🧠 あらすじと概要:
あらすじ
この記事では、従来のゾンビ映画とは一線を画す独特な作品を4つ紹介しています。各映画はゾンビというテーマを用いながら,それぞれ異なる視点やストーリーを展開しています。例えば、治癒されたゾンビとその社会的な立場を描いた『CURED(キュアード)』や、ゾンビ化した世界で再燃する夫婦の愛を描く『ゾンビの中心で、愛をさけぶ』、静寂の中でサバイバルを繰り広げる『リビング・デッド サバイバー』、そしてユーモアに満ちたアプローチでゾンビを扱った『デッド・ドント・ダイ』があります。各作品は、従来のゾンビ映画に対する新たなアプローチやメッセージを提供し、単なる恐怖映画にとどまらない深みを持っています。
記事の要約
この記事では、王道ではないワクワクするゾンビ映画を4本紹介しています。最初に『CURED』では、ゾンビウイルスから回復した人々の社会復帰の苦悩が描かれ、次に『ゾンビの中心で、愛をさけぶ』では、ゾンビが蔓延する中で倦怠期の夫婦が愛を再発見する様子がユーモアを交えて描かれています。『リビング・デッド サバイバー』は、静かなアパート内での孤独なサバイバルをテーマにし、最後の『デッド・ドント・ダイ』は、軽妙に描かれるゾンビパニックを楽しむコメディタッチの作品です。これらの映画はそれぞれ異なるテーマとアプローチを持ち、興味深いゾンビ映画ファンにおすすめです。
1.CURED キュアード (2017年)
監督は デヴィッド・フレイン
ゾンビウイルスをテーマにした アイルランドのホラー映画です
舞台は”メイズ・ウィルス”のパンデミックが収束した後の世界このウイルスに感染したものはゾンビのようになってしまう傾向にありましたが 治療法が発見されたことによって75%の人々が回復しました回復した者たちは”回復者”と区分され 治療が有効でなかった残りの25%は”感染者”として隔離施設に収容されていますそんな中”回復者”のひとりであるセナンは かつて感染していた時の残虐な行為がフラッシュバックすることに悩みながらも なんとか社会復帰し 義理の妹であるアビーの家に身を寄せていました
未だに回復者を恐れる人々も多くいる中で 理不尽な差別が繰り返される状況に不満を抱いた彼らは 社会への報復を計画する…というストーリーです
本作品では「恋人はアンバー」で知られるアイルランドのデヴィッド・フレインが監督をつとめ 彼にとっては長編映画監督デビュー作となった作品です
「アンブレラ・アカデミー」や「インセプション」のエリオット・ペイジが主演しています
作中では 主にウイルスの感染から回復した人々にまつわる物語が描かれます
かつて猛威をふるった ゾンビ化を引き起こす”メイズ・ウィルス”…このウイルスへの感染から回復した人々が かつてゾンビであった時の記憶や 社会からの圧力,差別に苦悩するという 独特な内容です
決まり文句に溢れたゾンビアポカリプスものというジャンルの中では 異彩を放つ設定になっており 終始シリアスな雰囲気が印象的です
差別がテーマということもありますが 洗練された雰囲気のある”今っぽい”映画だと感じます
監督のデヴィッド・フレインは新鋭ですが 彼の今後製作予定の映画としては エリザベス・オルセンが出演するA24による「ETERNITY」という映画があります
これはバラク・オバマ元大統領の補佐官だったパット・カナンが脚本を書き どうやら”死後の世界で誰と過ごすのか”をテーマにしたロマンスコメディ映画のようで 公開されるのを楽しみにしたいところです
そんな 今後の活躍にも大きく期待したい新鋭の監督による意欲作となっている 本作品
シリアスなゾンビ映画を ぜひ観てみてください
2.ゾンビの中心で、愛をさけぶ (2018年)
監督は アントニオ・トゥーブレン
倦怠期だったはずの夫婦を描く デンマーク・スウェーデン合作の映画です
カレンとジョンの夫婦は倦怠期の真っ只中であり 結婚生活は崩壊寸前に陥っていましたそんなある日 周囲では人間がゾンビ化してしまう伝染病が蔓延し 街はゾンビだらけになってしまいますカレンとジョンは感染を避けるためにマンションの部屋に閉じこもり そのまま救助を待つことを決めましたしかし次第にテレビやラジオの情報も途絶え 状況が良くなる気配のないまま ゾンビだけではない困難が夫婦に襲いかかります
