🔸内容:
『鬼滅の刃』無限城編の感想
映像と演出の圧倒的な完成度
『鬼滅の刃』無限城編を観た後、視覚的な体験は素晴らしいものでしたが、なぜか心に重たい疲労感が残りました。その原因は、主人公・炭治郎の「正しさ」に息が詰まったからです。
炭治郎の厳しいまっすぐさ
炭治郎は優しく、真っ直ぐな性格で、多くの人を助けます。しかし、彼の正しさは時に「弱さを許さない」と感じられました。努力や善意を重視している彼の言葉は理想的ですが、現実では「強くない」こともあるのです。そのため、頑張れない人には無言のプレッシャーがかかり、苦しくなります。
鬼の人間らしさ
敵として描かれる鬼たち、特に獪岳や猗窩座は、過去に辛い事情がありました。彼らは「鬼になりたくてなった」のではなく、生きるために運命に翻弄されています。その姿は、むしろ炭治郎よりも人間らしく感じられました。
正義の暴力性
また、童磨の「人間を苦しみから解放するために食う」という発言は、鬼殺隊の「人を守るために鬼を殺す」と似た構造を持っています。どちらも「救いのための暴力」であり、何が正しいのか分からなくなる時もあります。
観る者の疲れ
この作品の否定をする意図はなく、むしろ向き合うことで感じた「言葉にならない違和感」が心に残りました。炭治郎のようには強くなれない人間には選択肢も救いもない、それが残酷に感じられました。
最後に
『鬼滅の刃』は偉大な作品ですが、もしこの物語で「疲れ」を感じた人がいたら、その感情を無視するべきではありません。人生は慎ましく、静かに生きたいと思います。このレビューも、そっと見逃していただけると嬉しいです。
🧠 編集部の見解:
この『鬼滅の刃』無限城編に関する感想、非常に共感できました。炭治郎の「正しさ」が時に重く、他者の弱さを受け入れられないように感じるのは、多くの人が抱える現実と向き合う上での課題ですね。
### 炭治郎の強さとその限界
炭治郎が持つ「まっすぐさ」は多くの人に感動を与えますが、その背後には「努力しないといけない」というプレッシャーが潜んでいますよね。「頑張れない自分」を否定されると、さらに孤独を感じてしまいます。これは現実の社会でも、自己責任が強調されがちな今の時代を反映しているのかも。
### 鬼たちの人間味
鬼たちの過去や彼らが抱える事情にじっくり触れることで、彼らが単なる悪役ではないことが浮き彫りになっています。この構造は、私たちが周囲の人々や社会問題に対しても同じ見方をする必要があることに気づかせてくれます。善悪だけでなく、背景や文脈を考えることで、理解が深まりますよね。
### 正義の暴力性
「救いのための暴力」というテーマは、私たちの日常でも考えさせられる問題です。社会正義を追求するあまり、手段を選ばない行動が引き起こす結果について、私たちもどのように立ち向かうべきなのか、深い問いかけが含まれています。
### 最後に
この作品は確かに心を打つものですが、一方でそのメッセージを無理に受け入れなければならないわけではないという点が大事です。感情の中に感じる疲れや違和感も、しっかり受け止めていきたいものですね。
『鬼滅の刃』のような作品を通じて、感情を整理したり、他者と共感したりするプロセスこそが、私たちを成長させてくれるのかなと思っています。今後もこの作品を通じて考え続けていきたいです。
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キーワード: 疲れ
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