🧠 あらすじと概要:
あらすじ
『シャッターアイランド』は、レオナルド・ディカプリオが演じる連邦保安官テディが、精神病院がある孤島で失踪した女性を捜すストーリー。島の不気味な雰囲気や医師たちの隠された真実が、彼の調査を通じて徐々に明らかになっていく。
記事の要約
この映画は、没入感が素晴らしく、スリリングな展開が続く名作のサイコスリラーである。映像美や緻密な演出が際立ち、精神病院や灯台などの背景が不気味さを増幅している。ディカプリオの演技は素晴らしく、心理的な葛藤を見事に演じている。また、マーティン・スコセッシ監督の作品らしく、社会や人間心理の暗部に焦点を当てた内容になっている。映画は複数の解釈が可能だが、ストーリー展開は明解で理解しやすい。最後のシーンがどう生きるかというテーマを強く印象づける。
私の生活から映画という存在が遠のいていた2010年代、その頃の公開映画には疎いんですね。
そんな失われた10年を取り戻すように、最近はその時代の作品をチョイスしています。
ネタバレしないように、書きますね。
名作は、没入感が違う!
一言で言うと、没入感すごくて、チビりそうでした!
その前に見たものが凡作気味(『マトリックス レザレクション』『地球が静止する日』)だったので、没入できるって名作映画の第一条件だなって、改めて感じました。
ちなみに、凡作疑惑と名作っぽいのを交互に見ると、自分なりの良作の定義が際立ってくるので、凡作疑惑を挟んで見るのもおすすめですよ。
というわけで、こちらは終始スリリングで、綿密な仕掛けと演出で構成された名作サイコホラー映画に認定です。
「火」と「水」は、重要な演出ポイントです。
病院も灯台も、どこもかしこも不気味です。
あらすじ
精神を病んだ犯罪者だけを収容した、海に囲まれた孤島(シャッター アイランド)から、一人の女性が姿を消した事件を追求するため、連邦保安官として島に向かったテディ(レオナルド・ディカプリオ)。島全体を覆う不気味な雰囲気、何かを隠しているような医師や職員たち、追えば追うほど深まる謎……。
果たして、明らかになる真実とは!
美しく、不気味な閉ざされた孤島。
不気味な雰囲気たっぷりの孤島に、精神病院、灯台、クラシカルな調度品など、画面から醸し出される美しさは揺るぎません。
オールドファッションに身を包んだ保安官と囚人、マーラーのコンチェルト。
(奥さんの南国風なテキスタイルの趣味だけが、異質に映ります。)
精神病院・連邦保安官・凶悪犯・失踪・謎・戦争(ナチス)・トラウマ・人体実験、アナグラム、と、みんなが喜ぶミステリー要素がたっぷり。
似たタイプのミステリー映画を見てきた人でも、満足できるクオリティです。大いなる陰謀なのか?自分が犯人系展開なのか?どこでそれがはっきりするのか、しないのか?
どんな展開を予想しても、次は何が起きるのかと、ゾクゾクできます。
30代のレオナルド・ディカプリオ。
なかなか貫禄が出てきた36歳のレオが演じる、テディ。
打ちひしがれて、くしゃくしゃした表情に胸を打たれます。
『ギルバート・グレイプ』の童顔のアニー、『タイタニック』の美青年ジャックからのアイドル脱皮時代、この頃は、妻と子供を持つ男性役をよく演じていますね。
連邦保安官として追求していくテディ、過去や幻覚の中のテディ、真実に辿り着いたテディ、1つのストーリーの中で、いくつもの精神状態の彼を演じているわけで、鬼気迫るその演技は流石というしかありません。
彼の持つ丸く可愛い顔だちと演技力が、哀愁や憎めなさ、滑稽さを際立たせて、観客の感情移入させるんだろうな。
同情せずにはおられません。
マーティン・スコセッシ監督の作品の特徴
暴力、裏社会、宗教や信仰といったテーマで、社会や人間心理の暗部を描く作品が多く、この作品も同様です。
代表作は『タクシードライバー』『ディパーテッド』など。
ロバート・デニーロやレオナルド・ディカプリオとの共演が多く、オーディションを受けたレオ少年は、ロバート・デニーロに見出されたというエピソードも有名ですよね。
マーティン・スコセッシ監督の、ここまでのサイコスリラーは珍しいですが、彼の代表作に相応しい名作になりました。
3人の医師の存在
キャストも、ミステリアス要素が出ていて、とても良かったです。
コーリー医師は『ガンジー』『シンドラーのリスト』のユダヤ人経理士役だったベン・キングズレー、ナーリング医師『エクソシスト』の神父役マックス・フォン・シドー、あとシーアン医師も。
終盤になってくると、3人の医師が、それぞれ意見の異なる立場だということが分かります。
コーリー医師は最終判断を下す人で、どちらかというとシーアン医師寄りです。
彼らの本当の姿が分かると、180度違う世界が見えてきます。
難解作品?
『インセプション』と似てる?
少し前に、同じくディカプリオ主演の『インセプション』(2013年)を見ました。
ほぼ同時期(ディカプリオの年齢や見た目)であること、主人公の精神世界を描いたところや、妻の死が重要な意味を持っているなど、2作品には多くの共通点があります。
『シャッターアイランド』は難解な作品か?と問われれば、私は「そうでもない」と答えたいです。例えば、『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督作品は、複数の解釈ができるような伏線をはっていて、観客に判断を委ねている箇所も多いので、難解というイメージがつきまといます。私も2回以上見ないと、理解が追いつきません。それに対して、こちらの『シャッターアイランド』に関しては、伏線は明白な表現で、解釈に迷うこともなく見終えることができました。なので、もし1回で分からなくても、2回見れば、明快に理解できるようにな仕組みになっていますし、ネットの解説ブログも充実しています!
(見る者の解釈が割れている『鑑定士と顔のない依頼人』とは違います。)
チャックが部下なのに、ノーラン(ディカプリオ)よりも年上で貫禄があるように見えた最初の登場シーンから「あれ?」って思いましたし、不自然なところや違和感はすべて、後から繋がって腑に落ちる伏線となっています。
「モンスターのまま生きるか、善人で死ぬか」
最後のシーンやセリフは、切なくて、素晴らしい終わり方でした。最後、相棒チャックが、とてもいい奴に見えてきます。『Truths and Lies』
タイトルにも、アナグラムが適用されているそうです。
(見た人用)若干ネタバレあり
ここからは、見た人と、今後も見るつもりがない人だけ、見てください。
醒めたくない夢、直視できないほどの過去、罪の意識、そして贖罪。
真実を知った今、これから自分はどう生きるのか、人間の心の奥を描いた作品と言えます。
…
こう書き終えた後、
さらにネット検索でさまざまな意見を見ると、少なからず陰謀説(洗脳説)支持層もいるんですね。
監督インタビューコメントを見る限りは、主にはそういう意図ではなさそうですが。。
そっちの説をとると、登場人物キャラがまるで違って見えてしまいます。
それはそれで面白く、また見たくなりますね。
ただ、どんな作品でも、「どんでん返し」ってキャッチコピーで言わないで欲しいですね。何も知らされないからこその、どんでん返しですから。
白けちゃいますよねえ。
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