティクスによる戦闘パートで,拠点の取り合いが主な目的だ。
敵の本拠地を直接攻める戦術も可能だが,さすがに防御が堅く,ほかの拠点を制圧してから本拠地を攻略するのがセオリーとなる。
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戦闘パートでは,キャラクターのスキルが4つのボタンに割り振られ,アクションゲームのように操作できる。素早い入力やタイミングが戦局を左右するが,一方でリアルタイムの戦術判断が苦手なプレイヤーにも配慮し,レベルを上げて力押しで戦う方法や,ゲーム内マネーでレベルアップアイテムを購入する選択肢も用意している。
奈良輪氏は「これもまた現代社会への,そして現代ゲームへのアンチテーゼ」と語り,何事もお金で解決する構造を皮肉っているそうだ。
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今回の発表会はパブリッシャの挨拶に始まり,ゲストに声優や主題歌アーティストが招かれている。開発母体が小規模なインディーゲームでは,なかなか珍しい規模感のイベントだった。「インディーゲームらしくない」と思われるかもしれないが,そうした声を受けることも承知のうえで,「ぎるぐる」の生苦(生まれることの苦しみ)を受け入れようとする在り方自体が作品のテーマに沿うと感じられた。
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「ぎるぐる」の詳細はSteamのストアページで確認できる。興味を持った人はじっくりと逡巡し,葛藤してみてほしい。
🧠 編集部の感想:
ゲーム「ぎるぐる」の発表会が開催され、仏教的なテーマの下で生と死の葛藤を描くストーリーが注目を集めています。ディレクターの奈良輪氏の情熱が込められた独自の世界観が楽しみです。この作品を通して、現代の生きる意味について考えさせられる要素が多そうで、非常に興味深いです。
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