突如として訪れたサバイバル生活に刺激され 冷え切っていた2人の愛は再燃しはじめる…というストーリーです
本作品では スウェーデンのアントニオ・トゥーブレンが監督をつとめ 彼は短編映画出身の人物です
「ナイトフライヤー」のゾーイ・タッパーが妻役 「スタートレック:ピカード」や「アウトランダー」のエドワード・スペリーアスが夫役を演じています
作中では ウイルスが蔓延する世界における とある夫婦の物語が描かれます
家の外ではゾンビウイルスが蔓延し 家の中では倦怠期の夫婦が愛を育む…そんな不思議な設定には 先日紹介させていただいたブラジルのSF映画「ピンク・クラウド」と大きく共通するところがあります
テレビ画面や偶然の出来事を通じて入ってくる外世界の状況 そして奇妙な状況ならではのおかしな会話…シュールなコメディ的演出を取り入れており 一応はホラー映画ですが くすっと笑えてくるところが魅力的な映画ですまた 少数精鋭の俳優陣は素晴らしく それぞれがこの映画の世界に浸りきっています
とはいえシュールなだけでなく シリアスな場面もあって楽しめる内容です
ゾンビ映画らしい派手な演出はあまりなく とにかくゾンビウイルスが周囲に蔓延する中での”普通の夫婦生活”が描かれています
しかし ウイルスによって危機的状況にあるにも関わらず それとは関係のない人間ならではの問題が発生し 思わぬ方向へと発展していくのです
そんな 特殊な状況ならではのシュールな会話が楽しめる 本作品
普通のゾンビ映画に飽きてしまった方は ぜひ観てみてください
3.リビング・デッド サバイバー (2018年)
監督は ドミニク・ロッシャー
とにかく静かな フランスのサバイバルホラー映画です
元恋人からカセットテープを取り戻すために 仕方なく彼女のパーティに参加したミュージシャンのサム人が苦手な彼は 人気のない奥の部屋に逃げ込み いつの間にか眠ってしまいます翌朝サムが目覚めると世界は変わり果てており サム以外の人間はゾンビ化してしまっていました
ゾンビの襲撃におびえながらアパートに立てこもるサムによる 孤独なサバイバルがはじまる..というストーリーです
本作品は 2018年のフランス映画「ザ・ミスト」の原案で知られる ドミニク・ロッシャーが監督をつとめました主演したのは「わたしは最悪。」のアンデルシュ・ダニエルセン・リーであり「パターソン」や「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のゴルシフテ・ファラハニも出演しています
また 原題は「The Night Eats the World」となっています
作中では 突如訪れたゾンビアポカリプスにまつわる物語が描かれます朝目覚めると世界は静寂に包まれており 知人も含む自分以外はゾンビになっていた…そんな内容です”起きたらゾンビだらけ”という設定は ダニー・ボイル監督,キリアン・マーフィー主演の映画『28日後…』を彷彿させます
また ほぼ静寂というのは同じくフランスのリュック・ベッソン監督による『最後の戦い』に通じるところで オマージュを捧げた一面もあるのかもしれません
このような設定ということもあって会話シーンはとても少なく 派手な音楽も使用されていないため 目で観て楽しむところが大きい映画です基本的にはアパートだけを舞台にしたワンシチュエーションの映画であり かなりの低予算が予想されますが そこまでチープな印象は受けません
個人的には この映画の主人公がミュージシャンということを活かしたドラムを叩くシーンは 最も印象に残った部分です
そんな アパートを舞台にした一風変わった設定が光る 本作品
とにかく静かなゾンビ映画をお探しの方は ぜひ観てみてください
4.デッド・ドント・ダイ (2019年)
監督は ジム・ジャームッシュ
気の抜けた雰囲気が印象的な アメリカのコメディ映画です
舞台はのどかな田舎町 センタービルある日この町で 動物たちが突如として異常行動を取り始めるという事件が発生しました人々は調査に乗り出したものの 異常行動の原因はなかなか突き止められません
