漫画の海賊版対策などを行う一般社団法人ABJが4月24日、アメリカおよびインドネシアにおける「海外の漫画非正規版利用に関する調査」結果を発表した。
本調査により、非正規版の利用者が一定数存在すること、利用者の実態や利用する理由、非正規版にたどり着くまでの経路などが明らかになった。
【調査概要】
<アンケート調査>
調査期間:2025年2月13日~2月20日
有効回答:(スクリーング)アメリカ3,598人、インドネシア1,918人(本調査)各国504人
調査対象:(スクリーニング)アメリカまたはインドネシア居住者(本調査)アメリカまたはインドネシア居住かつ、日本の漫画を読む非正規版チャネル認知者<インタビュー調査>
調査期間:2024年11月28日~12月5日
有効回答:8人
調査対象:正規版・非正規版併用利用者、非正規版のみ利用者
調査会社:MMDLabo株式会社(MMD研究所)
正規版を利用するユーザーは5割〜6割ほど
一般社団法人ABJは、2024年11月28日から12月5日にかけて、正規版/非正規版の両方を利用しているユーザーと、非正規版のみを利用しているユーザーに対し、インタビュー調査を実施。
さらに、2025年2月13日から20日にかけてアンケート調査を実施した。
この2つの調査により、海賊版ユーザーのリアルな実態をあぶり出している。調査結果の概要としては、主に以下5点が挙げられる。
■アメリカおよびインドネシア両国で正規版を利用するユーザーは5割〜6割ほど。対して非正規版を利用するユーザーはインドネシアが37.5%、アメリカが30.4%(ABJの推定)。
■非正規版への認知チャネルは「Googleなどでの検索」が両国ともに最多。SNSからの認知は一定数あるものの「Discord」「Reddit」での認知は国ごとに差がある。
■非正規版を利用する人に抱く印象は、インドネシアでは「法律や倫理を軽視している」、アメリカは「お金を節約している」が最多。
■インドネシア居住者は、非正規版利用に対して「悪いことをしたと思っていない」という傾向が強い。アメリカ居住者は、作者への貢献欲が一定程度ある。日本からの啓蒙活動も一定程度効果があったという結果に。
■非正規版を利用する理由としては、「無料で読める」「正規版の漫画と同じものが読める」「発売後すぐに読める」「スマホで読めるので便利」などが挙がる。
「収入があればちゃんと払う」といった回答も
MMD研究所が協力したインタビュー調査には、正規版・非正規版の両方を利用しているユーザーおよび、非正規版のみを利用しているユーザーの全8名が回答した。
それぞれの回答から、非正規版を利用してしまう理由が透けて見える。
例えば、非正規版の違法性について聞いた質問には、「漫画家に収入がないのは知っているが、サイトを使っている人は多いので、自分もその流れで使っている。申し訳ないが、サポートも出来ない。自分に収入があればちゃんと払う(インドネシア/15歳女性)」という回答がある。
15歳という年齢からまだ十分な収入がないことがうかがえる。そのような状態で無料で漫画を読めてしまう非正規版が存在し、さらに多くの人が使っているなら自分も……と流されてしまう様子が察せられる。
非正規版の違法性への意識に関する回答
他にも、率直な意見が掲載されており、非正規版利用者の実態が生々しい形で伝わってくる。