🧠 概要:
概要
この記事では、現代のプログラミング環境におけるbash(Bourne Again Shell)の意義について論じている。新しいプログラミング言語に囲まれる中、bashは軽量で環境に依存せずに動作し、手元のデータを簡単に操作できるツールとしての重要性が再評価されている。
要約
- 多くの新しいプログラミング言語が登場しているが、実用的なニーズにはbashが適している。
- bashはUnix系OSの標準シェルで、軽量で動作環境を選ばない。
- bashで可能な作業:
- ファイル一覧の抽出・CSV化
- 一括リネーム
- 定期的なバックアップの自動化
- テキストの抽出・加工
- 簡易なCLIツールの作成
- SQLiteやCSVとの連携
- bashは「迅速に情報を入手したい」に応える信頼できるツール。
- bashの限界:
- GUIやWebアプリの構築には不向き。
- 高度な並列処理や外部連携は他言語が優れている。
- bashは「自由」を提供し、自分のデータを自由に扱う手段を返してくれる技術としての価値がある。
- bashは自律した技術者にとって最後の砦である可能性がある。
あれこれ凝ったプログラミング言語が次々と登場している。Python、Rust、Go、Node.js……魅力的な言語やフレームワークが日々アップデートされ、ネットにはその活用事例があふれている。
しかし、それらの言語は、ネット接続が前提だったり、ライブラリのインストールや環境構築が複雑だったり、高スペックなマシンを求められたりする。職業プログラマーであれば当然だろう。しかし、もし私たちが求めるのが「自分の仕事や生活の中で、ちょっとだけコンピュータの力を借りたい」というニーズであったなら――そのとき、bashで十分ではないのか?
bashで出来ること
bash(Bourne Again Shell)は、Unix系OSに標準搭載されるシェル(コマンドラインインターフェース)であり、Linuxだけでなく、macOS、Windows(WSLやGitBashなど)でも動作する。32ビットの古いパソコンでも、軽快に動く。
例えば、こんなことがbashでできる:
-
フォルダ内のファイル一覧を抽出し、CSVにまとめる
-
指定ディレクトリ内のファイルを一括リネーム
-
cronと組み合わせて、定期的なバックアップやファイル整理を自動化
-
テキストファイルから特定の文字列を抽出・加工
-
bashスクリプトで簡易なメニュー画面を作って、CLIツールとして動かす
-
SQLiteやCSVと連携して、軽量データベースとして活用する
要するに、「ローカル環境で、ちょっとした自動処理」をしたい場合、bashは最も軽量で融通がきくツールなのである。
ある日、「連絡先が知りたい」と思ったら
たとえば、携帯やスマホ、あるいは発作的に作った自宅の「連絡帳データベース」に、とっちらかった形で保存されている「ある人の電話番号」を知りたいとする。
そのとき、いちいちPythonでpandasをインポートし、データを整形し、検索インターフェースを組むのか?
否。
そのCSVをgrepで検索すれば、すぐ見つかるのだ。
grep "山田太郎" ~/contacts.csv
これで事足りる。bashは「今、知りたい情報を、素早く手に入れる」ための、最も信頼できる道具だ。
bashで出来ないこと
もちろん、bashにも限界はある:
-
GUIやWebアプリを構築するには不向き
-
高度な並列処理や非同期処理は不得手
-
機械学習やWeb API連携のような高度な外部連携は、他の言語に軍配
ただ、だからといって「使えない」のではない。むしろ、「やりすぎないこと」がbashの美徳だ。bashは常にローカルに寄り添い、「手元のデータ」「手元の環境」を最適に扱うための道具として存在している。
bashは“最小限の自由”をくれる
私たちは、ときに「便利すぎる」技術に依存しすぎる。ログインすれば全ての設定が同期される。クラウドに保存され、自動でバックアップされ、AIが候補を提示してくれる。
だが、その便利さの裏で、「自分のデータを自分で扱う自由」を失っていないだろうか?
bashは、自由を返してくれる。ネットに繋がっていなくても、誰の許可もなくても、自分のコンピュータを使って、自分の生活を自動化できる。
bashは“自律した技術者”のための、最後の砦かもしれない。
Views: 0