やがて 墓地に埋葬されていた死体はゾンビとなって町中をさまよい センタービルの町はパニック状態に陥る…というストーリーです
本作品では 「ダウン・バイ・ロー」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」などの作品で知られる ジム・ジャームッシュが監督をつとめました「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイ,「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー,「スノーピアサー」などのティルダ・スウィントンが出演…俳優陣はとにかく超豪華な顔ぶれであり「ファーゴ」のスティーヴ・ブシェミや「アンチヴァイラル」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズなども登場します
また 多くのミュージシャンとの交流があることでも知られるジム・ジャームッシュ監督ということもあって「ダウン・バイ・ロー」などにも出演したトム・ウェイツ ゾンビ役でイギー・ポップなども出演しています
作中では とある平和な田舎町を襲うゾンビの物語が描かれますセンタービルというこの町は 人も少なく 事件が起きることなど想定されていないような小さなエリアです
そんな 警察官まで平和ボケした町を襲うのは 墓から蘇ったゾンビたち…彼らは生きていた時の本能を残しつつ 人々に襲い掛かるのです
オープニングで流れるカントリー調の奇妙なテーマソングは アメリカのシンガーソングライターであるスタージル・シンプソンによるもので その名も「The Dead Don’t Die」です
まるで60~70年代の雰囲気漂うこの曲は 死後の世界について歌われた素晴らしいゾンビソングとなっていますが この曲を歌っているスタージル・シンプソンは実はゾンビ役としても今作に出演しています
ほかにも 素晴らしい俳優陣による”メタなセリフ”の数々など くすっと笑えるシーンが続発します
とにかく”まったく怖くないゾンビ映画”というのが大きな特徴になっており 名優ティルダ・スウィントンのお辞儀など 本格派の俳優たちによる他の映画ではなかなか見れないシーンも観ることができます
そんなこの映画の企画は ウェス・アンダーソン監督による2018年の傑作「犬ヶ島」が公開される時期に発表されましたこれは「犬ヶ島」のビル・マーレイとティルダ・スウィントンが 今作にも出演していたためですそのティルダ・スウィントンは ジム・ジャームッシュ監督による2013年の吸血鬼ロマンス映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」の時期に ゾンビ映画を撮るアイデアを監督へ伝えたそうですジャームッシュ監督は ゾンビ映画の巨匠であるジョージ・A・ロメロ作品へのオマージュを捧げつつ今作を構想し 完成に導きましたこうして今作は『メン・イン・ブラック:インターナショナル』および『シャフト』と同じ週に公開され これはジム・ジャームッシュの長いキャリアの中で初めて600以上もの映画館での大規模公開となったそうです
特に終盤の展開には賛否があると思いますが 個人的にはそこに至るまでの物語が好きな映画です
そんな 豪華な俳優陣によるシュールな物語に目が離せない 本作品
日常系のゆるいゾンビ映画をお探しの方は ぜひ観てみてください
あとがき
今回は「普通に飽きたあなたへおすすめしたい 奇妙で素晴らしいゾンビ映画」というテーマでの映画紹介でした”ゾンビ映画はSFなのか ファンタジーなのか”というのは議論になるところかもしれませんが 当チャンネルでは基準が甘いため ギリギリSFという扱いにさせていただいておりますゾンビ映画の世界は果てしないですが 他にもみなさんの好きな作品があればぜひ教えてください
最後までご覧いただき ありがとうございました
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